四十二 城で起きた特に何も起きていない会話
[はぁ〜、無駄骨だったなあ…]
少しだけ時間が経って、ようやく勇者達が落ち着いて訓練を再開し始めた頃、青髪と猪原、神島が集まっていた。
[リエルさん、あまり無事には見えませんけど、あの後ってどうなったんですか?]
「リエルそれ、本当に痛くない?大丈夫?」
みんなは俺の事についてとても心配してくれていた。
[ああ、まぁ大分問題はあったけど、以外と何とかなったし、首の傷も既に治ってるぞ]
ステータスを見ると、体力は既に半分に戻っていたが、逆に魔力が1になっていた。
これ、0になったらどうなるんだろうか…。
[外であった事をゆっくりと話したい所ではあるけれども、今はそっちの話の方を先に聞きたいんだが]
[あ、はい分かりました…]
猪原が俺の言葉に頷くと、青髪に伝える。
神島も猪原の言葉を聞いており、猪原が言葉を話せる事はどうやら知っているようだった。
きっと猪原が話したのだろう。
「そうですね…現在、リエル様が戻って来られてまだ一日しか経っておりませんが、特にこれと言った情報はありませんね」
青髪の言葉に俺はホッとした。
俺が意識を失いっている間、一日の夜を過ごしただけだったようだ。
[それは良かった…、危うく全てが終わった後だったらどうしようと思ってたぞ]
[それは…一体どういう事ですか?]
俺は外で起きた事を首を切られて仮死状態になった事だけを伏せつつ話した。
猪原がそれを青髪と神島にも伝えてくれる。
「そ、そんな酷い事が…」
「紅明教の兵士達と遭遇してしまった事は聞いたのですが…そこまでとは。リエル様が生きて帰って来れた事に神に感謝します。それにしても、探検を扱う黒いローブの男ですか…」
青髪は何かを考えこむように少し顔を下げて手を顎に当てる。
猪原の方を見ると暗く、ばつの悪い顔をしていた。
[…猪原、あの時は俺が一人行動を取ろうとした事が悪いし、別に気に病む必要もないからな]
[そうですが…やっぱり私も着いて行けばまた少し変わっていた気がします…]
うーん、これは流石に猪原に何言っても気分は戻らなさそうだ。
少し話を変えるか…。
[そういえばアルゲンは?結局戻ってきたのか?]
[あ…はい、アルゲンさんはリエルさんを探しに1時間以上前に出ましたけど、まだ帰ってきていませんね]
[え、ってことは俺とアルゲンすれ違ったのか…]
アルゲンは俺の事を探しに行ってくれてたのか、先に帰ってきたのなんか申し訳ないな。
[まぁ大体の事はわかった。とりあえず、青髪の計画は明日に実行するんだよな?]
俺の質問に猪原を通して青髪が答えてくれる。
「はい、明日の朝に外の兵士のいる所に向かいます。星団の方も既にこちらに来てから場内で待機されております」
ん、そういえば聖団とか言う奴もいたな。
既に中にいるってことはもう勇者達とも挨拶を交わしたのかな?
これから会うついでにしっかりとそいつの強さを見ないとな。
俺達はこの後も話し合っていると、いつの間にか時間は昼時になっていた。
俺達は勇者達と共に食堂へ向かい、いつもどうり猪原を隣にテーブルの上で座り込む。
勇者達も奥の方でおぼんに食器を乗せて持ち、バイキングのように食べ物を次々と入れている。
[リエル、お前が生きて帰って来れるとは思わなかったぞ。我はお前が帰ってくる少し前まで天に召されたのかと思っていたのだがな]
広場では近づいて来なかった白竜が今頃になってようやく話しかけてきた。
[別に心配しなくてもいいぞ、なにせ俺は生きてられる自信だけはあるからな]
…と、俺は言うが、昨日までは普通に自分を卑下しまくってたんだけどな。
まじで白竜からしたらとんだ俺の様変わりだよな。
俺の様子の変わり方に白竜も少し困惑しているようだった。
[…その変わり様を見るに、やはり外で色々起きたようだな]
[色々って言ったらそうかもしれないけど、実際は外の兵士と追いかけっこいただけなんだけどな]
あ、そういえば…あの大量の魔石のあった建物はどうなってしまったんだろうか。
大爆発が起きていたし、中の人間は俺達のことをみて逃げてたよなぁ。
青髪達との話題にも無かったし、あの後は一体どうなってるかマジで心配だわ。
でも、騒ぎとか騒動も一切起きていないから、外の兵士達かめちゃくちゃ頑張って収めてくれたと思いたい。
[リエル、その体の傷は本当になんとも無いのか?]
白竜がまだ治りきっていない首の切り傷について聞く。
確かに、既にそこそこ時間はたっているけど、首はまだ治っていないのか。
相変わらず痛みも感じないし、体力と魔力だけでも見とくか。
───────────────────────
状態:魔力過疎
体力:18/40
魔力:5/22
───────────────────────
うわ、意外と全然回復してないんだけど。
これ次の日までに全回復しない気がするなぁ…。
瀕死状態は終わったけれども、こんなんじゃ次大ダメージを受けると本当に死んでしまうだろうな。
まぁ、即死する強敵と戦うんだから別に体力あっても意味ないか。
[まぁ、全然痛くもないし、普通にかすり傷ぐらいだな]
実際は大丈夫では無い気がするが、余計に心配されるのも嫌な為平気と伝えた。
それにしても、最初辺りは白竜からめちゃくちゃ嫌味ばっかり言われていたけど、この数日の俺の功績で大分丸くなったなぁ。
この先、俺の超心強い仲間として一緒に旅をしてくれそうだわ。
おっとこれは失敬、先のネタバレは言わないお約束だったな。
白竜は俺との会話に満足したかのように、俺達の机から離れて勇者の元へ向かっていった。
俺は勇者達を食事を見ている猪原に聞く。
[なぁ、猪原はもう聖団とやらには会ったのか?]
[聖団ですか?そうですね、今日の早朝に広場で話しましたよ]
[ん、そういえば猪原は言葉を話せる事をみんなに知らせたんだったな]
俺がそういうと猪原は少し申し訳なさそうにする。
[そうですね…城壁塔にいるリエルさんを少しでも早く助けに行くために、城に戻ってすぐ勇者の皆さんに声を掛けましたから]
その話は先程広場で聞いた話たが、俺はそのおかげで何事もなく安全に戻って来れたんだろう。
めっちゃ感謝。
[自分が同級生とかはまだ話して居ないんだよな?]
[そうですね]
こういう片方が知らない不思議な感じの内容はは物語でかなり後になって表されるものだからな。
俺が正体を明かすなんてもはや最終話とかその辺りになっちゃいそう。
勇者達も、まさか狐が同級生なんて思わないだろうしな…。




