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藤凰院理子と奇妙な学園  作者: 石表
16/39

16 大天使と天御堂咲久羅4

皇居に並び称される、咲久羅(さくら)のお屋敷の一室。


「マリアンヌちゃん。ひと一人が生きていくのに、


 そんなに広いお部屋はいらないのよ。そう、20畳もあれば十分ね☆


 あ、でもあなたはネコだから、8畳くらいでいいんじゃないかしら?


 あら? なぁ~に、怒っちゃったのぉ?」 咲久羅


先月と名前違うし。でも、そんなことはどうでもいいんです。


咲久羅ちゃんの近くは絶対安全圏だから、ぼくはずぅ~と咲久羅こちゃんと一緒にいるよ。


by 先月はマリーアントワネットと呼ばれたペルシャ猫、オス3歳。





築30年の木造アパートの一室。


「ただいまッス。」 信悟


「お帰りなさいませ。」 八瑠佳(はるか)


「うぉっ、部屋が綺麗になってるッス!?」 信悟


「あんまり汚いから、掃除しておいたわ。」 八瑠佳




「すまないッス。ん?でも、あのピンクの布団はどうしたんッスか?


 それに自分の布団がないッス。」 信悟


「あれは私の布団。


 私はまだ中学生でカード作れないから、あなたのカードを作って買ったの。


 あなたのは、汚くて臭いから捨てておいたわ。」 八瑠佳


「な、なんてことを!?


 っていうか外国人も簡単に作れないはずッスよ。どうやったッス!?」 信悟




「それは秘密。


 とにかく、この部屋は私が寝るから、あなたはどこか余所で寝て。」 八瑠佳


「ここは自分の部屋ッス!!」 信悟


「なあに? 女子中学生の寝室に潜り込もうっていうの?


 懲りないわね。この変態!」 八瑠佳


「もっ、潜り込むって言うか、潜り込まれたッス。」 信悟




「ぶわはははははは、ぶわは、ぶわは、


 じゃあ、俺サマは押入れと~~~っぴ、


 よ~~~そ~~~ろ~~~。」 クックパッド


「じゃあ、あなたは部屋の前のアパートの廊下ね。」 八瑠佳


「絶対、おかしいッス!!!」 信悟





学園の教室。


「ねえ、聞いたぁ? 榛名(はるな)さんって、


 最近みすぼらしいアパートに出入りしてるらしいわよ。」 田口ひな


「知ってるぅ~~~。それに浮浪者みたいな人と一緒にいるところ、


 見た人がいるってぇ~~~。」 関口ひよ


二人の後ろを一瞬で通り過ぎる榛名。


「なっ、なんだか私、気分が悪くなってきたわ。


 気持ち悪いぃ~~~。」 田口ひな


「わ、わたしも。なんだか、眩暈がするぅ~~~。」 関口ひよ


保健室へと急ぐ二人。涼しい顔の榛名。




「お嬢。一般人に脳みそシェイクは、ないんじゃねぇかぁ?」 古瀬


「そんなことよりも、八瑠佳ね。私に恥をかかせるなんて。」 榛名


「まあ、死ぬわけじゃないし。


 ほっとけばいいんじゃねぇ~。」 古瀬


「さっさと捕まえてくるにょろん。」 榛名


「えっ?おれぇ?めんどくせ~。」 古瀬




夕陽を背にした下町の空き地。


「おまえは、榛名の執事の古瀬。


 私の命を狙いに来たのか?」 八瑠佳


「迎えに来たぜ。」 ニヒルな笑顔の古瀬



ずっきゅ~~~~~~~ん♡


ああ、戦場で敵として遭いまみえながらも、魅かれ合う二人。


まるで、現代のロミオとジュリエット。


それでも思いを募らせた二人は、ついに立場を投げ捨てて愛の逃避行。


これはもう、駆け落ちね!?



「お嬢の命令で。」 古瀬


「・・・。」 八瑠佳




千歳基地と並び称される、榛名のお屋敷の一室。


八瑠佳と目を合わせることなく、背を向けて立つ榛名。


「私に刃向った貴女を、


 もはや影武者としてこの屋敷におく事はできません。」 榛名


「・・・はい。榛名さま。」 八瑠佳


「しかし、その顔。・・・他人とは思えません。


 今日からは私の妹として、この屋敷で暮らしなさい。」 榛名




ずっきゅ~~~~~~~ん♡


「・・・榛名・・・お姉さま♡」 八瑠佳


八瑠佳に一瞥することなく、ソファに寝転び、雑誌に目を落とす、榛名。


「では、さっそくですが、


 コンビニでスプーンで食べるロールケ○キを買って、


 予約しておいた「どうでし○う」のDVDを取ってきておくれ。


 それから、今度の期末試験。私の代わりに出ておくように。


 妹よ。」 榛名


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい、榛名お姉さま。」 八瑠佳


「影武者っつうか、替え玉?


 まあ、いいや。めんどくせ~。」 古瀬




築30年の木造アパートの一室。


「はあ~~~~~っ、や~~~っと一人出て行ったッス。」 信悟


「まて~~~、きゅうりドロボ~~~。」 遠くの声


「ん?なんッスか?物騒ッスね~。」 信悟


ガチャンと開く、ドア。


「やあ、みんな。ここだったんだね。」 緑の生き物


「・・・イヤな予感がするッス。」 信悟

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