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29.猛襲 シーモンスター

廊下に飛び込むと、空中を飛ぶ目玉と怪物が生徒達を襲おうとしていた。

ひとまず鎖で目玉を薙ぐ。ある程度目玉が減ったら次に怪物に鎖を叩きつける。

あまり効いてる様子はない。

「お前達は逃げろ。」

生徒達は頷き、廊下の奥へ消えていった。

「さてどうするか…」

チェーンのカセットを抜き、光の剣が伸びる。

怪物はサイセに噛みつこうとする。

それを転がって避けざまに斬りつける。

「浅い…」

距離を取り、今度はこっちが仕掛ける。

剣を逆手に持ち怪物に向かって走る。怪物の目はビームを放つ。

剣でうまく受け流して速度を落とさず怪物に迫り、1つの目玉に剣を刺す。

「イヤァーーーーギァア!!」

「今の叫び…」 

怪物の叫びに明らかに生々しい叫びが混じっている。

「ご主人様!そいつリアを取り込んでる。」

「やはり…」

悪魔は契約した人間を徐々に乗っ取る。

やがて契約者のなんらかの理由で悪魔は契約者を取り込み始める。

引き剥がすことも可能だがそのまま倒せば中の人間ごと死ぬ…。

(なんとか引き出さなければ…)

考えてるとビームが飛んでくる。

即座にかわす。軌道先を見ると浮遊する目玉が増えてる。

「ご主人様!目玉が」

見ると怪物の体から再び目玉が分裂してしまう。

「くそっ!きりがねえ!」

近くにいた目玉達を破壊するが、次々と怪物から目玉が増えてき圧倒的に効率が悪い。

サイセは周りの目玉を無視して怪物に向かう。

「ご主人様危ない!」

キュウキが言うと同時に目玉達は光る。浮遊してるものだけじゃなく、怪物の体の目も。

「!?」

一斉に目はビームを放つ。

廊下全体がなにも見えなくなるほどの光が広がった。


「…危ねえ……」

間一髪ロッカーや教室の扉などの倒れてるものを盾にして身を守った。いや…

         ジュワァ……

高熱のビームで焼き溶け盾になってない…。

助かったのは偶然だ。

(どうすればいい?距離的にリアは引き出せない。だが近づけば餌食に…)

時間が立てば悪魔に完全に取り込まれ、助かることができなくなる。


「サイセさん教師含めて全員避難しました。」

振り向くと隼斗が走ってくる。

「馬鹿おまぇ近づくな!」

目玉は隼斗に目を向ける。

隼斗はその目玉に発砲する。

動体視力がいいのか、その目玉は銃弾を横に避ける。

だが、目玉は横に移動した時、銅線がむき出しになったコードに触れる。

目玉は感電し、床に落下する。落ちた目玉は枯れ果てる。

「…なるほど。」

サイセはカセットを挿入し、ブラスターモードにする。

黄色い光弾を怪物に撃つ。

怪物の体に電流が流れるが、電流は1つの目玉に吸収される。

「何!?」

だが、サイセの意図を読み取った隼斗は怪物の頭上の火災用スプリンクラーを撃つ。

スプリンクラーは放水し、怪物の体を濡らす。

「そうか!」

今度はサイセが隼斗の意図を読み、引き金を引き続けてエネルギーを溜める。

キュウキは怪物がよく濡れるように風を起こす。

「みんな離れろ。」

サイセは後ろに下がりながらチャージした光弾を撃つ。

黄色い光弾は真っすぐに怪物へ進んでいく。その光弾を怪物は受ける。

濡れた体の全身に電流が走り、怪物は吸収ができない。

怪物だけじゃない。

周りの目玉も濡れており、連鎖的にすべての目玉が電流を受ける。


すべての目玉が落ち、怪物の目玉も全て白目をむいてる。

「いくぞ!」

サイセは銃にカセットを挿し光弾を撃つ。

その光弾に当たった怪物を光の鎖が拘束する。

怪物は暴れるが、暴れれば暴れるほどこの鎖は強く締め付ける。

キュウキが怪物の頭に爪を刺し、無理矢理怪物の大口を開かせる。

サイセは銃を剣にして光の鎖を口に放り込む。

口内に入った異物に怪物はさらに激しく暴れる。それをキュウキは抑える。

「!」

サイセは柄を強く握り、鎖を引き出す。

怪物はキュウキでも押さえ続けるのが困難になるほど強く暴れる。

「ご主人様まだ?」

「あと少しだ!ハヤト撃て!」

急な指示に慌てて銃を出し発砲する。

怪物は援護射撃に怯む。

それを合図にサイセは一気に鎖を引く。

怪物の口から鎖に縛られたリアが出る。気は失っており、体中に怪物のか血管なのか赤い糸のような赤い触手が絡みついてる。

「ハヤトそれを早く取れ!」

「はい!」

鎖が解かれたリアの体から触手を払いのける。

サイセはカセットを抜く。

引き金を引いて、エネルギーをチャージする。青い光の粒子が剣に集まるたび、光の剣は巨大化する。

充分にエネルギーが溜まる。

サイセは剣を振る。校舎を超えるほどの刀身が怪物を横に裂く。そして縦に怪物に振り下ろされる。

スケールは怪物以上の被害が出そうだが、この剣は対象以外をすり抜け、対象のみを切断する。

「十」の書き順に沿って斬られた怪物は斬り跡から光が漏れ出し爆発した。

爆煙に紛れて黒い靄の塊が逃亡しようとする。

それを見逃さずに剣を折り、銃にしその靄に銃口を向ける。

すると靄は銃口に吸い込まれる。

サイセは銃からカセットを取り出す。

先程までカセットは挿入されていない空の状態から出てきたものだ。


事件は終わった。アリカは元通りになっていき、これからはリアに秘密を握られる被害もない。

リアは昏睡状態には陥ってるが、救出は早かった。すぐに目覚めるはずだ。

俺がアリカの部屋で目玉を全て撃ち抜いた後、アリカは正気に戻り話してくれた。

リアがヘレンにアリカと関わらないようにしろと言ったことをヘレンが自分に伝えていたこと。

ヘレンはアリカを避けてるのではなく、アリカを守るためにヘレンはアリカとは距離をおいていた。

そしてリアがなぜか知っている知られたくない秘密で脅してきたこと。

アリカはヘレンを守ろうとしたのだ。標的を自分にして。

また、キュウキがアンケートで流行ってる話題を調査したところ一番は「巨大ゴブリンが暴れた件」だった。

実際に見ていたように丁寧な内容。それを始めに話したのはリアだった。

やはりあの時俺を撃ったのは目玉だったようだ。俺も監視対象だった?

リアをおびきよせるために俺達は餌を撒いてた。

最もヘレンに執着している女が異性と二人など絶対許さないだろうから。

アリカの携帯から囮になるよう告げたのだ。

彼女もリアを止めたかったみたいだから躊躇しなかった。

危険な目に合わせたヘレンにはそれなりの報酬を渡した。


「そいいえばなんでヘレンさんはアリカと入れ替わるように明るくなったんでしょう?」

「さぁな。案外彼女なりのSOSだったりしてな。」

ん~?となるが納得する。

「しかし…まさかリアさんが犯人だったなんて…」

隼斗にとっては最も予想外な犯人だった。

「女を甘く見るな。男以上に中身は黒いぞ。」

他愛もない会話をしながら帰る途中、背後のカーブミラーは水の波紋のように揺らめいていた。




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