14.枝分かれした本
工場のゲートが開く。グレムリンの工場に着たのだ。
ゲートから四脚の機械に乗った工場長が現れた。
その左右にカーブミラーほどの大きさのガードロボがいる。グレムリンが頭部のコックピットで操縦してるようだ。ロボは左腕にアーム、右腕にシールドを装備している。
「よく来てくださいました。どうぞ中へ。」
工場長は応接室に案内する。
グレムリンの姿はゴブリンに似てるが、ネズミかウサギのような体毛で覆われていた。また頭に角が生えている。
案内中、ベルトコンベアにはさまざまな機械が流れていた。それはデザインこそ奇抜だが、テレビや扇風機といった俺の元いた世界では馴染みのあるものばかりだった。
応接室に着き、用意されてるソファに座る。
「しかし、グレムリンの造ったもので苦情とは悲惨ですね。」
「ああ。このままでは客の信用は失い工場を閉鎖することになる。頼む。お前だけが頼りだ。」
「最善は尽くす。」サイセは答える。
グレムリンからの依頼はこうだった。
つい最近、工場で造られた商品を購入したお客様から次々とクレームが寄せられる。不備があったり不良品だったりなど。中には機械の誤差動により、大怪我をした者もいるという。
だが、造る過程においては全く問題なく、ましてやグレムリン達は商品が客の手に渡るまで細工されないよう凝固な箱に入れる。誰かに細工されることはありえない。となれば工場以外で誰かが商品に手をかけることなどできない。だがこの工場にグレムリン以外はいない。だから犯人を見つけ出してほしいという依頼だった。
サイセとキュウキは事件の捜査へ行った。
俺は応接室に残っている。
本棚に気になる本を見つけて手に取る。
「あの、これ読んでもいいですか?」
「ん~?いいぞ。」工場長は書類をしながら答える。『進化と文明』




