28.猛襲 シーモンスター
「誰だ貴様! 邪魔をするな。」
魔人に姿を変えたリアの横で浮遊してる眼球がレーザーを放つ。
キンッ
それをキュウキは爪で弾く。
リアは大量のレーザーを放つ。
「え…ちょ、ちょっと。」
レーザーは拡散し、俺とヘレンの方にも降り注いでくる。
気がつけばヘレンは気を失っている。俺は目をつぶる。
なんともない。
目を開けると俺とヘレンの前にキュウキがいて、周りは風で囲まれており、まるで竜巻の中心に入ってるような感覚だ。
渦が晴れるとリアは怒り、キュウキに殴りかかるが、ほとんどかわされてはキュウキの爪でカウンターを受ける。
リアは転がる。
キュウキは爪を構える。
リアは立ち上がろうとする。
「んぐ… こんな…ところで…」
キュウキはX字の斬撃をリアに撃つ。
「イギャーーッア!」
リアは斬撃を受け、爆発した。
「キュウキさん…」
俺は心配そうに口出してしまう。
「大丈夫よ。」
キュウキは言う。だがその顔には汗が流れてる。
「まだ倒されてないもの。」
煙が晴れる。
殺虫剤を打たれた死にかけの虫のように倒れたままピクピクとし、立ち上がろうとする魔人としてのリアがいる。
「なんてしぶとさ。」
「こ……な…」
リアは握る拳に力を入れる。
「こんなとこで終われるかァ!!」
リアは叫ぶ。
するとリアの体が膨らむ。体中から目だらけのコブが生えて膨脹する。膨張していく体にリアが飲み込まれる。
そこに人としての原型はなく、灰色の肌と体中の目玉が残り、形としては、オオサンショウオのような怪物にリアは変わってしまった。
「あれは…?」
「…………まさか!?」
キュウキは何か気付いたような反応をする。
怪物の体からさっきのリアより多い数の目玉が分裂し、怪物の周りを浮遊する。
「たあぁっ!」
キュウキは怪物に爪で斬りつけようとする。だが、
「……クッ」
怪物の肌に爪が通らない。柔らかいのか硬いのか。
なんとも言えない怪物の肌の弾力は爪を弾く。
キュウキは後ジャンプで隼斗達の前に戻る。
怪物の周りに浮遊する目玉達はビームを放つ。
キュウキは風を起こして守ろうとするが、背を向け、両手を広げ隼斗達を庇った。
「ウッ」
キュウキは声をあげる。
見るとキュウキの背中には焦げ痕が。
(貫通するのか!?)
ビームがやむとキュウキは向き直り、立ち向かおうとする。
「やめてください。このままじゃキュウキさんは…」
俺はキュウキの腕を掴んでしまった。
「大丈夫よ…このくらい……」
そう言うとキュウキは優しく腕を払いのけ、戦おうとする。
ガチャッ 保健室の扉が開く。
「う、うわああああ怪物。」
それは授業中突然抜け出したリア達を追った教師と生徒達だった。
「まずいっ!」
怪物は逃げまどう生徒達を追う。
動きはノロいが、邪魔するなと言わんばかりに残った目玉がビームを放ってくる。
キュウキを狙ってるのでなるべく隼斗達から距離を取って走り、爪で目玉を斬る。
だが、いくら目玉を落としても中々減らない。
「!?しまっ…」
目玉がキュウキの正面に回り込んでビームを撃とうと光る。
バァン!!!!
銃声と同時に目玉が落ちる。
「あ、当たった…」
サイセさんからもらった銃を使い、目玉を撃ち落とした。
実銃を使うのは初めてだ。うん、いける。
「キュウキさん、俺が足止めしますので行ってください。」
「無茶言わないで、あなたじゃ死んじゃうかもしれないのよ。それにヘレンはどうするの。」
正論だ。俺は戦闘経験は皆無だ。簡単に倒せる目玉でも俺は死んじゃうかもしれない。でも…
「でもこのままじゃ生徒達が危ないんです。僕達が生き残っても多くの人が犠牲になったら意味ないじゃないですか‼」
「……わかった。」
キュウキはしばらく黙っていたが決心した。竜巻を起こす。その竜巻はドリルのように渦巻き多くの目玉を巻き込みながら保健室の壁を破壊する。
「隼斗、そこからヘレンを安全な所へ連れてって。ただし、必ず二人とも生きてね。」
俺はヘレンをおぶって頷く。
その頷きを確認するとキュウキは回転し、風を纏って保健室から出る。そのあとを8割の目玉が追う。
俺もヘレンをおぶってキュウキが開けた穴から外へ出る。
俺はヘレンをおぶりながら走る。
(人の体ってこんなに重いもんなんだな)
この状況でこんなことを考えられるられ自分にゾッとする。
目玉たちが追ってビームを撃ってくる。
「くそっ。」
ヘレンを一度おろす。
銃を構え、目玉を一つ一つ撃ち落とす。
だが、それが間違っていた。
「あっ…」
目玉が倒れてるヘレンを標的にした。
目玉が光る。
青い光弾に当たり、その目玉はそのまま空中で爆散する。
光弾の軌道を遡ると…
「サイセさん!」
「ったく…どうしようもない奴だ。」
サイセは目玉を撃ち落としながらこっちに来る。
「うっ…」
デコピンされた。
「お前のやった行為は確かに間違ってな…」
空気を読まないでビームを撃とうとする目玉をビームを撃つ前に撃ち落とす。
「間違ってない。だが目の前ばかりを見ていれば死角ができる。」
重い痛みと言葉に改めて自分の行為に責任を感じさせられる。
サイセは銃にカセットを差し込む。 チェーン!!! 電子音が鳴る。
90度伸ばし「ブレードモード」にする。トリガーを引くと、青い光の鎖が出る。
サイセは鎖を鞭のように操り、全ての目玉を薙いだ。
「それで肝心のは?」
「え、えっと…」
「あれだな。」
サイセが見た方向。生徒達を追う怪物と無数の目と対峙するキュウキが二階の窓ガラスから見える。
サイセは鎖を大きく回すと鎖が伸び、窓ガラスを突き破る。
サイセはその鎖をつたって壁を走り二階に飛び込んでいった。




