お題小説【仏像ハンター】
お題
・魔法
・宝石
・仏像
・洞窟
・雷
俺はレイモンド。弟子であるジョンと一緒に秘境に眠る魔法の仏像を発見し、持ち帰る仏像ハンターを職業としている。
今回、狙うのは一年中雷雨が絶えず、洞窟の入口までの道が増水した濁流のせいで通れないという数々の仏像ハンターを諦めさせた魔法の仏像《雷切》だ。
準備を整えた俺たちは雷切が眠る洞窟の近辺までやってくると、そこはやはり魔境と呼ぶに相応しい天候の荒れ具合だった。だがこちらにはこういった時のために高い金を使って手に入れた魔法の宝石がある。
「使い切りなのがハンター泣かせだが…。ジョン急いで駆け抜けろ!数秒しか持たん!」
洞窟の入口が目前にあるが、凄まじい濁流が道を塞いでいたので魔法の宝石の力によって、一時的に濁流を凍らせてその上を通る。俺とジョンはすかさず駆け抜けると、俺らが通って直ぐに凍っていた濁流は大きくひび割れて崩壊した。
「帰りはどうしましょうか…師匠。今の宝石だけでかなりの出費ですし。」
「なぁに!なんとかなる!魔法の仏像さえ手に入ればどうにでもなる!」
思わず弱気になるジョンに喝を入れて、洞窟へ探索に行く。
洞窟の中は今しがた渡ってきた濁流のせいで、魔物の侵入はほとんどないようで原生している虫などがいるだけで道中は安全だった。
だがやはり仏像ハンターの定めと言うべきなのか難関が訪れてしまう。
「師匠…。あれ…あれ!」
「成程。数多くの仏像ハンターの成れの果てがコレか。」
洞窟の中を通って開けた場所に到達すると、仏像ハンターと思われる装備がいくつも転がっていた。
それと同時に白骨も多く転がっていて、そのどれもが損壊が激しかった。視線を奥に移していくと、白骨も山となっているところがあり、近くには鋭い牙をいくつも生やした大きなクマがいた。
「ふむ…。ドラゴンであれば仏像の他に素材で収入が得られたかもしれんのに。まさかクマとはな。」
「あわわ…。どうします?師匠。」
「無論。倒すのみ。お前のその武器は何のためのものだ。」
私は背中に担いでいた剣を取り出すと、クマに斬り掛かる。クマは避けもせず、私の攻撃を喰らう。だがクマの毛皮と脂肪が厚く、刺さった剣は抜けなくなった。
私は咄嗟に剣を離して、距離を取ろうとするもクマの速度は早く、私は身体を掴まれるとその恐ろしい口の中に放り込まれて…全身に熱い感覚がしたのと同時に私の意識は途絶えた。
とある町にて長年誰も持ち帰ることの出来なかった魔法の仏像《雷切》を持ち帰った偉大なる仏像ハンターとして
ジョンが人々に祝福されていた。
「今までお辛かったでしょうが…今回雷切を無事に持ち帰ることができたのは間違いなく貴方自身の才能でしょう!」
「ありがとうございます。師匠…いえレイモンドには家族を人質に半ば強制的に従わされていて弟子という名目でしたが…給料などもなく捨て駒のように扱われていました。彼のハンターによる功績は全て私なくしては取れなかったものです。
彼が仏像の番人に無闇に突っ走って、そのまま命を散らせたあと番人を蹴散らして仏像を持ち帰りました。」
どうやらジョンはレイモンドの手柄を全て奪って自分のものとしていたのであった。
ジョンはあの後魔法の仏像のもとまでたどり着き、魔法の仏像の力でクマを倒し、町まで安全に戻ってきたようだった。そうしてレイモンドがこれまで得てきた功績を全てかすめ取ることに成功し、レイモンドはロマンの為、秘境探索の為仏像を得た金で新たな探索へと行っていたが、ジョンはその全てを余生を過ごすための資金として用いた。
そんなジョンの様子を空の上から眺めていたレイモンドは
どこで育て方教え方を間違えたかな…とガックリしていた。
レイモンドは孤児としてのジョンを拾って、他にも親を亡くした子供たちの為に仏像探索の傍ら、資金を援助して孤児を支援していた。ジョンもそんなレイモンドに憧れて弟子の志願をしたと思ってたのに…。
そうしてレイモンドは未練こそあるが、いつまでもこの世に居続けるのもいけないので…成仏することにした。
その後ジョンは因果応報と呼ぶべきなのか、10年くらいした後にレイモンドを慕っていた孤児が大人になり、悪事を糾弾されてしまい英雄から師匠を裏切った男として名声と金を失うこととなった。
死後レイモンドは名誉を回復して、偉大なる仏像ハンターとして数多くの仏像を発見した歴史に残る人物として教科書に載るくらいの人物となったのであった。
なんかジョンが手柄総取りした状態で終わらせても良かったんだけど、短編だし次に続かないしこの状態で終わらせるのは嫌だったので付け加えました。
連載とかの過去編とかスピンオフとかを悪い結末にするのはいいんだけどね…。
後の話で失敗or犠牲をもとに尽力したっていう展開にできるから。
まぁどんなに書いてて結末がBADになりそうでも、短編は極力悪い結末にならないようにこれからも頑張ります。




