二十一 経緯
はい、というわけでね、分かれてバラバラになっていた霊獣達も集合してですね、ただいま食堂へ来ております。
初めてこの城の食堂へ入るけど雰囲気は本当に城とは思えないくらい皆が考えそうな食堂です。
席は50位で城にしてはちょい少なめな気がするけど、兵士の人数と勇者を合わせれば妥当な数だと思う。
俺達と猪原は勇者達が食事をしている間にテーブルの上で今回について話しながらくつろいでいた。
少し前に青髪から一方的に話してくれたので、事の経緯を話そうか。
今日の朝、神島達は霊獣達を広場に置いていった後、青髪に呼ばれたらしく、広場には戻れなかったそうだ。
朝、朝食を食べたあとこの城の兵士ほぼ全員とずっとあの暑苦しく狭い部屋にいたとか。広場で監視していた兵士は青髪から急に任せられ、1人だけ広場に着いていたらしい。
どうやら本当に1人だけだったようで可哀想に思えるな。
俺達はそのまま広場を抜けて各々探したが、あの兵士一人で全部の霊獣達に勇者の行方に関して話し回ったらしい。
他の霊獣達はその話を聞き入れ、全員広場に戻っていた時にはめちゃびっくりした。
あの兵士はよく一人で頑張ってたよ…うん。
そして、全ての人を招集してまで長く話していた事は、神島の夜襲とそれに関連した情報、気をつけるべきこと。そしてまた外での魔物狩りについてだった。
[また外に出るのかよ…]
[今回は前の森じゃなくて、新しく離れたところに向かうらしいですけどね]
[どうせまた散歩であると思うがな]
[いや白竜はなぜ俺らと一緒にいるんだよ]
[別に無くなるものなどないでは無いか]
白竜は怒ってもなく恥ずかしがってる訳でも無く、フンと鼻を鳴らしながらゴロ寝でよく分からない表情をしている。
いや人間が感情がわかりやすいだけで普通の動物はそうか。
結局、今日の俺の不安は杞憂だったようだ。
見張りの兵士達を全員を集めた事は少しヤバいと思うが、本当に城の兵士は少ないし、青髪は伝達も一気にやった方がいいと思ったのかもしれない。だがもうそういう事はやめて欲しいがな。
ただ、沢山のゴミ部屋に関しては分かっていない。
まぁ、あんまりストーリーとかに深く関わらないような場所だから雑に作られている的な?知らんけど。
[それで、次はどこに行くんだろうな]
[森からかなりかけ離れたところにでも向かうんじゃないんですか?この辺りはちょうど何らかの強大な力等が働いて動物達が離れてしまったようにも思えますし]
[ふーん]
離れた所ねぇ、次は迷いの森とか来るんじゃねぇか?無限ループとかしてなんかまた俺がなにかして無限ループを抜け出す的な感じだろ。
[はぁーぁ、早くレベマになって俺TUEEEEしてぇなあ]
[そんなのまだ早すぎますよ、ここに来てまだ1ヶ月しか経っていませんし魔物1匹倒してレベル7になったばかりですよ]
[え、レベル7?]
レベルに差がついているだと?…猪原はまだ俺達と倒した一匹しか倒してないしこれはもしや。
[はい、そうですけど?]
[じゃあ白竜は今何レベルなんだ?]
白竜はねんど臭そうに答える。
[ふん…今は15だ]
[わあお]
そこ普通に教えてくれる白竜様お優しいこと。
つまり、そういう事だな。
この世界での経験値は均等振り分けではなくて、貢献量によって取得経験値が変わるやつだ…。
猪原もレベル7になってるあたり、神島達も同じくらい働いていたからレベル7にはなっているだろう。俺がラーファウルに対してもっとダメージを与えて貢献してたら、レベル5まで余裕だったろうな。
[白竜ありがとう、いいこと知った]
[それは良かったな]
白竜はそう言うと体を起こしてテーブルの上から飛び降りてしまった。
[なんだあいつ…ツンデレかな?]
[それは絶対ないと思います]
あいつにも可愛い1面があるんだなあ。
もうすぐ神島達が食べ終わってると思い、神島達が食べていた椅子の方を見てみると既に食器は全部片付けられていて、こちら側を高濱と2人で見ていた。
よく見たら周りには少しだけ兵士がいるだけで、騒がしい勇者達は霊獣を連れてどこかへ行ってしまったようだ。
「お、やっと気づいた」
「会話に夢中だったね、今度は何話してたんだろう」
[うっわまじか見られてたし]
話している所を他人に見られ続けたりしていると、なんだか恥ずかしくなるのは俺だけか?
[もう食べ終わってたんですね、気づきませんでした]
「じゃあさっさと広場に行こうぜー、アイツらに先越されちゃまずいからなw食後の運動は大事だからな!この後遠出する予定だし、それじゃ、お先に失礼」
[あ、ちょっと何するんですか!わああ!]
高濱は驚く猪原を勢いよく鷲掴みにし颯爽と食堂を出ていった。
一瞬の静粛のあと神島がポツリと言う。
「リエル、戻ろっか」
…俺はよく見られている人から悪く見られてるって思ってしまう。全部俺の妄想だろうけど。おっと話を引きずるのは良くない良くない。
[はぁ、ねんどくせえ]
俺は軽くため息をついて神島に抱えられながら食堂を出た。




