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勇者は魔王で魔王は勇者で

どうして入れ替わった。

@短編その72

「えっ」


魔王の根城であるラクシュミ城の奥の間、寝室で魔王は起き上がった。

部屋をぐるりと見渡すが、彼には見覚えのない部屋である。




時同じく・・

魔王の城から、遥か離れたセブライ国の宿屋で寝ていた男は、辺りを見渡して・・・


「なんじゃこれはーーーー!!」


変な声で絶叫したのだった。





信じられないことが起きたのだった。


魔王には勇者の魂が、勇者には魔王の魂が・・

何故か入れ替わっていたのである!!


なんとなく理解を先にしたのは、魔王だった!!

勇者の体をじろじろ見て・・・ズボンをびょーんと伸ばして中を見て、にやり。


「よし、この体で悪いことしてやろう」




そしてそれより数分後、遅れて理解した魔王の体の勇者は・・・悪い予感がした。


うん、多分オレの体に魔王が入ってるんだろうな。

そんな嫌な予感がする。

オレの体で何かして、面白がるに違いない。そう言う奴だ。

そして彼は、気合で念じて魔王に語りかけてみた。とにかく試してみた。


(魔王!!お前、オレの体で悪さしようとしているだろう!!)

「う、わああ!!」


急に誰かの声が頭に響いて、魔王はびっくりして宿屋の床に尻餅をついた。

情けない事に、魔王なのに、派手にびっくりしたので、勇者は笑いがこみ上げて・・・大笑いだ。

どんな様子かが、なんとなくだが分かるのだ。

今魔王は、痛む尻を撫でて起き上がるところだ。


(あ、あははは!!魔王ともあろうものが、ビビリなのかい?これはおかしい!!あははは!!)


魔王の頭の中で、勇者は爆笑、ツボに入ってしまったらしく、止められなくてお腹が痛いほどだ。


(まだ笑うか。急に声が聞こえたら、びっくりするものだ!この野郎・・・絶対殺す)


魔王は憎々しげに、脳内の勇者の姿を睨みます。


(よし・・すっぽんぽんで街を駆け回ってやる。フルチンでな!)

(げ!!やめろ!!)

(嫌と言われて止まるのは魔王ではないだろう?)


ニヤニヤ笑う魔王に、勇者は・・シリアスな表情で、言った!!


(・・・・オレもすっぽんぽんになる。お前の部下の前で、しゃなりしゃなりと優雅に歩き回ってやる)

(なんだと!!)

(オレは街の人間全員と顔見知りや友人ではないからまだダメージは少ない。だがお前は、城内は部下だらけ!お前を尊敬し、敬う部下の前で全身晒したいか?)

(お、お前はそれでも勇者か!)

(勇者だって、やられたらやり返す。当然だろう)


どうやらこの勝負、勇者の勝ちのようだ。


さて、ふたりはどうすれば戻れるのかを脳内会議する事にした。なんとも平和的だが、仕方がないのだ。


(さて、どうしたら戻るのか。まずは『どうして入れ替わったのか』を検証する事にするか)


魔王が議題を提案すると、勇者はなんとも情けない声を出した。


(いやあ、普通に夕食をとり、寝酒を一杯、ベッドにゴロンと寝て、翌日起きたら入れ替わってた〜)

(私も夜酒を嗜み、ベッドで眠って起きたらお前の体の中だったわ)

(ちなみに酒の銘柄は?オレはカナリアワイン)

(なんと!私もだ!珍しいグリーンカラーだ)

(オレもだ!珍しいのが手に入ったとか宿屋の親父が勧めてきて)

(ちなみに何時に寝た?私は昨日は早めに寝た。多分、夜9時半頃だ)

(オレも!なんとなくベッドでゴロンとした時、時計を見たら9時半頃だった!)

(まさか・・・私たち)

(気が合う?)

(やめろーーー!!勇者と気が合うとか!!私は魔王だぞ!)

(オレもちょっと・・・ないわー、それ)


勇者は真剣な表情になり、魔王に告げた。


(とにかく戻らなくちゃ。オレもうすぐ魔王討伐行かなくちゃいけないんだし)

(なんですとーー?!私を討伐だと?!)

(そうそう。待ってろよ、魔王)

(おのれーーー!!やっぱりスッポンポンで駆け回ってやる!!)

(いいんですかー、オレも脱いじゃおうよー)

(ぐやじいいーーー)


また勇者が勝利したようだ。


魔王は・・・いや今は体は勇者だが。

顔が真顔だ。すくっと立ち上がり、きちんと服を着て街に出た。

そして、体力強化の術を体にこれでもかと掛けてドーピング、街を抜け、草原を駆け抜け、岩場をしゃかしゃかとクモのように登り、途中ポーションで体力回復、森を爆走、魔物が出たら気を失う程度にゴイン!と殴り、海についたらそのまま飛び込んで泳ぎ出し、海の魔物をまたゴイン!と気絶する程度にぶん殴り、岸にたどり着いたらまたポーションを飲み、岩場を飛び移り、飛び移り、ぴょんぴょんと進んで、街道を抜け、再び森の中を駆け抜け、また出てきた魔物をチョップで気絶させ、山をどんどん登り、登り、登り・・・・




なんと単身魔王の根城、ラクシュミ城に到着したのである!!


魔王(おまえ)、凄いな。ここまで10日掛からないとは。と言うか、俺の身体能力が凄いのか」


魔王姿の勇者が、勇者姿の魔王を出迎えました。

そして、勇者姿の魔王を部下の魔族が取り囲みます。

彼らから見れば勇者の姿です。今、勇者魔王は敵なのです。


勇者魔王(魔王)は・・・

ずしゃあ!!

スライディング土下座を、魔王勇者(勇者)の前でやらかした!!

周りの魔族達は仰天した。そして魔王勇者は目を見開き、無言だ。

勇者魔王はそれはもう、低頭平身で頭を下げた。


「魔王様〜〜〜!!オレは魔王様の部下になりたいですゥ〜〜〜!!なにとぞ!!なにとぞぉ〜〜〜!!」

「な、なっ!!」


誰が見ても、勇者の裏切りである。この日をもって、勇者は魔王の部下となったのだった!!

勇者魔王はにやりと笑いました。


「わーははは!これで勇者(お前)魔王()の部下じゃあ〜〜〜」


魔王勇者は勇者魔王を呆れ顔で見つめ、大きく溜息を吐きます。


「・・・・。違うわ。今お前の姿は勇者、だからお前はオレの部下だ、馬鹿だなぁ」

「?・・・はっ!!!」

「お前って、本当馬鹿だな」

「うわああああ」


情けない声を上げ、勇者魔王は頭を抱えて蹲りました。

やはり此度も魔王は勇者に勝てませんでした。




こうして結局元に戻る方法が分からなかった魔王と勇者は、『戦うの、馬鹿馬鹿しくね?』と言うワケで。


魔王勇者は人間と友好条約を結び、勇者魔王はその補佐をして、なんだかんだ面白可笑しく過ごしたそうです。



「仲がよろしいですね、勇者様と魔王様は」

『どこがじゃ!!』


部下の魔族が言えば、魔王も勇者も同時にハモって返事をします。

どうやら仲良しなのは、無自覚なようです。





どうにもやりづらい色々があり、魔王勇者と勇者魔王は魔王の腹心であるベゼルに事情を打ち明けました。


「あー、どうりで!魔王様にしては頭が良いことを言うようになったと」

「なんだと貴様ーーー!!」

「はははは。またオレに負けたのかなー」

「くそううう」


負けっぱなしの魔王、いつ勝てるのでしょうねぇ・・・




今読み直したら魔王勇者と勇者魔王を間違えてた箇所に気付いた。

やっつけで書くからこう言う事に。(2020/08/30修正)この話、ホモじゃ無いからねー。


思いつくまま、ほぼ1日1話ペースで書いています。

目標は365話。

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