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三十一 治療室


全員が担架で運び込まれた後、俺達も兵士から治療室的な所へ案内された。

治療中と言っても置かれているのはベッドだけで専門の回復士が勇者の火傷を徹底的に治しているだけだ。

何もすることが無い四匹は離れてと治癒士に言われて端っこでちょこんと座っている。アルゲンと猪原は仲良く談笑中だ。


「いや、問題なのは誰が敵かが一切分からないんですよ!」

「俺らは一体何しにいったんだよ!おい!」

「この事件について早く教えるんだ」


神島と高濱は青髪にどんどん問い詰めている。

いつの間にか泉も目覚めていつもどうりのクールさを取り戻しているようだ。


青髪は何も反撃はしていないが、慌てた様子で2人を落ち着かせようとしている。

あの人も大変なこったい。



[それで白竜、さっきの話の続き聞いてもいいか?]

俺はまだ詳しく聞けていない白竜の特殊技能についてもう少し聞く。


[さっきも言ったが、我の【風積】はただそのままの通りだ。風を操る以上のことは何も出来ない]

[あ、いやそうじゃなくてだな]

状況が落ち着いて尚、白竜はそれ以降も優しくしてくれている。

あの時とは違って俺の実力を認めてくれたことは少し嬉しく思えるようにはなったけど、正直あんまり慣れない。


[その、【風積】っていう技能が前の魔物と戦った時に俺に使っている気がしてさ。俺が上から降りて奇襲する時に変な突風があったし]


白竜は少し驚いたように目をピクリとさせる。


[その通りだ]

ほら!やっぱりな。

ていうか、普通に嫌ってたのに助けてくれるとか優しくね?


理由を見つけるためにあの時の話を思い返していると、すぐに白竜が俺に対して質問をしてくる。

[リエル、お前はあの時、既に死ぬ覚悟で降りていたのではないのか?]


あ、あ〜。いやいや、そんなわけねぇだろ。

あの時は普通に俺の作戦が完璧に刺さると思って飛び込んだ。

降りる前に風がない時にしっかり着地するイメージはできていたし、突風が来てくれた時の判断も考えてた。

まぁ受け身なんて知らないし、自傷覚悟はあったけど。

二個目が来るのは予想外すぎたよな。


…ていうかあの時、なんであんな素早く【魔力動作】を発動できたんだろう。

なんなら世界がめちゃくちゃ遅く見えたよなぁ。

まぁそういうことよ。


[別にそんなことねぇよ、俺はすぐ死にたくはないからな]

[そうか]


白竜はポツリと言うとそのまま丸まって眠りにつく。

おいマイペースぅ。まぁいいけど。


俺はまだ聞いていなかったアルゲンの持ち帰った情報を聞くことにする。

逃げてたって言ってたし、あんまり期待してないけど。

[それで、アルゲンは街中で俺たちについて話していることは聞けたのか?]


猪原と談笑中のアルゲンが俺の声に気づいてあ!っと答える。

[あ〜!そういえばその話忘れてた〜!]

[そういえば忘れてましたね…結局どうだったんですか?]


アルゲンが少し落ち込んだように答える。

[街中で聞いてみたんだけどさ〜、誰も俺達霊獣のことを話さなかったんだよ〜]

[え、聞けたの?]

[え〜そこ〜?]


いやいや、だって逃げ回ってたって言ってたじゃん。


[あ〜、兵士達から逃げ切った後からはこっそりと聞いてたんだよね〜、何も成果がなかったら霊獣失格だし〜?]

[やるやん]


ふーん、意外とちゃんと手に入れてきたんか。

今の時間は多分3時くらい、アルゲンが街中へ飛んで行ったのは太陽が真上に登る少し前の10時位だとしたら、アルケンが調査する時間的には約3時間の余裕があったのか。

じゃあ聞き込みできて当然か。この国の街ってなんか小さそうだし。


街中ってどういう感じなんだろうか。

ファンタジーな世界だし、地球で言うとドイツとかイタリアみたいな壁から窓までカラフルな街並みだと思っちゃってる。

城の中からじゃ一切見えないし、馬車も裏口から出る。

まだ初めての街中探索はだいぶ先になるかもなぁ。


[え、てか本当に俺たちのこと話してなかったん?]

[そうだよ〜?]


マジかぁ、それじゃあ結局なんの情報も無しってことか?

いやまだ兵士から追われてた理由的なのも気になるな。


[じゃあさ、兵士に追われてたって言ってたけど、その兵士達のやり取りとかは聞いてたか?]

[うーん特に何も〜。みんな一言も話してなかったよ〜]


誰1人話してなかった…?

なんかそれは変だな。今日の朝、霊獣全員で一揆的なことをした時の兵士の対応は、全力で止めようとはせずに普通に話しかけてきた。


無言でやってくるっていうのは…そいつらがスパイっていうことか?

もしくは城内にしか俺達のことを一切話していない…

それだったら、街の住民が兵士を呼んで倒そうとするのはありえる話だな。

それでも、喋らないのはおかしい。



[それ以外に街中で移動中、他に気になったこととかあった?]

俺は最後になにかないかと聞く。


[う〜んそうだなぁ〜、5人くらいの兵士と黒いローブの男が変な赤い物を掲げてたのを見たくらい〜?]

[赤いもの?]


ん?

それってなんか見覚えある気がするぞ。確か…


[うん、それを見てるとなんだか気持ち悪くなっちゃったんだよね〜]



なるほどねぇ〜。

これはもう、黒幕の予想がだいたいついたな。


[アルゲン、それはもう最高にいい情報だよ]

[え〜ほんと〜!?やった〜]

[なにかわかったんですか?]


まだ何も分かっていなさそうな猪原が質問してくる。


[この城で起きている謎についてだ]


猪原とアルゲンがえぇ!?とびっくりしている。

え、いやいやそんな驚くことか?

結構ピースは揃ってたと思うんだけど、思いつけなかったのかな。


とりあえずは今回の鍵となる人間、青髪の方へと目を向ける。

青髪はようやく3人を落ち着かせ、疲れるようにこの部屋を出るところだった。

俺は猪原に言う。


[猪原、あの青髪と話してくれたりしないか?]

[え…な、何をですか?]

[この国の状況と兵士長のような人物について、あとは俺達がやることに協力してくれるかだ]


猪原が話せるなら、最初からこうしたら良かったな…。



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