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藤凰院理子と奇妙な学園  作者: 石表
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36 決戦兵器と月鳶宇佐2

「……お小遣いが月10万円では全然足りないです。


 万均(学園内の1万円均一のお店)でも少ししか買えません。


 うう……、貧乏(※)が憎いです。パパに交渉するです…。


 (携帯を取り出して)もしもし………です。」 明日葉


「なるほど、じゃあアルバイトを1つ頼もうかな。


 ……というわけで。」 明日葉パパ


「……分かったです。」 明日葉


(※ 明日葉のお父様はグローバル展開するスーパーチェーンのオーナーですが、娘の教育上良くないという事で、娘の前では普通の家庭を装っています。)





 学園を出て東京に向かおうとする明日葉。そんな彼女が学園の門を出ようとした時、ピンクのフェラーリが停まりました。


「明日葉さん、どうなさいましたの?」 咲久羅


「実は…です。」 明日葉


「では東京まで送って差し上げますわ☆


 どうぞ、お乗りになって下さいな♪」 咲久羅


「どうもです。……フェラーリなのに右ハンドル。


 というか…中1ですよね。(←今更その設定、活き!?)」 明日葉


「日本では右の方が乗りやすいですし、


 ちゃんとライセンスと総理大臣の許可は取ってますのよ。うふっ。」 咲久羅



「噂の超VIPの超法的措置ですね。


 でも、安全運転でお願いしますね。」 明日葉


「15秒で300Km/hまでイケますの☆


 体をシートに沈めてらしてね。


 でないとチョット、アブナイですわ♪」 咲久羅


「……この方、人の話を聞いてないです。」 明日葉


「はい☆なんでしょう?」 咲久羅


「お構いなく…です。」 明日葉


ぎゅいん、きーーーーーーん。東京到着。




「………。」 明日葉


「明日葉さん、明日葉さん。(にこにこ)」 咲久羅


「はっ!?


 ………あれがパパの言っていた新興スーパーですね。


 ちょっと覗いてみるです。なになに、“ヒンミンシリョウ館”?」 明日葉


「おーほっほっほっ。


 ここは学園の生徒が来るような所ではありませんわ。」 姫子


「では、なぜあなたはいますの?」 咲久羅


「オーナーだからよ。」 姫子


「……値札が全然付いてないです。段ボールから出してないし。


 それに、品物がすごく偏っているです。これじゃ不便です」 明日葉


「全商品50円/kgよ。タダ同然で手に入る時だけ仕入れていますの。


 ここを利用する貧民どもは、


 自分で調整して買い物を店に合わせればいいのよ。」 姫子




「賞味期限切れとか、傷んだ野菜とかあるです。


 あ、怒ったお客さんが店員さんにクレームを付けてるです。


 店員さんすご~く態度が悪いですね。


 逆にお客さんが締め上げられて、青くなっているです。」 明日葉


「自分で選り分ければいいのよ。気に食わなければここで買わなきゃいいし。


 店員には教育は全くしてないわ。


 ただ、クレームを付ける客は放り出せとだけ。」 姫子




「食品衛生法とかは大丈夫なの?」 咲久羅


「うふふふ、何を言っているの?


 ここは飼料の店よ。人間の法律は関係ないわ。


 まあ、買ったあと人が食べても、それは本人の勝手だけど。


 ここに来て、人の尊厳を捨てて卑屈に食べ物を買えば、


 すご~くお給料が安くても生きて行けるの。


 貧民どもはこのシステムにすぐ慣れるわ。


 知ってる?この国には今、そんな連中が増え続けているのよ☆


 ダーリン(※2)も喜んでいるわ。」 姫子


(※2 悪魔)




「うう………う、ヒドイで…」 明日葉


「なんて素晴らしいのでしょう!?」 咲久羅


「…え!?」 明日葉


「恋人のためにガンバリ、貧しい方々の力になる。


 そう、まだ食べられる物を捨てるなんてもったいないですわ。


 そうだわ、わたくしも微力ながらお手伝いします☆


 明日葉さん、行きましょう♪」 咲久羅


「え~~~!?」 明日葉




そしてピンクのフェラーリが、街ゆく人々にこんな言葉を投げかけるのでした。


「貧民のみなさ~~~ん、


 ヒンミンシリョウ館は動物の餌のお店ですけど、


 ちゃんと食べられる物もあるんですよぉ~~~。


 とってもお安く買えますから、貧しくてもいいんですよぉ~~~。


 娯楽や、自由や、プライドなんか捨てて、働き続けましょう。


 ヒンミンシリョウ館はみなさんの味方ですよ~~~。」





「うう…、心が痛い。」 貧民A


「やっぱり、人間の尊厳を捨てちゃダメだよな!」 貧民B




「なんて事!? 営業妨害だわ! ダーリン、あの車を止めて!!」 姫子


 見る人間が恐ろしさの余り石になりそうな地獄の炎を宿した緑の瞳、この世ならざる者が、フェラーリのさらに上空、全長2kmの大天使ガブリエルを睨み付けようとして、目が合いそうになると気弱げに避けるのでした。




「…というわけで、その店は潰れたです。」 明日葉


「ほお、じゃあご褒美だ。何が欲しい。」 明日葉パパ


「…ズォゴック。」 明日葉


(おしまい)

お読み頂きありがとうございます。

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