九 色々と年度臭いグループ
ペア決めが終わったあと、俺達は6つぐらい繋がっている豪華な馬車の後ろから二番目に乗った。
俺達は今、中に居るのだが俺達のグループは他よりも少しうるさいんだよなぁ。
「中もめっちゃ豪華だな。」
「これは車の座席よりも柔らかいな。」
「そうか?あまり変わらないと思うんだが。」
「いや、ここで寝ると多分永眠するわ。」
「そんなに?って何かシャガルが不機嫌そうだけど。」
「2番目のやつに喧嘩で負けたんじゃないか?」
「うーん、リエルはちょっとうんざりしてる気がするけど。」
馬車は俺たちがみんな座ると動き出し始める。
なぜかは知らないが、この城の正門ではなく、裏側にある出口から馬車は出すようだ。
そして、神島達の会話を聞く通り俺はちょっとうんざりしている。
主に隣にいる相手が問題でな。
何でよくわからん強い白竜と、よく話してくる猪原っていうグループになったんだか。こいつら絶対よく出てくる登場人物の奴らだろ。
[リエルさんが同じペアで良かったです!]
[同じになったのは仕方がない。足を引っ張るなよ。]
[俺限定?]
[まぁ、リエルさんって今では一番弱くなってますからね。]
[ひ、ひでぇ。]
今思うんだが、俺は戦闘の才能が無いんだろうな。
逆に猪原は俺とやる時以外神島達をずっと見てるし、明らかに俺より頑張ってないはずなのに、とても差がついているのがそう言うことなんだろう。
努力だけでは才能に届かないっ。
でも、それを覆すことができるのはレベルアップと進化。
誰よりも早くレベルアップし進化さえすれば、俺は一番強くなれるはず。
ただ進化しただけで才能という差を覆せるかもしれない。知らんけど。
レベルという概念があるんだし、大体ドラゴンクエスターと同じと思って良いでしょ。
俺はいずれ魔物側に着くかもしれないしな。場合によっては。
だって異世界物語の主人公っていつも召喚されたあとよく一人になって、気づかないうちに色んな厄介事を解決して、他の召喚された人と再開したときには最強!っていう話が多いじゃん。
もしかしたら俺もその器かもしれないって考えておこうかな。まぁ、主人公って言ったら性格以外白竜の方が相応しいけどさ。
で、レベルアップするためには魔物を倒さないといけないんだろうな。
現在進行形で最弱な俺に魔物を倒せるのか?
いや、無理無理。国の兵士達を見てみたんだが戦闘能力が平均約200だったし。青髪に関しては300とかの数値だったぞ。
チーム全員に振り分けられるなら楽勝だろうけど…与ダメージで量が変わるやつなら俺が成長するのは結構きついかもな。
「リエルどうしたの?」
[リエルさん、もう馬車止まってますよ!早く出てください!]
[ずっと黙って、魔物と戦うことに怖気づいたか?]
神島と猪原が外から顔を出していった。
おっと、考えすぎて周りが何しているか見てなかったようだ。いや怖気付いてねぇよ!多分
[あぁ、すまん。考え事してた。]
[考え事で周りが見えなくなる人って本当にいるんですね。]
[まぁな。]
考え事をして気づいたら時間が経っていたってこと結構あるよな。
深く考えるときは一人のときにしよう。
馬車で移動中の風景すら見てなかったし。
そう思い、馬車を降りた。
馬車の外には凄いきれいな自然が広がっていた。
草や花が肩あたりまで伸びており、しゃがむといい隠れ蓑になる。木は見上げたら枝から分かれている葉っぱですら大きくてまるで巨大樹のように見える。
軽くそよ風も吹いており、小鳥の鳴き声のような音もする。
地球よりも自然しているな。
いや地球よりも自然してるってどういうことだよ。
こんな自然で過ごしていると飽きなさそうだ。
勇者達はもうみんな出ていて感嘆してる人や大きい声を出して走っているやつもいたりして楽しそうだ。
ってなんでこんな道無き場所に止めてんだ…獣道すらねえじゃねえか。
[また考え事ですか?]
[いや、この自然が地球よりもとても綺麗って思ってさ。]
[うーん、私には地球とあんまり変わんないと思うんですが。花も見たことありますし。]
花知識なんてないから美しく感じるだけかぁ。
それはそれでヨシ。
「*******、***************。」
[ここでグループに別れて行動するらしいですよ、早く行きましょう。]
[そうだな。]
今さらだが俺達は神島達に着いていくために走らないといけないのか?
草木が高いから神島達を見失う気がするんだが。
[あ、また考え事ですか?早くしてくださいよ。]
[あ、はい。]
···まぁ、今から実践なんだ、気を引き締めていこう。
あと、考えながら行動する練習もしておこう。