13.ヴァルカディアの魔人
目が覚める。眠る直前の記憶を甦らせようとすると、キュウキが適当に貸してくれた毛布で眠ってたような気がする。 窓を見ると空は紺色だ。
「夢じゃ…ないのか…。」落胆してはいるが、正直本当に自分が嘆いているのかがわからない。心の底では、未知の異世界都市ヴァルカディアでの自分の未来にわくわくしてるのかもしれない。
カチャ…カチャ…
機械音が聞こえた方を向くと、キュウキがPCのような機械を操作していた。
「あ、ハヤト。目が覚めた?まだ早いからもう少し寝ててもいいのよ。」
首を横に振って聞く。
「キュウキ…さん、何やってるんるですか?」
見た目は幼いが、いろいろ敬意を払うべきなので。
「無理にさん付けしなくてもいいのよ。えっとこれは依頼のチェック。この都市には見えないサークルみたいなのがあってそこに繋がる機器を使っていろんな情報を出したり取り入れたりするの。」
(それは、インターネットのようなものなのだろうか?異世界でインターネットという概念があるとはよほど高度に発展してるんだな。)
「私とご主人様は通常にも依頼が載せられるサークルより、大きな事件性のある深刻な依頼が載せられる裏サークルから依頼をチェックするの。依頼を解決して手に入る報酬で暮らしてるの。」
「へーつまりギルドみたいな?」
異世界転生モノのラノベでよくある制度を聞いてみた。
「ギルドねえ… まあここは発展しすぎてるゆえに元々力があった種でもほとんどが退化してるからここではすっかり衰退してるわ。ほかにもギルドより食ってける仕事が増えたこともあるのかな。
あと裏サークルの依頼は魔人に関したものばかりだから、魔人を暴くための知恵がないと、力にかまけてる脳筋じゃ返り討ちにされるだけよ。
そうそ、今回の依頼者はグレムリンの大工場からよ。」
グレムリン…映画でしか聞きなれないような単語が出てきた。確か…愛らしい外見に似合わぬ凶暴性をもった怪物だっけ。そんな怪物の大工場なんてとても恐ろしいものが量産されてるのであろう。
気づくと紺色だった空に金色の輝きが差してきた。




