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二十三 隠し爆弾


誰1人一言も話さず、ガタガタと小さく音がなり続ける中、10分程の時間が過ぎた。

神島達と白竜は出発して直ぐに眠ってしまった。

起きているのは俺と猪原、そして全身重装備の二人の兵士が奥で礼儀正しく座っているだけだ。

ずっと黙っていた俺は、ようやく口を開けた。


[どうするべきだろうか…]


すぐ隣にいる猪原は直ぐに返す。

[分かりません、でも私達の方が危ないと思いますし、アルゲンさんの事は気にしなくても大丈夫だと考えたいですね]


まぁ、そうだよな。あいつが今頃何してるのかは知らんけど、恐らく何か重要なことをしてくれているに違いない。

別に心配しなくてもいいんだよ。

馬車の中はまた静かになった。










そこから10分20分。30分経った。

[いや長いな…]

[もうあと少しで1時間が経つと思いますね]

[一体どこまで遠くへ行くのやら]


こんだけ遠くへ行くなら、別の国へ向かっているようにも思えてくる。

小説とか漫画でだと一瞬でカットされてるけど、国を移動するために1週間は掛かるとか描写された話もあるし、実体験だとめんどくさいよなぁ(n回目)


[はぁ〜猪原以外誰も話さないし、いつまで続くのやら…]


勇者達も白竜もずっと寝てる、俺も寝たい気持ちはあるけどなにか奇襲される気がして眠れない。

あ、そうだ。この馬車やけに上げ床だから床下をちょっと見てみるか?

どうせ何もやることないし、ぼーっとしてるよりかはマシだろう。


馬車の床は前の布のような感じと違って木製で、外側も豪華って訳では無い。

俺は席の上から床の木目に隙間が無いか全体的に探す。

うーん、開ける場所とかそれらしいものは無いな。


次は席を降りてゆっくり歩きながらじっくり見る。

少し薄暗い中の木はオークのような色味で、1部杢目も見られたりして不格好なように思えてくる。そう言う知識ないから知らんけど。


[リエルさん、そんなにウロウロしていると怒られますよ]

[暇なんだし別にいいだろ、寝てるし誰も見ていないだろ]

[兵士さんが見てると思うんですが]


全身重装備を着た兵士を見るが顔全体も隠れていて、真っ直ぐ座っているためこちらを見ているとは思えない。

兵士の事は気にせず、また調べ続ける。

真ん中辺りまで行くと少し四角形の切れ目のある所を見つけた。


…どう見てもこれは意図的に隠されているなぁ。

開ける用の取っ手はほんの少しだけ凹んだ所だけで、普通だったら絶対に気づかない。この取っ手の形状だと上には開くことは無さそう。

とりあえず前足の爪を凹みに引っ掛けて横に力を入れてみる。


…硬い。

少しの力ではほんの1ミリも動かず、ビクともしなかった。

しっかり開けようと力を強めていく。


[痛っ]


逆に爪がちぎれそうになってすぐに前足を引っ込める。

これはまぁ1人の力じゃ無理だわ。

いつも通り猪原に助けを求めることにする。


[猪原、これ開けてくんない?]

[…なにか見つけたんですか?]


猪原は眠そうな声で起き上がる。

あ、今から寝ようとしてたところだった?すまんすまん


[ここに開けるところがあるから開けて欲しい]

[分かりました]


猪原は席を降りて、俺の傍にきた。

[任せてください、でも多分無理かもです…]


猪原は狐だから俺よりも爪がしょぼい、見た感じまず取っ手に引っ掛けること自体難しそうだ。

猪原が俺と同じように足を取っ手に置く。


力が入るとまるでさっきまで鍵かかってましたよと言うかのように横に開いてしまった。

ば、バケモンだ。


[わぁあお、猪原怪力だなぁ]

[…?はい]


猪原はすんなり開いたことに不思議になっているのか(?)が浮かんでいる。

いや違う、違うぞ!俺が非力では無い。俺以外が怪力なんだよ!

何はともあれ開いたし、中を覗いてみるか。


[何が出るかな〜]

[何も無いと思いますけどね]


床のその下の中には俺より少し小さい位の赤い小袋が入っていた。

紐で口がしっかり括られていて、中に入っているものは見えない。

他の物が無いか首を下に下ろして奥側も見てみるが、これ以外何もなさそうだった。


[…なんだこれ?]

[非常食かなんかじゃないですか?]

[いやどう見ても人間が食べて足りる量ではないだろ]


うーん、どう見ても怪しい…。

よく聞くとなんだかチリチリとした音が小袋から聞こえる気もする。分かんないけど。


[開けてみます?]

[ああ]


でもちょっと心配だし、ちょっと神島達の様子も……兵士の首がさっきまで真っ直ぐ向いていたのに、明らかにこちらを向いている。俺と目が合っている。

猪原は下に降りてすぐ、紐に触れようとする。


[猪原待ってくれ]


直前のところで猪原が手を引っ込めた。

[え、なんですか?]


絶対におかしい、俺の勘がそう言っている。

この袋にはトラップでも仕掛けられてそうな気がする。

触れた瞬間爆発したりする可能性も…。


[やっぱり怪しい…]


何か分かる方法は…【観察】か?

そういえば一度も物に対して使ってなかったな…能力の詳細にも書いてなかったし。

観察するんだから余裕で物の情報も確認できるはずだろ。


とりあえずいつものように小袋に対して【観察】を使ってみた。

すると簡単にステータスを開いた時のようにウィンドウが開いた。

_____________________

【爆発袋】

爆魔石を袋に詰め込んだ物。普通程度の衝撃で

中範囲に高威力の爆発を起こす。

_____________________


フツーに危険物じゃん!

いや、てかなんか余裕で調べられたな…。


[これ、爆発する]

[え、本当にですか?]

[マジ]


あーどうしよう、爆発物をそのまま放置なんて出来ないし、かと言って乱暴に外に出そうとすると持ってる途中に起爆する可能性がある。


[何か衝撃を与えずにこれ外に放り出す方法無い?]


これは猪原の知恵も流石に何も出ないだろう。

[私が咥えて外へ持ち出しますよ、体の硬いリエルさんよりはましですから]


俺はゴツゴツした動きだけど猪原はもふもふってか?

それが1番良い策だよチクショウ。


猪原は目を閉じて1つ深呼吸する。


[それでは行きます…]


猪原は軽い一呼吸を置く。カッと目を見開き、乱暴に袋の上を咥えて直ぐに上に登る。


[え、ちょ…]


俺の困惑はなぎ払われるかのように片方の兵士が立ち上がりながら剣を抜くのが少しだけ見えた。

その剣は小袋を咥えた猪原に狙いを定めていた。


俺も咄嗟に上に登り、兵士が剣を猪原に突き刺す構えの所を足元に全身をぶつける。

全身甲冑は伊達でもなく、痛みが響くが相手をよろけさせることは出来た。


後は、猪原に任せるだけ…











[わあああああ!]


猪原がカーテンの隙間を潜り抜けて消えたところで猪原の叫び声と共に、全てをかき消すように大きい爆音が空間を揺らした。

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