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副会長の仰せのままに。  作者: ザト伊織
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プロローグ

三月。

春だ。

桜を代表とする花々が舞い、冬の寒さから目覚めた多くの生き物が活動を再開する。


人にとっては、別れの季節であり、出会いの季節でもある。

特に学生がその典型だろう。

入学やクラス替えというシステムにより、これまでとは違うコミュニティに否が応でも放り込まれる。

不安や緊張が入り混じった気持ちで教室の扉を開くというのは誰しもが経験したことがあるはずだ。


しかし、『春』という季節は存在しても、明確にいつからいつまでがそう呼べるのか、という問いには答え難いのが大多数ではないだろうか。


誰かは三月から五月と言い、誰かは涼しい間とも言う。

だが、四月、五月はともかく三月は涼しいというよりも、まだ少し肌寒い、と言った方が適切だろう。

その引き締まった気温の中でも、人は春のマジックにかかり、外気と反比例するようなふわふわとした気持ちになる。


過ごしやすい時期は人の心を開放的にする効果があるようだ。


地方の海の近くにある、萩月高校もその例外にもれず、どこか浮かれた雰囲気だった。

浮ついているのは一、二年生だけで、三年生は受験を控えた最終局面にあるのだが、その三年生はつい先日の卒業式で学校を後にしている。


ピリピリしていた配慮の対象が全員学校を後にしているということで、萩月では、少し騒がしい『いつも通り』の高校生らしい日常を送っていた。


俺、早蕨裕真もその中の一部だ。

もっとも、俺はその性格上、ワイワイ騒ぐというのができないし、それを拗らせて自己表現過剰な奴らを嫌うまである。

教室内でバカ騒ぎするパリピどもを一瞥し、「黙れ、死ねよ」と愛を込めた脳内エールを送ることに専念するのが、休み時間の習慣だ。


ただ、『いつも通り』と言えども、人間誰しもその他大勢のパンピーとは違う、特徴を何かしら一つは持っているものだ。


そろばんや習字、カリスマ性に運動神経。持っていないものからすれば、羨ましいものだ。

「特技はエアそろばんです」とか言い出す奴にはもう単純に凄いと思う。


俺の場合は、それが生徒会のメンバーであるということ、そして、よくわからない『超能力』を持っていることだった。

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