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二十七 白竜の考え


俺達2匹と2人は生死不明の他の勇者達を山のように積まれた馬車の残骸から探す。俺と猪原は体が小さいから効率悪過ぎて木をどかさずに隙間から探した。

まだ火が少し燃えている所もあったが、特になんの障害にもならなかった。


30分程経った所で高濱と神島が次々と見つけてくれたおかげで、すぐに勇者全員を見つけることができた。


最後の1人を神島が並べられた勇者の所へ降ろす。

どこいったから知らんけど泉は未だその辺で寝ているだろう。

「それにしても、なんか不思議だな…」

高濱が一人一人の心臓の音や呼吸を確認しながら言う。


それもそうだ。なんと、今ここに意識を失って並べられている勇者12人は誰一人死んでいなかったのだ。

多少木の破片で切った傷こそあるものの、まさかの誰も火傷を負ってはいなかった。


「皆が命に別状がなくてよかった」

全員の生存を確認した事で神島がホッとしたように言う。

「いやいや、まだ俺達の相棒が全員見つかっていないから」

[そうだよ、まだ見つかってねぇよ]


俺もそういいながらガサゴソと探す。

勇者達は全員見つけたが、肝心の霊獣達がまだ9匹しか見つかっていない。

あとは白竜ともう1匹、あまり覚えていないが確か青蜥蜴のような霊獣がいたはずだ。猪原も俺から見えない所でずっと探してくれている。


あいつは一番被害の少なく、馬車の端で寝ていた。

それで奴が死ぬとは思えない。


[おーい白竜ー、生きてるなら返事しろやー。それとも死んだかー?]


何回目か分からない俺の呼び掛け、すると後ろから急にどつかれてバランスを崩し、横に倒れててしまう。

[いった!はぁ?急に何事?]


そう言って顔を上げ、振り向くと全身無傷で鱗が白銀に輝いて見えるドラゴンがフンっと鼻を鳴らして立っていた。

[笑わせるな、我が貴様より早く死ぬわけなかろう]

[嘘つけや、ずっと怯えて端っこで静かにしてた癖に]


白竜のめちゃくちゃ元気そうな様子から、そんな事を口出してしまう。俺はハッとなって文句を言うとよくやってくる尻尾に警戒する。


[そうだな、その通りだ]

白竜は俺が思ったよりも普通に自分を卑下するように返してきた。

お、おう?な、え?


[え、マジで?]

[あぁ]


あまりの白竜の様替わりに俺は非常に動揺してしまう。

いや、だってあの霊獣類最強の吉田白竜様だそ?

あの強大な存在に完全に心を折られてしまったのだろうか。

[じゃあ、一体ずっとどうしてたんだ?]

白竜はこの質問に軽々しく返し始める。


[我は爆発が起こる前、貴様らが何かをしている時から状況を警戒していた。だが、今回ばかりは貴様の事を試したくなってしまってな。爆発から逃れた後、どうするのかずっと離れて傍観していたのだ]


ま、マジでか?俺1回逃げちゃおうとしたけどどう思ってんだろ。


[俺が離れた時はどう思ってたんだ?]

[我らが勇者を置いて逃げるはずがなかろう。本当に意図したのかは知らないが、あの黒狼を読んだのは正解出会ったな]


あれはたまたまだよ…、ていうか何も起きなかったら本当に逃げようとしてたし…。

あそこで離れたのは本当にビビってたからだ。もし自分が本当に死んでしまったらと思うと怖くて、適当に言いがかりをつけて逃げてしまった。


黒狼が来たのも俺は気づいていなかったし、来た時にはやっぱりなと頭の中で物語のようなどんでん返しを想像して、何かを考える暇もなく、急いで戻った……――――――――









―――――――でも…なんか結局、近づいたら近づいたでビビり散らかして何も出来なかったけどな。俺なら何かをできると思っていた。

あの状況から助かったのは全てあの黒狼と何か縁がある猪原がいたからだろう。


[俺は別に…何もしてやいないさ…]

俺はそうやって無能な自分を卑下する。勝手に妄想を膨らませて、何も成せない。

[我はそうは思わないがな]


白竜はなんだかいつもと違って俺に優しく、同じ地位かのように話していた。

[じゃあ俺は、何をしたってんだ?]


いつもと違う様子が煽ってるようにも見えて、苛立ってくる。


[猪原を目覚めさせたのはお前だ]

[……]

白竜のその言葉に少し疑問に思う。少し考え、そして理解する。

[あいつに聞いたが、気絶した状態から目覚めたのは声を掛けてくれたリエルのおかげだと言っていたぞ]

[最初のか…]


でもあれは、他の兵士達の叫び声でも起きれた気がするけどな…

[もしまだリエルが弱いと言うのであれば我が言おう]


白竜が1泊置いて言う。

[リエルは我らの誰よりも強い]




[そう]

俺は何も返すことが出来ず、掠れた声で捨て台詞を吐いてその場から逃げるように離れた。







白竜の姿が見えなくなった所で、ぼーっとしていた頭を何とか働かせ始める。

…なんか、何してんだろ。


自分で勝手に卑下してたのに、他人から俺かやった知らない活躍を褒められた。普通なら改心とか、感動するような場面なはずだろう。

なのに俺は勝手にそれを投げ捨てて逃げた。


俺はそんなにできたやつでは無いんだよ…ラノベのように力を持ち合わせているわけでもない。

既に自分では弱いことが分かってるのに、突然はるかに強い存在にあんなこと言われたら俺みたいなやつ、イライラしてしまうのは当たり前だ。


でも、猪原からだと違うよな。

あいつも俺より全然強い、でも褒められることはよくあるけど逆に[そ、そうか?]って感じだ。


[はぁ、俺ってねんどくせぇ]


そう呟いてまた溜息をつく。

分かってるけど素直になれないよなぁ、俺って。


体を横に倒して、人間とはかけ離れた長い首を使って自分の閉じた翼と尻尾を見つめる。自分の翼を広げて素早く前後に動かす。この体はビクともせず四肢が地面に一生くっついたようにも感じてくる。


これを自由自在に使えたら、俺は変われる気がするように思える。

今の俺はただの四足歩行で歩く蜥蜴と同じだ。多少滑空なんてして落下を抑えることはできるようになったけど、飛ぶことができるようになるのはあとどれ位かかるんだろうか。


俺は何か変わっていないかステータスと念じる。

相変わらずほぼノータイムで青いホログラムの画面が目の前に表示された。

___________________________

名前:リエル

種族:リトルマナドラゴン

状態:疲労

レベル:3/5


体力:20/35

魔力:12/20

攻撃:20

防御:17

魔法:18

敏捷:19

総合戦闘能力:41


特殊技能

【魔力動作】【観察】


技能

【あばれる】【跳躍1】【回避2】【思考5】

【判断4】【体力3】【防護2】


称号

【呼応の霊獣】

___________________________


ステータス伸びてる…

レベルは上がってはいないが技能の【体力】と【防護】が上がっているおかげだろう。

総合戦闘能力も40を超えているな。今の俺にはそんなに強くないと思うしかないけど。


魔力が減ってるのはすこし変だな…今日はまだ一度も【魔力動作】を使用していなかったと思う。前見た時も一度しか使っていないのに1日休んでもかなり減っていた印象が残っている。

魔力切れを起こすのは嫌なんだよなぁ…、1回だけ残り魔力2しかない状態の時に死ぬかと思ったし。

いずれ何とか解明しないとまずそう。


称号も新しくなってるな。よびこたえ、の霊獣かな?ちょっとよく分からんけど、なんかかっこよくなったな。

全体的に変わってくれたのはいいけど、やっぱりレベルを上げたかったな。兵士を1人でもつついとけば良かった。




「おーい!みんなこっちに来てくれ!」


まじまじと青いステータス画面を見つめてると、高濱か遠くまで聞こえるような大声で俺たちに集合するように呼びかけるのが聞こえた。



[はぁ]


と、力があまりはいらないが、馬車の残骸を八つ当たり気味に強く蹴りながら高濱の所へと向かった。

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