第3輪・気付かぬままに。
そして、目が覚めるとそこは俺の部屋だった。
(これは…)
自分が寝ていたのは自室に置かれたベッドの上だった。
そう、自室。
“二人の”じゃなく、“俺の”ベッド。
アイツが嫁いでくるからと、夫婦の部屋を勝手に両親に用意され、アイツの枕の置かれたダブルベッドに、“俺一人で”寝ていたのだった。
『あなた様と寝るなんて、寝てる気がしないので、こちらで寝ますわ』
と、彼女はソファーで寝ていた。
つくづく最初から嫌われていた。
まぁ、俺の方だって彼女に好意など無かったのだが。
しかし、昔の自室のベッドの上だなんて…
走馬灯と言うやつなのだろうか。
あまりそう言うのは信じないタイプなのだが…なら…死んだ辺りからは、俺が寝ていて見ている夢なのか…?
不吉な夢だ。
あの女以外の人と婚約できる様に、なんとか両親に掛け合ってみようか。
夢の中でぐらいは好きにさせてくれ。
そう、心の中で毒を吐きながらも、俺は従者達に身嗜みを直されてから、両親の部屋へと向かったのだった…
まだ、それが現実だと気付かぬままに。
今晩は、十六夜零です。
この度有り難いことに、ブックマーク1件と総合評価2ptを頂きました。
誠に誠に有難う御座います。
引き続き、この作品を宜しくお願い致します。




