異世界1日目②
生放送でも報告いたしましたが、寝込んでました。年取ると治りも遅い。まだちょっとぐずついていますが、頑張って書いていきます。
おい・・・きみ・・・・おい
体が揺れる。揺らされている。
「きみ・・・大丈夫か・・・・おい」
ブラックアウトしていた意識が徐々に戻ってくる。
木間氏はうっすら目を開ける。
暗闇ではなく、赤々とした松明?の火が周りを照らしていた。
そこには、見たことない・・・・人がいた!
青年?だろうか・・・青く澄んだ髪に利発そうなたたずまい。
その青年の腕に抱かれていた。
「・・・あれ・・・・」
「お、気が付いたか・・・どこもいたくない?」
青年は優しい笑みで木間氏に微笑みかけた。
「・・・・俺・・確か・・・怪物に・・・」
確か、怪物に襲われて、怪物に助けられて・・・
「ぎぃいい?」
ふと声が聞こえた。
鳴き声?
声がした方に顔を傾ける。
そこには・・・骨・・頭骨を被った獣がこちらを見ていた。
「ひいぃいいいいいいいいいいいい」
恐怖で思わず悲鳴を上げてしまった。
頭骨を被った怪物は、その声にびっくりしたように後ずさる。
そして。。。何やら悲しい目をする。
「あ・・あああ大丈夫だよ。そんな目で見ないで上げて。この子は襲ったりしない。僕の大事な相棒なんだ。」
青年はそういうと、おいでおいでと怪物を呼ぶ。
おっかなびっくりとその怪物はゆっくり、ゆっくりとこっちへ近づいてきた。
そのモーションは、正直可愛い。
よく見ると確かに頭骨を被っている姿は奇妙であるが、どことなく愛嬌があるようにみえる。
暗闇と恐怖でみていた時とはだいぶ違う印象だ。
「僕はモンスター使いでね。この子は相棒の「カラ」。君を守ろうと必死に戦ってくれてたんだぞ。」
そうだったのか。・・・いや頭骨被ってたらビビるって。
「・・・・ごめんね」
そういって、木間氏は手を伸ばし「カラ」の体に触れる。頭に触れなかったのは骨を触りたくなかったためであるが。
毛並みがいい犬?猫?狸?
骨さえかぶってなければ、愛らしいペットという感じにも見える。
撫でられて嬉しそうな瞳をする「カラ」が愛おしく見えた。
「僕は依頼でここに来たんだ。ここはゴブリンの巣穴で、いくつかの村で被害が出ていてね。・・・・ゴブリンの討伐と攫われた人の救助が目的だったんだ。」
あれがゴブリン!
いわゆる初心冒険者が倒す雑魚があれなのか!
いやいやいや、めっちゃ恐ろしかったし、真剣で殺されるかと思ったんだが。
実際、再生スキルなかったら、今頃生きてなかった。
周りを見ると自分を襲ってきた怪物たちの累々とした屍が目についた。
とんでもないところにいるな・・・俺。
「まぁ無事な人がいて何よりだよ。それだけでも来たかいがある。
青年はそういうと、
「あ、自己紹介がまだだったね。僕は「エム」、「エム=セイジン」っていうんだ。」
よかったらエムってよんでくれないかな?と柔らかい笑みを浮かべた。
「エム・・さん‥助けてくれてありがとうございます。」
「いやいやこれも仕事だから気にしなくていいよ。ちゃんとお嬢ちゃんも村まで送っていくから安心してね。」
お嬢ちゃん?何を言ってるんだこの人は。こんな立派な好青年(中年)を捕まえて。
・・・それより・・村に送っていく・・・それはまずいんじゃないか。俺は別にゴブリンに攫われてきたわけではない。(変なのに異世界に攫われはしたけど)素性を詮索されるのはよろしくないような気がする。
「いや、俺は別に・・攫われ」
そこまで言ってはっとする。
それじゃあなんて説明するんだ?
何も思いつかない。
まずい・・くちごもってしまった。
「ところでお嬢ちゃんのお名前はなんていうのかな?あとどこの村で生活しているか教えてくれないかな?」
そしたら送っていくからさ。と、エムは笑顔で問いかける。
笑顔が固い気がする。
やっぱまずったか。
そもそも村とかわからないし、下手に追及されても何も答えれない。
「・・・えっと・・なにか・・・名前が出てこなくて・・ そう記憶がないんです!」
あからさまにとってつけたような言い訳・・・しか出てこなかった。
しかも記憶喪失とか!
もちろん演技力皆無の木間氏である。ぎこちなさはそのまま青年に伝わる。
「名前がわからない?そんなのステータスで確認すればいいじゃないか。」
「ステータス・・?」
今度は本当にわからないのがでてきた。
その表情を見たエムは、
「まいったなー、本当に記憶がないんだ。ステータスで名前確認できることも忘れてるなんて。
5歳の子でも付かない嘘だからね。名前がわからないっていうことは。」
と
、エムは唸ってしまった。
何やらよくわからないけどうまくごまかせそう。
「ステータス、オープンって言ってみて。」
エムは優しく教えてくれた。
「・・・・・ステータスオープン」
木間氏が言われた通りに復唱すると、空間に文字が浮かび上がる。
この文字の・・景色は、どこかで見たことある。
あのタブレットのステータス盤だ。
「ここらへんに文字が見えるでしょ。実際は瞳に転写されてるから、周りの人には見えないんだけどね。右上の方に書いている文字なんだけど、見えない?」
木間氏は言われた通り、右上の方の文字を見てみる。ここは名前入力の欄だ。
「ル・・ミナ」
名前はそうなっていた。木間氏忠雄ではない。
だがそれよりも衝撃的だったのは、
「性別・・・・女・・・・年齢・・・12歳!?」
慌てて息子を確かめる!
当然のごとく、感触はなく息子は消え去っていた。
木間氏は・・いやルミナは今日の濃い一日の中で、一番のショックを受けてボーゼンとするのだった。
ちょっと本編とは関係ありませんが。
VGはバミューダが発売されましたが、回線が鬼遅(ADSL)なのでネット対戦ができませぬ。カードゲームはほぼほぼ引退です。おとなしくソシャゲに生きていきます。