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三十二 青髪


廊下を歩く青髪に突如として3匹の霊獣が後ろからやってくる。

まだ気づいていない青髪に猪原が声をかけた。


[あの、少しお時間頂いても宜しいでしょうか?]

猪原の声に反応して、俺達の方へ振り向く。

青髪は予想外の相手に驚いているようだった。


「***…***************?」



おっと、猪原翻訳機ONにしてもらうの忘れてたな。

すぐ猪原になんと言っているか聞くとすぐに返してくれる。

[これは…霊獣様方が私に用があるのですか?って言ってます]


[アリが糖]

[つまらないです]

[五麺無菜]


俺のいらんおふざけにフンとだけ鳴らしてすぐに青髪と話す。ちょっとあれだな…自分でやっておいて意味が分からんかったわ。


[はい、少し聞きたい事と話したいことがありまして]

「霊獣様から聞けることがあるとは…分かりました、では部屋に案内致しますので私に着いてきてください」


青髪はそう言ってゆっくりと歩き、俺達が歩いて着いて来られるように廊下を進んでいく。


[緊張するね〜]

[これでなにかが分かるといいけどな…]


正直、まだ完全には分かっていない。

今の所はあの隻眼男が最も怪しいと思っているが、黒ローブの存在がまた別の存在にも思える。


深夜に襲撃してきた黒男っていう線もありはするよなぁ。

黒ローブは顔隠してなかったらしいけど。




少し歩いて、広場の入口近くの扉で青髪が立ち止まる。

「こちらです、どうぞお入りください」

そう言って扉を開け、先に入るように促してくる。


中に入るとそこはこの前の夜に来た談話室的な所だった。

全員が入ると青髪が扉を閉めて黒いソファーに座った。俺達も反対側のソファーに乗る。話し手の猪原は真ん中だ。


テーブルにはこの前のクッキーが未だに残っていた。

うげぇ、あれいつまで置いているんだ…そろそろアリとかよってくるんじゃないか?


「では、聞きたいこととはなんですか?」

一呼吸置いて青髪か俺達へと聞いてくる。

[最近、勇者に危害を加えられることが2度ありましたよね。1度は夜の襲撃、2度目は少し前の馬車の爆発…]


猪原の言葉を聞いた青髪はすまないような顔で歯を噛み締める。


「その件は大変申し訳ありません…全ては我々の落ち度です」

青髪が深く頭を下げる。

…この感じだとこの青髪は確実に今回の敵では無さそうだな。

俺達を呼び出して殺すっていうんなら意味不明だし、やはり俺達を狙う人間はは勇者に不満を持った兵士によるもので間違いないだろう。

[私達が聞きたい事はこの城の環境、今までの動向です。兵士が少ない状況も疑問ですが、まずは今回の襲撃の原因を教えてください]



青髪はえぇ!?っとでも言うように口を開ける。

殆ど情報を明かしていないのに、疑問が見つけられることに驚いているようにも見える。

「そうですね…まず、今回襲撃に会ったのは私の側近、兵士長であるラゼンが計画したものであると思われます」


[やっぱりそうなんですね、今回の遠征に行動した兵士は彼が選んだのでしょう?]

青髪があまり決まらないような気持ちで続ける。


「ラゼンは私の昔からの友人で、長い間ここに就いていることもあって、あまり疑いたくは無いのですがね…」


これで兵士長は確実に黒なのは確実になったな。

兵士長に連れていく仲間を選ばせたのは、おそらく青髪が信頼しているだけでなく普段兵士と共にいた筈だから、遠征時に強い相手に対抗できるような兵士を選べると思ったんだろうな。


[複雑だなぁ]

[何が複雑なの〜?]

アルゲンが不思議そうに聞いてくる。

あ、ちょっとやめて?聞いてくるの。言葉に表わせねぇんだよこの気持ちは。


青髪が続ける。

「次に兵士が少ないことについてですが、これは我々の国自体が関わっています


我が国パライは他国とは違い、今までに一度も戦争を行った事はありません。街の外による被害や人による犯罪も殆ど無い為、ここで仕える兵士の数も非常に少ないのです」


へぇ〜、この国ってめちゃくちゃ平和なんか…。

にしては急にやべぇこと起き始めてるけどな?


[この国の兵士の人数は?]

「住宅街の警備も含めて計30名となっています」


え、多くね?

おいおい…ってことはほとんどの兵士を街に送り込んでいるって言うのか?

俺の知っている限りは城内にいる兵士は5人程度じゃなかったか?担架で運ばれている時は知らない兵士も結構いたけどさ、いったい教えはどうなってんだ教えは。


[猪原、ほとんどの兵士を街に当てているのはどうしてなのか聞いてくれ]


[どうしてほとんどの兵士を城内ではなく、犯罪の少ない外へ?]

「…ここに仕えている兵士のほとんどは警備位置をラゼンに任せています。前にその件について抗議したのですが、街の危険が迫っていると言い、私の提案に耳を貸しませんでした」


へぇ〜それって…もう俺達の味方って5人と青髪だけなんじゃね?

赤いプレートを兵士と掲げてたって言ってたし…結構終わってんなこの国。

でもなんで昔からの旧友が突然こんなことをやり始めてんだろうな。


疑問を猪原に伝えて話してもらう。


[どうして今まで起きなかった事が急に起き始めているのか分かりますか?]


青髪がまた少し暗いように言う。

「実は、勇者様方を召喚したのは私の独断なのです…」


青髪の告げた言葉に猪原と俺がえぇ!?と驚く。

えぇーっと、ってことは…かなり自業自得ってこと?

いやいや、でもなんの考えも無しに呼び出したって訳では無いだろうしなぁ。


[理由を聞いても…?]

「少し長くなりますがよろしいでしょうか?」

[構いません]


俺は心の中でゴクリと唾を飲み込む。

青髪は語り始めた。


「1ヶ月程前に話した通り、この大陸には魔王が存在しており、人々はそれに対抗するために勇者を召喚しようと大陸でとても強力とされる3つの王国の内、どの国が召喚するかを決めようとしました…………」




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