9.ツギの日には毒されて
キュウキは空に飛び、尾をかわしながら、サソリの下に潜り込もうとする。
だが、サソリのハサミに飛ばされる。
「きゃああ」
「キュウキィ」
「次はお前だあ」
余所見をしてしまい、サソリの突進への反応が遅れてしまう。
サイセに巨体がぶつかる時…。
サイセは銃を90度伸ばす。
グリップが柄となり、青白い光の刃が出る。
「ブラスタードモード」から「ブレードモード」に変形させのだ。
青白い光の剣でサソリを受け止め、横に薙ぎ払う。サソリがバランスを崩したところで、サソリの脚を一本はねる。
サソリはうめく。
サイセは剣でサソリを攻撃する。
毒針が襲いかかり、後ろへジャンプし距離をとる。
サイセが離れたところでサソリは言う。
「クク、俺を倒したとこでもう手遅れだ。店長は救えない。兄貴が店長の命を奪うからだ。」
「なに!?」
「店長があぶない」
「どうすれば?」
警備員達が慌てる
「……知ってる。」静かにサイセは言う。
「お前たちは無… なに!? お前、今…」
「俺の推理は外れた。コボルトの死体は原形が残ってた。だが、今お前が殺した警備員は毒で完全に原形を残らなかった。第一、自分の息子が店を継ぐのであったら、まずは兄の方が先だろ。お前は兄思いなんだな。自分の皮を落とし、自分を囮として、兄が真犯人だという真実を隠そうとした。
まあ、兄の方はキュウキがなんとかしてるが。」
キュウキはサソリに吹っ飛ばされた。
当然、その程度でくたばるほどやわではない。
サソリがサイセとの戦いに夢中になってる隙に兄と店長を追跡しに行ったのである。
「おのれ」
サソリは針から毒液を発射する。毒液が当たった床が先ほどの警備員のように腐食し始める。
そしてサソリは上の階へ登って行った。
「逃がすか。」
サイセは剣を90度折り曲げ、「ブレードモード」を「ブラスターモード」にして追いかける。
一方、店長を狙うサソリと化したリザードマンの兄とキュウキは交戦中であった。
(さっきのと違って、動きが素早い。)
針で刺そうと、ハサミで薙ごうと。どの動作も速い。
いまのとこ、爪で攻撃を受け流すのに専念せざるを得ない。
勝てないことはないが、店長を守ることが優先であるため、むやみに飛び込めば、店長の目の前で、店を荒らすことになる。
ズドドドドド
銃弾にサソリは怯む。
「キュウキ様、遅れをとった。スマン。」
警備員達が駆けつけた。
「店長を逃がして、そのほかは、銃で応戦しなさい。甲羅が薄い分、攻撃が効くけど、軽く素早いので注意。
万が一、刺された者はすぐに治療を、遅効性で痺れがメインだから助かるわ。必ず、二人以上で戦いなさい。」
「「了解」」
キュウキの的確な指揮に警備員達は行動する。
「さあ、反撃開始よ。」
キュウキは両の爪をクロスさせて言う。
サイセはエネルギーを溜めながらサソリを追う。
サソリは止まると、ハサミで壁を削り始めた。
(こいつ、壁を破るつもりなのか?) 呆然と見ていたら、天井が崩れ落ち、道をふさいだ。
「しまった。」
(確か…この先は) サイセは道を引き返し、天井裏からサソリを先回りする。