26.猛襲 シーモンスター
「それってどういうことですか?アリカとその…ヘレンって」
「なんだお前アリカを知ってんのか。」急に食い気味になった俺に二人は動じないで聞き返す。
「えっと…そのアリカとヘレンの関係について聞かせてください。」
「まあ、特に二人にそんな関係はなかったんですけどねえ…アリカが一方的に絡んできたというか…」
「まあ、それをヘレンは避けていたって感じだな。」
「ふーん」 納得しうなずくとヘレンはこっちを向いて睨んできた。
その眼差しにヤツクは動揺する。
放課後
階段を下りてると、ヘレンが話しかけてきた。
「こんにちは、ハヤトさん。私、ヘレンよろしくね。」
愛想よく握手をするが、何か違和感を感じる。
「よ、よろしく。」なんだか異質なものに見られてるような気がする。
「まだまだ話したいことがたくさんあるけど、また明日ね。」
そう言い、ヘレンは手を振りながら階段の先へ消えていった。
振り返ってみるが視線の主らしき者は見当たらない。違和感はまだ残るが俺は後を追うよう階段を下りる。
「へーつまりアリカとヘレンの関係で何かあってそれでアリカさんがああなってしまったと。」
学校で得た情報を夕食で一通り話す。
「まだ確証はないけどヘレンさんは怪しいですよね。」カップヌードルをすすって言う。
「そうか…おい隼斗、明日ヘレンを尾行しろ。」
「ブフォッゲホゲホ び、尾行って」サイセの急発言に思わずラーメンを吹き出す。
「なに、常にそいつを見張るだけでいい。」
「意味変わってないですよねそれ?」
次の日
「それでね、ハヤトさん○○でね…」学校でやたらヘレンが関わってくる。
(まあ、尾行なんかするよりはマシか)
「ねえ、聞いてる?」
「あの、ヘレンさんその…」正直ヘレンは僕に釣り合わないほど可愛くて学校でも人気なので話すのは緊張する。
「ん?」
「僕からも質問していいですか?」
「…いいわよ。」ヘレンは少し考えたが、にっこり微笑んで返答してくれた。可愛い。
「あ、でも待ってて今トイレに行くね。」
廊下でヘレンを待つ。話しながらで気付かなかったが1棟3階の廊下に来ており、ここは使われてない教室が多く人通りが少ない。
ピチャ…ピチャ…
「?」トイレから濡れた足音が聞こえる。
「ヘレンさん?」名前を呼ぶが返事がない。
その代わり奇妙な生き物が女子トイレから出てきた。灰色のイモリを人型にしたような姿。体表はウナギや両生類のように湿ってる。そして何よりその怪人は全身に目がついていた。
「う…うぇ…へ…」その恐ろしい姿に言葉にならない声が出て、後ずさる。
全身の目が一斉にこちらを捉える。それと同時に足が動き、反射的に走り出す。
怪人の目のうち一つが光る。赤いレーザーが放たれる。
レーザーの軌道は不規則。弧を描くように曲がり足元に放たれる。
レーザーが当たった床は黒く焦げていた。冷や汗が首筋に流れる。
怪人の目が光る。しかも一つじゃなく多くの目がレーザーを撃とうとしてるのだ。
いち早く隠れなければ… だがどの教室もカギがしまってる。
怪人が大量のレーザーを放ったがのとやっとカギの開いた教室に入ったのは同時で間一髪だった。
教室からレーザーが通り過ぎるのを確認しホッとする。
だが、追ってきたのか怪人が顔を覗かせてこっちを見る。
やばい。
狭い室内で逃げ場などどこにもない。怪人は目を光らせる。
今度こそ終わりだ。
慌ててると体が棚にぶつかり瓶が落ちてきた。瓶をキャッチするとラベルに「HCL」と書かれてる。
「塩酸だ。」
怪人はまだ力を溜めている。
瓶の蓋を外して怪人に投げつける。
(これにかけるしかない)
怪人は塩酸を浴びる。
「ギキャ―――― ゼギャ―――」怪人は倒れこみこの世とは思えないほどの絶叫をあげ、床をのたうち回ってる。
「今だ。」
ハヤとはその隙に通り抜けて逃げる。廊下を走り、角を曲がってまた走った。階段を下りると一人のオークが鏡を見ていた。
「君は? 俺は隼斗」
「…僕は…キャルド…」
「どうしたの…鏡なんか見て。」
「…悲観してるんだ…なぜ自分がオークなんかに生まれたのか…」
思った以上に深い悩みだ。
「…あんまり考えない方がいいよ。自分が何かだなんて。」
励ましになってないかもしれないけどそうとしか言えない。
「……そっか。」 キャルドのキャルド顔が少し明るくなったように見えた。




