十 いやー(汗)
俺達はもうすぐ初めての実践を行うんだが、当たり前の問題が起きた。
「リエルが急に倒れるとは思わなかった。」
「ドラゴンでも疲れるんだな。」
「このペースじゃ全然進まないね。どうする?」
「神島が肩にのせて置けば?」
「そうしよう。」
俺は今、神島の肩の上でめっちゃバテている。正直足場狭くて不安定で休みづらいけど。
俺は結構頑張ったんだよ?
最初は草ばっかりで歩きにくくてキツかったけど途中から草が減ってきて、所々生えてるんだけど草かないから余裕と思ったら、回り道は遠いし神島達はどんどん進んで行くし全力で行かないと追いつけないしでめちゃくちゃ重労働だった。
10分くらいでかなり疲れてしまったけどそれでも倒れるまでずっと追い付こうと進んでたんだよ。
大体20分くらいで限界になって地面に赤いシミみたいのが沢山見える幻覚まで見えて来てたし…
[全く、貴様は来なければ良かったものの。]
[リエルさんが倒れた時は心配しましたよ。肩に乗れば良かったのに。]
[乗れば良かったって後悔してるわ。]
いやー、本当に言っておけば良かった。
先に言えば、死にそうになる前に休憩取れたのに。
実際、白竜が泉の肩の上で、って寝てるし。ようそんな器用に泉のマフラーみたいに乗れるな!泉がなんか猫背なってる気もしなくないけど。
流石に俺も頑張らないといけないよな、猪原は自分の足で進んでるんだし。負けたくねぇ。
でも、今はきついから神島の肩の上で休む。
俺達は護衛の兵士と一緒に行動をしていない、神島、高濱。泉、その他俺含め3匹で行動している。理由的には神島達が兵士を連れていくことを拒否したからだ。他のチームはちゃんと連れているのに、どうしてNOを出したのだか。
危険な生物がいないらしいから大丈夫だろうけど、心配っちゃ心配だよな。
なんか体力とか減ってないかステータスをみてみるか。
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名前:リエル
種族:リトルマナドラゴン
状態:疲労困憊
レベル:1/5
体力:13/27
魔力:18/18
攻撃:16
防御:15
魔法:15
敏捷:17
総合戦闘能力:31
特殊技能
【魔力動作】【観察】
技能
【あばれる1】【跳躍1】【回避1】【思考3】
【判断2】【体力1】【防護1】
称号
【最弱の霊獣】
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いや体力めっちゃ減ってる!
疲労困憊か、それで減ったのか、なるほどねぇ。
休みつつ時間が経てば、疲労になるのかな。
一応定期的に見ておくか。
それよりも、いや、あのさ。えぇ、何で称号が最弱の霊獣になってんだよ。酷くね?
いや、技能が二つ増えて体力と防御が上がったのはいいけどさ、自分のステータスまで俺の心を折りにくるとは思わないじゃん。
でも俺には異世界で好きに生きたいからな。
その為には強くならないといけない。
あと少しの辛抱なんだ。
この世界に本当に進化の概念があったら俺はいち早く最強になるんだ。
精神力と努力だけでは大体負けない自信がある。
頑張れ俺!
10分程休憩していると大分楽になってきた。
再びステータスを見ると疲労になっていた。
それにしても、魔物が全然出て来ないな。
神島達も同じくそう思ったのか話始めた。
「全然魔物いないね。」
「この辺がとっくに狩り尽くされているのかもな。」
「そうだったら最悪。」
そう話してると目の前の茂みがガサガサと揺れた。
わお、最初の敵か?小さそうじゃん。
[あ、茂みが動きましたね。]
[あそこにいるようだな。]
神島達も気づいたようで戦闘体制をとっていた。
茂みがしばらく揺れていると草が生えていないところに出てきて、飛び出してきた。
飛び出してきたのは白い毛があり、黄色の目をした兎。
兎だ。
「ただの兎だ。」
「ただの兎だね。」
「ただの兎だな。」
兎は何か可愛い仕草で毛繕い的なことをしている。
いや、もしかしたら兎の皮を被った化け物かもしれない。
俺の特殊技能、‹観察›は相手の名前と実力が見えるのだ!
ってことで‹観察›。
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«フラグビット»
総合戦闘能力:7
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名前が変!フラグだと!?やっぱり化け物…ってよっわ。
初期の俺よりも弱いんだけど。
あ、名前のカッコが違うな。確か白竜や神島達を観察した時は<>だったよな。名を持っていないやつしか見えない種族名的な?
うーん普通に弱いし特徴は同じだけど異世界だから、名前が地球とは違うんだろうな。
ていうか、マジでただの兎だな。
[あれはただの兎だね。]
[魔物が出たのか?ってただの兎ではないか。]
白竜は魔物が出たと思ったのか起きたようだ。
ていうか、皆ただの兎って言葉好きなん?俺も好きだよ。
ただの兎は俺達を見ると慌てて逃げていった。
「あいつは自然物だからだめと言ってたヤツだな…早く魔物探そう。」
「同感、さっさと先行くか。」
「あ、うん。」
俺達は次に行こうと視線を兎から話したとき、急に草が大きく揺れたと思ったらゴキャって言う音がした。
…変な音したなぁぁあぁ、嫌な予感しかしないなぁ、あはは、はは。
慌てて全員が音のした方向を見ると、そこには血だまりの中心に無惨な姿になった兎が倒れていた。
うっわグロい。内臓まで出てるし。
でも、特に怖い感じはしないな、異世界で人間やめて精神力が上がったのかな?
神島達の方を見てみる。
神島達は口元に手を当てて気持ち悪そうにしていた。
「マジかよおぇぇぇぇ。」
「…気持ち悪いな。」
「お、お前はいいやつだったよ、う、吐きそう。」
泉は吐いているけど、普通に神島と高濱も動けなさそうだな。
猪原と白竜も普通に兎の無惨な姿を見ていて平然としている。
っていつの間にか白竜は泉から降りていたようだ。既に正面で睨みつけている。
俺は神島の肩から降りて猪原に聞いてみる。
[猪原、お前は平気なのか?]
[あ、はい。私、グロい系は完全に慣れていますので。]
[貴様ら、あれは魔物だぞ。]
白竜はそう言った。
確かに兎の側には魔物らしき相手がいる。
俺はそいつをじっと見る。
四足歩行で全身が薄黒い毛、1色に光るようにとても赤い目、唸り声を上げて威嚇をしているその姿は狼に近い。大きさも俺の1.5倍程で口からは兎を絞めたであろう血肉が垂れている。
これから、俺は初めての魔物と戦う。
正直、ちょっと怖いけど、この辺は弱い魔物しか出ないんだ。
霊獣の中でい一番強い白竜もいるんだし、余裕だろう。
神島達を見てみる。
神島達はまだ跪いたり、恐怖に駆られて全然無理そうだな。
[初めての魔物か、緊張するなぁ。]
[大丈夫ですよ、この辺は弱いんですから。]