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十八 飛ぶ恐竜


おはようございます、朝がやって来ました。

体を起こし、首と四肢を伸ばして軽く音を慣らす。

そして隣にいる神島を尻尾でペチペチ叩く。


[起きろー]

「うーん、はいはい…」


直ぐに目覚めた神島は白い服に着替える。


「今日も頑張らないと…」


本日もいつもどうりに神島が俺を持とうとする。

[甘いぜ!]

俺は神島の手の抱擁を後ろに避ける。

あ、何となく避けちゃったけど別にやらなくても良かったかな…神島がなんかキョトンとしちゃったな。でも今日は一人で広場に行くんだ!

ずっと毎日抱えられていた俺だが、流石にもう介護されながら行くのはごめんだ、あれ俺が子供に見られてそうで恥ずかしいんだよな。

「どうしたのリエル?」


俺は振り返りそそくさと部屋の扉を開けようとジャンプして空扉のノブに捕まる。

昨日の夜のように下げることができて俺は地面に着地する。

よし!さっさと脱出…あれ?扉開かないんだが…。


?が浮かんでいたら神島はあっさりと空扉を後ろに開けた。

せやん、内開きだったわ…。


「ふふっリエル、おっちょこちょいだね」

神島は面白可笑しく笑いながら俺に向かって言う。

俺は今にも恥死しそうだ!




結局担がれて広場に持ってかれた。

[無念…]

[今日はやけに神島さんが嬉しそうですね]

[別にいいけど、元人間としての恥をさらに失ったぞ]

[えぇ?]

「よいしょ、今日も頑張ってね、リエル」


神島は俺を下ろすとさっさと広場を出ていってしまった。

ちくしょー、次脱出する時はちゃんと内開きの練習してからやるぞ。もうあの失敗はしねぇぞ。


広場には少しづつ霊獣を連れた勇者達が入ってきており、俺は久しぶりに早く広場に来たようだ。早く来れない理由は神島の寝坊助のせいだが…。

増えていく霊獣立ちを見ていると猪原が話しかけてくる。


[それにしても今日は皆さん静かですね…]

[静か?まぁ、言われて見れば誰も戦っていないし話しかけても居ないな]


霊獣達を見ていると誰も戦ってなどいなかった。あの戦闘狂達がいつもより堕落してるし…なんかあったんだろうか。

[…もしかしてだが、あいつら遂に戦うの飽きた?]


疑問に思っていると、後ろから誰かが話しかけてきた。

[そうだよ〜、リエルの言う通り]

[え、誰?]


俺の周りにはそんなイレギュラーな存在いたっけな…。

驚きつつも振り向く。

若々しい陽気な声で話しかけてくるそれはどう見ても空を飛ぶ恐竜、アルゲン…なんとかを模した霊獣だった。

[お前か…]

[やっほ〜]


彼を見ると、アルゲンはドヤるように両翼を広げて魅せた。なんだコイツ


猪原が暇な時によく見てるやつだったな、今の所唯一の空を飛ぶやつだし猪原も俺が居ない朝時によく彼と話していたと思う。

おどけたようなやつだし、結構親しみやすいんだろうな。

[アルゲンさん、それって本当ですか?]

[うーむむ、今日の今日までずーっと戦ってたけどさぁ、勇者様方が一向に動かないし、同じやつとやるの飽きちゃったんだよね〜、弱いし]

[弱い…飽きたってことはもうあいつらとはやらないのか?]

[いや、流石に体を動かしてないと鈍っちゃうから〜普通に続けはするかな〜?]


へー、まぁ俺には関係ない事なんだが…。

[言いに来たことはそれだけなのか]

[いやいや〜そんなわけが無いですよ〜]

[もしかして、私たちに協力して下さるんですか?]


突然猪原がとんでもないこと言ったぞ!?

いやいや、こんな戦闘狂共が一緒にやってくれることなんて絶対に無いって…だって何もしてこなかった俺の事を霊獣共はずっと引き離してたんだもの。

[いや、普通に考えてそれは絶た[もちろんだよ〜!]…]


俺の声を遮るように喜んだように大きい声でアルゲンは話す。

[…ガチで?]

はぁ〜?今更どういうことなんだよお前ら。


[リエルさん、実はアルゲンさんがこれから起こりそうな事を手づだってくれるのは少し前に言ってくれてたんですよね]

[アルゲン、お前がか?]

[だってえ〜、ヤコが「貴方も一緒に手伝って欲しいの(裏声)」って行ってきたからさぁ〜]

[アルゲンさん、私そんな風に言っていないんですが…]


普通に俺と猪原だけで攻略するかと思いきやまさかのってことか。

これはこれは嬉しい誤算だな。

元々、ここにいるだけじゃ何も出来ないからこっそりと1人で脱走して情報を集めるつもりだったのだが、指示するだけで他人の力で集めることが出来るようになったってことだろ?

猪原、まじでよくやったな。


[まぁ手伝ってくれるのはありがたい。でも俺達が今何をしているのか詳しく知っているのか?]

[もちろんだよ〜。確か今は外の情報収集に困ってるんだよね?]


コイツ、やるではないか。

[あぁ、そうだ。街中の人々が勇者についてどう思っているか知りたいんだ]


俺達は馬車で外に出る時、必ず街道を走るのではなく城の裏道から出ている。

住民達を騒がせたくないという考えだけじゃ絶対的はずれな回答だし、1ヶ月間勇者達を住民に一度も顔を合わせないあたり、俺達の事をよく思っていない可能性もある。

[で、なんで知ってんの?]


流石に猪原から聞いただろうが、一応聞き入れた所を確認しとかないとな。

[あ、それは私が…]

[あーおけ、なら良かった]

[そーだね〜]


自分が知らない所で何かが伝えられるのってちょっと嫌だな。ラノベ系を見る側だったら他の視点があってすぐに分かるのに。そういう能力ないの?ないか。


[とりあえず、手伝ってくれるのは大変ありたい。今から早速聞きに行ってもらっていいか?]

今日に関してはあんまり予定を聞いていない。でも流石に連続で森に向かうっていうのは確実にないからな。来週辺りからまた始まる可能性の方が確実だろう。

[おっけ〜、じゃあ行ってくるね〜]


アルゲンはそう言ってその場ですぐに飛び立とうと翼を広げる。

[あ、聞いてくるのはこの街の住民が勇者達に対してどう思っているのかだからな?]

[は〜い]


よし、とりあえず空回りしないようにこれ言っとけばもう大丈夫だろう。何かまずいことが起きるとしたらアイツが捕まってしまうくらいだ。

だがあいつは翼があって飛べるし、見つかったとしても都合よく投網とか持っていなければ容易に逃げられる。


アルゲンは飛び立ち、少し上がると城下街へと向かっていった。

[アルゲンさん気をつけて下さいね]


彼が見えなくなってから猪原はぽつりと言う。

あ、えーっとまぁ、とりあえず飛んでいっちゃったし。


[猪原、今からガンガン練習していいか?]

[いいですよ、でも前のようにすぐに疲れないでくださいよね]

[この前は気持ちを上げすぎちゃったんだよ!]


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