6 宇宙人と北東寺榛名1
軽やかなステップと共に、300人の不良の間を駆け抜ける冷たい瞳の少女。
「(冷たい瞳で)・・・コブラツイストにょろん。」 榛名
ばき。
「(冷たい瞳で)・・・バックドロップにょろん。」 榛名
ごちん。
目にも止まらぬ手刀が不良達を切り裂きます。急所を外しているとはいえ、
放っておけば出血多量死は免れません。
ちくちくちく。
しかし、切り裂くそばから天才外科医にして、咲久羅さまの執事、
片瀬怜治が縫合し、救命します。
「お嬢様、こんな奴ら助ける価値は無いのではないでしょうか?」 片瀬
「いいえ。この世に無くなって良い命などないのです。
それにこの中の100人に1人くらい、
後で世の中の役に立つ者が現れるかもしれませんよ。」 咲久羅
「はっ。この片瀬、お嬢様のお言葉に目から鱗が落ちてございます。」 片瀬
不良達の行動は異常でした。
たった1人の中2の少女に300人からの不良が次々打倒されながら、
誰一人逃げ出すことなく攻め続けたのです。
「四の字固めにょろん。」 榛名
ごき。
中国拳法の連続攻撃に、ついに不良のリーダーと思われる者が撃沈。
そう思った時でした。
「古瀬!私に火炎放射!」 榛名
「はいよ!お嬢っ!!」 古瀬
いつの間にか用意されていた火炎放射器を、間髪入れずに発射する榛名さまの執事。
炎が不良ではなく、榛名さまを包んだかに見えたその瞬間、
スカートの裾を焦がしながらも紙一重で炎を避ける榛名さま。
このとき、榛名さま以外気付く者はいなかったのですが、
不良から榛名へと飛びだした、何か虫の様な物が炎に焼き殺されたのでした。