二十二 これなら何とかなりそう
広場に戻ると勇者達は既に訓練の時間は終わっていたようで、俺と神島が来るのを座って話しながら待っていたようだ。
戻ってきた事にに気づいた近くの勇者が言う。
「神島、めっちゃ遅かったな、リエルがなんかやらかしたんか?」
「いや、そういうわけではないけど結構話し込んでて…」
広場の中に入った後、神島は俺を下ろして勇者達の輪に入った。
「そう、俺達の仲間が意思疎通することも大事なんだぜ」
「ほぉーん?じゃあ俺はとりま相棒にコミュニケーション仕掛けてくるぜ!」
「よせ、またやられるぞ」
霊獣達の集まりには行かず、話しているところを見ていると青髪が広場にやってきた。
青髪は勇者達を人目みて直ぐに言う。
「****、********************」
…とりあえず猪原に目を向ける。
猪原は仕方ないようなむぅっとした顔だ。
[…勇者様方、準備が終わりましたので着いてきてください]
[おけありがと]
俺達は直ぐに全員青髪について行った。
向かったのは城の裏口、小さな広場のようで沢山の馬車以外何も置いておらず地面全体に石畳が敷いてあるくらいだ。
同行するであろう30人程の重装備の兵士達が俺達に向かって敬礼をする。
よく見ると兵士達が敬礼している中、奥に馬車へ寄っかかって俺達の様子を見ている人間がいる。
俺はそいつを見た事があった。
_______________________
<ラゼン>
総合戦闘能力:230
_______________________
この世界に来て1番最初にだけ顔を出して、それ以降顔を見せることはなかった兵士長的な人物だった。
左目は切り傷で閉じていて、大きい大剣を隣に立て掛けている。前に戦闘能力見れなくて気になってたけど、青髪より強ぇじゃねぇか…。
でも、彼が一緒に来てくれるなら非常に頼もしい存在になりそうだ。
そう思っているとラゼンは大剣を持って馬車の奥に行き、見えなくなってしまった。
どこ行くねーん、まぁいいか。
とりあえずは彼を見なかったことにしとく。
話を戻すと。
俺達は前回、前々回もここから森へ出発していた。
[今回なんか兵士の数多いな…]
[本来あの森が弱いってだけで外に行くと魔物が全然強いことなんでしょう]
[絶対何かしら起こるやん]
[ですね、頑張りましょうか]
多分ここらでここにいる兵士達が退場するのかもなあ。
兵士達はそれぞれ1つの馬車に2人づつ入っていく。
兵士長的な人物が活躍してくれることを期待。
青髪がこちらへ振り向くと話す。
「これから荒地へと向かいます、勇者様はそれぞれの馬車にご自由にお乗り下さい」
「よし!じゃあ俺この馬車に乗るぜ!」
波崎が颯爽と先頭を走る1番大きい馬車へ乗る。
「適当に乗って行こうぜー、どうせ着いたらおりて集団行動するんだし」
「じゃあ俺も波崎と一緒にのろーっと」
「おーい神島〜、今回は俺も一緒に乗せてよ〜俺の相棒も今どっかいってしまってるんだよ〜」
「悪いな、神島の席はもう俺がいただいた」
「が〜ん」
「…ごめん」
水戸川は悲しそうにとぼとぼと端っこの馬車に乗った。
勇者たちは各々霊獣と一緒に馬車に乗っていく。
定員になると馬車は先に出発していく。
そんな先急いで大丈夫かねぇ?先に向かった奴らやられたりしない?しないか。
[俺達はどこに乗るのかな]
[出来れば真ん中辺りがいいですね]
神島はいつも通り高濱と泉と一緒に乗るつもりのようだ。
だから、まぁ、また白竜と猪原との三匹三人パーティって言うことですね。
「ここに乗ろうか」
神島が先導して真ん中辺りの馬車の中に入っていく。
俺達も一緒に馬車に近づく。
ってこの馬車、前の時よりデカイな…、そのわりにはやけ下が底上げされているっていうか、乗るための階段が高いのよ。
荷物置きの為に下に空洞開けてるとしたら先代の知能をちょっと疑うわ。
そう思いつつ、力強くジャンプして馬車に飛び乗った。
入口から1番手前の席に俺は座る。
全員が中に入るとカーテンは閉められ、光が少し暗くなった。
中は外が見えないようになっていて閉じ込められているような気がしてくる。
これはもうヤバいぞ、緊張してきた。
[一体どんな困難が待ち受けているのやら…]
[貴様はずっと落ち着いていないな]
[うるさい]
白竜は一言だけ言うとまた直ぐに丸くなってしまった。
全く白竜のやつ、いっつも眠ってるようなフリしてる癖に、全部聞いていて嫌なこと話して来るんだよな。
そのままずっと眠ってればいいのに。
[リエルさん]
ムスッとしていると猪原が震えたような声で話しかけてきた。
[え、なに?どうした?]
猪原は俺と同じように落ち着かない様子で話した。
[アルゲンさんがまだ帰ってきていません]
[あ]
アルゲンは町で聴取に向かってまだ戻ってきていない。
そういえば水戸川がまだ相棒が戻ってきていないって言っていたような…。
馬車はガタガタと動き出し始めた。




