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27.猛襲 シーモンスター

「アンケートご協力お願いします。」

下校中、少女が女子高生達に声かけている。

その声が聞こえないほど頭の中はいっぱいだった。

(あの怪物…本当にヘレンさん…)

さっきの襲撃を思い返す。ヘレンがトイレに入り、怪人がトイレから出てきた。



「あ、隼斗おかえり。」

キュウキは笑って出迎えてくれた。

「…ただいま……」

「随分悲しそうだな。なにか収穫あったか?」

サイセが場に似合わないように問う。

「ちなみに俺は大きな収穫。いや、もう犯人もわかった。だが、そっちの報告を先に聞こう。」


俺は今日のことを一通り話した。

ヘレンのこと。怪物のこと。

「そう、それはとても怖くて嫌な思いをしたね。」

キュウキは頭を撫でて慰めてくれる。

「そうか…なら俺の収穫を見せよう。」

 と言うとサイセは箱を出す。

「なんですかそれ。」

「開けてみろ。」

恐る恐る蓋を開ける。

「ウッ……」

開けて後悔した。

「な、なんですか…これ。」

箱の中には大量の枯れた目玉のようなものが入っていた。

「さっき俺が捕まえた。」

「はうぇッ」 

驚きで間抜けな声が出た。


話はこうだ。

「いやぁ―――あっ」

突然アリカが部屋で叫びだしたのだ。

「サ、サイセさん。」アリカの両親が部屋の外で俺を見つめる。

「入るぞ。」両親は首を縦に振る。

部屋の扉を開けると壁やタンスなどについた大量のついた目がアリカを囲んでいた。

目はいずれも涙を流し、責めるようにアリカを見つめる。

「いや――――やっ」

サイセは部屋の目玉を全て撃ち抜く。撃ち抜かれた目玉は全て床に剝がれ落ちて枯れた。

それを集めたものらしい。


「今回の依頼の“見られる”の正体だ。」

「調べたのですが、今回の依頼の前にもスクリミアハイスクールの生徒は突然学校をやめるといった案件がいくつかありました。

 その生徒はみんな知られたくないことをなぜか知っていて、それをダシにあらゆることを強要させられたみたい。」キュウキが説明する。

例、想像

「お願い。誰にも言わないで。」

「君が私に逆らえない奴隷として生きてくれるのならね。」

「そんな…」


「秘密をバラまかれ学校にいられなくなる。もしくは強要される日々に限界でやめた。そんな生徒がいや、 生徒だけでなく先生も何人もいた。」

「なんて酷いことを…」

「あの後、アリカは正気に戻り今回の件の真相がだいたいわかった。明日でこの依頼は切り上げる。

 そのためにも。」とサイセは指をさす。

「へ、俺?」

「明日だ。頑張ってもらうぞ。」

(嫌な予感しかしない。)


翌日 授業中

「~でここが○○になる。」

「先生」

「なんだねヘレン。」

「あの急に頭痛が…保健室に行ってきていいですか?」

「いいぞ。気をつけてな。」

ヘレンは教室から出ていく。

「先生、心配なので送っていきます。」

「お、コラコラ」

先生が呼び止める間もなく俺は教室を出てヘレンを追う。


「いいか、ヘレンは教室を出たらお前も追え。またお前を危険な目に合わせるかもしれないが心配しないでくれ。今回はキュウキを学校に忍ばせておく。」

とりあえずサイセが言った言葉を信じ、ヘレンが入った保健室へと入る。

「ハ、隼斗!?なんで?」

「え…いや…」

(あれ?保健室までヘレンを追うのはともかくこの後のこと何も言われてなくね?)


ガチャッ 保健室にまた誰か入ってくる。

「ふふふっ二人で何をやってるのかしら?」

保健室から入ってきたのは

「リアさん…?なんで…」

「なんで? 私の目の見えないところでコソコソやってるからよ。」

口調は落ち着いているものの、それは普段のリアからは考えられない憎悪や嫉妬に満ちた顔だった。

「ヘレンにはね私以外二人きりでお喋りしたら駄目なの。あの女は私の見えないところでヘレンと楽しそうに笑ってた。それが許せないの。」

話してるとリアの体の色が暗く灰色になっていく。

「はじめはみんなの知られたくない秘密いっぱい見ちゃってみんなの自由奪っちゃうのが楽しかったわ。

 でもあの女は別。あーやってずっと睨み続けてあの女を壊してやるのよ。」

リアの体は両生類のように皮膚が湿り、全身に目玉が浮かび上がった。

「みんなの人生は私が一生監視してあげる。

 でも隼斗、その前にあなたを消す。昨日はよくもっ」

リアは襲いかかる。

だが突如吹いた疾風が魔人の動きを止めた。

「サイセ、魔人が姿を現した。」

キュウキはサイセに連絡をしたらから爪を伸ばす。


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