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ルミナの冒険  作者: サーディ
プロローグ
1/58

プロローグ①

初めての作品となります。

いろいろご容赦を。

「くはぁあああああああ」

この湯船につかる瞬間がまたたまらない。



趣味というかライフワークのガンプラの組み立てがほぼほぼ終了し、あとは一部の塗装が乾くのを待つのみとなった。

そんな満足感に満たされた時のお風呂は、とても心地よい。

至福の時間というやつだ。


肩までどころか口元までつかりながら、俺、木間氏忠雄はぼんやりと今後のスケジュールを考えていた。


もちろんスケジュールといっても仕事とかじゃないぞ。ガンプラの設置場所や撮影などのことだ。


鑑賞としては直接見るのが一番ではあるが、完成記念として写真撮影などは絶対に外せない。


人に見せるのにも必要だしな!


・・・・・見せる人は誰だと言われても困るけど


そして飾る場所だが、まぁこれはほかにおいてある兄弟たち(ガンプラ)をちょっと整理して場所を確保するしかないだろう。


完成した後の喜びはひとしおだが、ガンプラ組み立てはとにかく体力と時間と精神力を使う。制作中は楽しさしか感じないため全く気にならないが、終わった後は体に疲労が残っていることを実感する。年を取ってしまったのかなあと思ってしまう。


余暇を自由に使い、趣味にも人生を注ぎ込み、生活も不自由ないこの環境を喜びつつも、人生という時間が流れていくことに一抹の不安もないわけではない。


社会的価値観に照らし、結婚も考えてみたことはあるものの、まずその前に彼女を作らないといけない。


「いろいろ考えるとめんどくさいんだよなあ」


ぶくぶくぶくと口から息を漏らしながら、頭まですっぽりとお湯に浸かる。


木間氏忠雄30歳。

自分は平凡だ。

特に何か特技・・ないことはないが、人様に褒められるような特技があるわけでもない。

身長もちょっと低いし、顔もまぁ普通といえば普通。運動神経がいいわけでもないし、勉強ができたわけでもない。友達は割と多い方だが、仕事も活躍出来ているかというほどのものでもない


ガンプラを愛でたり、カードゲームを楽しんだり、ソシャゲで一喜一憂したりというもはやテンプレのような人生を謳歌してる普通の人間だ。



それが自分。それが人生。生き方がとしてあってるかどうかといわれると答えには窮するが、不思議と満足している。


あきらめというか達観というか、そんな感じではあるが。


そんな自己嫌悪にも似た考えをしていた時だった。



突然体を支えてた湯船の存在を感じられなくなる。


「え?」


声を上げる間もなく感じる落下感




そして盛大に尻もちをついた。

ドスンという鈍い音とともに。


「いてぇええええええ」


あまりの衝撃に思わず大声で叫んでしまった。


いってぇなあああ


ダメージを受けたお尻をさすりながら、俺はあたりを見回した。


白い空間


一言でいえばそんな印象。

ただただ殺風景。

非現実的な世界。


さらにだ

さっきまでつかっていたお湯もなければ、湯船もない。


しかし風呂に入ってたのは間違いない

なぜなら裸のままだからだ。

なのになぜか濡れていない。


これはどういうことなんだ。


というかどうやって部屋戻るんだ!

戻れないと…戻れないと


まだ体を洗ってない!!!


いや、そうじゃなかった。


「俺のガンプラたちに会えないじゃないかああああああああああ

塗装が!!!塗装の出来ばえみたいいいいぃいいい」


思わず仁王立ちで叫んでしまった。



「あらあらあら、全裸待機という言葉があるとは聞いてましたが、実践している人がいるのは初めて見ましたわ。」



女性の声!


振り返り上を見るとそこには見たこともないほど美しい女性がゆっくりと降臨しているところだった。










「ななな・・・」


声も出ないとはこのことなのか。

でも手は自然と動いて股間をガードする。

マナーですから。


女性はドレスというか、法衣というのか。白い布地で作られている服装で、派手な装飾はなく、清楚な感じで・・・ああ、表現しにくい。一言で説明するならテンプレ的女神服(肩部分とか露出している)だ。現実的でないため非常に描写しずらい。しかもだ。なぜか下降中というのにスカートがめくれ上がらない。(憤慨)


いや。。。それよりも驚きなのは重力に任せた下降という速度ではないことだ。明らかに体全体が物理法則を無視しているようにみえる。



いわゆる「神秘的」な光景だ。



「いろいろびっくりなされたり、混乱されていることでしょう。わたくしはあなた様にこの状況及び、今後の過程などサポートするために伺いました「夢咲」というものです。あいちゃんって呼んでくださいね。」


女性はゆっくりと降臨(?)しながら俺に向かって可愛いらしく話しかけてきた。


・・・あいちゃんっていうのはどっから出てきたんだろう・・

意外に冷静に心の中で突っ込んでみる。

だがこの状況を説明してくれるというのはありがたい。正直どうしたらいいか全くわからない状態だったのだから。


「んしょんしょ・・・・・・じゃしつれいしますー」


そういうと夢咲はふわっと近づいてくる。


え?え?



木間氏が反応する前に、夢咲は正面に降り立ち、前髪をかきあげると、熱を測るようなしぐさで額を木間氏の額に当てる。


「説明を効率よくするために、失礼かと思いますが、思考を読まさせていただきますね。暫く動かないでください。」


女の子がいきなり近づいてきて額を合わせてきた。そういった行為に慣れない木間氏はオドオドとされるがままとなる。


あ・・なんかいい匂いだ・・


女性特有の甘い香りに木間氏はうっとりとして思わずでれっとした表情となる。ちょろい木間氏であった。

ふと下を見ると、


なんということでしょう


あふれんばかりのお胸が視界いっぱいに広がってきます。


おおおおおぉおおおおおおううう


思わず声を上げそうになるがなんとか押し殺す。


白い柔肌に大きな谷間。


もう少し押し込めば、さきっちょが見えちゃうんじゃなかろうか。


もうちょっと・・・もうちょっとだけ


くううううううううううう


おれさまのりびどおおおがあああああああ



「あのあの、思考を読んでいるので、考えていることがわかってしまうのですが・・・・・・・そういった行為はあまり推奨できません・・・・・・・わたくし夫がいますのでご理解ください」



は・・・・・


そうだったあああああああああ


っていうか思考を読むってそういうことだよなああああ


汗が・・・嫌な汗がだらだら出始める。やばい。ここ数年で最大の大ピンチ!!!


みちゃだめみちゃだめみちゃだめ・・・・人妻かぁ・・見たいなぁ。あああだめだめだめだめだめだめ。


頭の中で、天使と悪魔を戦わせながら、木間氏は複雑な時間を過ごす。



「・・・・・・3,2,1はい終了いたしました。ご協力感謝します。」

そういって夢咲が額を離した瞬間


てぃやああああああああああ


と掛け声のもと、大きくバックジャンプ(一回ひねりつき)し、そのまま空中で足を畳み込む。

流れるような土下座姿勢でそのまま頭を地面にこすりつける。


「もーしわけございませんでしたああああああああ」


俺の数ある土下座の中でもかなり高ランクの技をひ・・


「あなたの土下座技48種のうち5番目に位置する、ウルトラバックジャンプ土下座ですか。この技を使用するということはあなたの心の中で本当に申し訳なかったという気持ちの表れだと思いますので、許します。お顔を上げてください。」


ぐ・・・・・


全てばれてるというのは、何やら心恥ずかしい。

土下座技とか、心の中だけの必殺技だったのに・・・


これが思考を読むということなのか。


今思うと、こういった行為にもっと警戒するべきだった。


だが今更悔いても仕方ない。


せっかく許しが出たので、おずおずとではあるが顔を上げる。


そこにはにっこりと笑みを浮かべるた女神(夢咲)が



「では、ご説明させていただきます。あなた様・・・木間氏忠雄様は現在異世界への召喚儀式の最中でございます。」



…流行りの異世界テンプレ説明をするのだった。

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