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第7輪・微笑み合う黒百合姫
私はそっと扉を開けた。
すると、そこには…
『あら御早う、イヴェット』
と、微笑む母がいた。
母の髪は長く、毛先にいくにつれて黒さの増していて美しくも凛々しく見えた。
しかし、少し長い前髪から見える瞳は、おっとりとしていて、それは深くも赤い色だった。
少し色白な肌だったけれど、その頬にはきちんと血の色がさしていた。
そう、あきらかにこの人は私の知る元気な頃の母だ。
黒百合が控えめに飾られている黒いベットに横たわる母は、とても元気には見えなかったけれど、あの死にかけの病に侵された母ではなかった。
『お、お母様…』
私は思わず言葉を失った。
だって、だって…
病死した筈の母にもう一度会えるだなんて思ってもいなかったから。
言葉に詰まっている私を見た母は何故か嬉しそうに、
『…出来たのね』
と、微笑んだ。
その時の私にはその意味を理解することなどできず、ただ微笑み返すことしかできなかったのだった…




