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第二話 豚は純情だった

俺が豚に転生してから一ヶ月が経った。


俺はこの世界のこと、俺自身のこと、これから何をすればいいのかの三つを調べた。


乗り移る前の俺は図書室には立ち寄らなかったのか、司書さんたちに奇異の視線で見られた。


ちなみに魔法の知識についてもちゃんと調べた。魔法は初級、中級、上級、特級、超級、聖級、王級、帝級、神級に別れていて、それぞれF級、E級、D級、C級、B級、A級、S級、SS級、SSS級というふうに分類されるらしい。


SS級以上は禁呪といわれ、使うだけでも何かしらの代償を必要とするらしい。


禁呪・・・!厨二心がくすぐられるぜ・・・!


なので思わず禁呪指定の魔導書を一ページ開いてしまった。すると途方もない情報量が脳内へ流れ込んできて、頭が割れるような痛みと共にどのようにして使えるかが分かった。


これはどうやら魔神の魔眼さんのお力のようで、視界に映ったものの情報を読み取る力だそうだ。鑑定もこの力の一部だったというわけだ。


つまり俺は禁呪を一つ使えるようになったというわけで・・・・・いやいやいや、勿論使いませんよ?・・・・・・・・・ほんとだよ?


閑話休題


アブソプスと呼ばれるこの世界は、大きく分かれて四つの大陸と、無数の島から成り立っている。


その四つの大陸のうちの一つ、アトランティス大陸に今俺はいるらしい。


このアトランティス大陸には、現在六つの種族が存在するとされている。


魔力が高く、身体能力も秀でるとされる長命種、魔族。


貪欲な学習能力と数の力で、幾つもの国々を作り出した人族。


自然そのものであるとさえいわれ、どんな超常現象や天災さえ起こせる精霊。


精霊を崇め、その住処である森を守り続けたために、精霊と心通わせることのできるエルフ。


同じく精霊を崇め、その供物となる物具を作り出したために、精霊と心通わせることのできるドワーフ。


魔族にも勝るとも劣らない身体能力を持つ獣人族。


その中で人族と魔族は長く戦い続けているという。大体二千年くらいらしい。


長くね!?


しかも戦争の理由。これが一番おかしい。


人間の言い分、魔族は悪しき者だから。


魔族の言い分、人族が同胞を害するから。


魔族はまだしも人間の言い分に根拠がない。つまりは何故戦い続けているのか、理由が分からないということだ。


現在魔族側にいる俺としては、ちょっとどうだろうかという感じだ。


そう、今の俺は魔族側にいる。理由。俺が魔族のトップの一体である豚だから。


飛べない豚はただの豚とはよく言ったもので、魔法の使えない魔王豚はまさにただの豚だ。


これを配下の者たちに知られたら一気に下克上ものだな。


そんな俺はどうやらぼっちらしく、いつも周りにいてくれる人はたった一人だけだ。


その娘は俺(乗り移る前のバアル君)が幼い頃に奴隷として買った人族の娘らしく、さらには俺の意中の相手らしい。


初めて出会った頃から、その娘と顔を合わせるだけで胸がドキドキしてくるといった感じだ。


どんだけ純情なんだ、豚。


その娘のステータスがこれ。


♡アリス♡ 22歳 女 人 メイド

レベル:15

称号 :魔王のメイド

HP :100/100

MP :90/90

筋力 :60

耐久 :70

敏捷 :90

魔力 :100

幸運 :20


【スキル】

奉仕術(B級)


どうやら好意が強すぎると、名前がハートでデフォルメされるようだ。


なかなか多才だな、この魔眼スキル


まあ、これからの目的としては魔法スキルを取り戻しつつ、アリスさんの心を掴むことって感じだな。


「まあ、またアリスさんだなんておっしゃって」


え?


思わず聞こえてきた声の方ーー背後にばっと振り返ると、既にお馴染みのドキドキという心臓音が聞こえてくる。


そこに居たのはメイド服に身を包んだ美女。妖艶、と表現するのが正しいような雰囲気を醸し出し、スラッとした肢体はあらゆる異性を魅了する。さらに黒髪ロングというのもポイントが高い。なんでこんな娘が奴隷になんてなってたのだろうと思いながらも、心の中でガッツポーズをとる。


「最近、ころころ表情が変わりなさりますね。皆さん、バアル様が変わったって噂していますよ?」


「え?皆そんな噂してんの?なんで?」


「それは・・・・・あっ、ちょっと失礼しますね」


そそくさと去っていくアリスさん。


おいおいおい。今まで何してたんだよ、旧バアル。


これからのことより、今までのことが気になり出した俺だった。

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