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藤凰院理子と奇妙な学園  作者: 石表
15/39

15 大天使と天御堂咲久羅3

ぼくは、マリーアントワネット。ペルシャ猫、オス1歳。


僕のおとうさんと、おかあさんは品評会で金賞を取った器量よしで、


ブリーダーさんのところで生まれて、半年後に咲久羅ちゃんの家族にしてもらいました。




「うふふふっ。くすぐった~い。もう、いたずらさんねぇ~。」 咲久羅


いつも寝る時は、咲久羅ちゃんのベットにもぐり込んで、一緒に寝ます。


「あら、マリーアちゃんどうしたの?


 急に大人しくなって、部屋の隅の一点を見つめて。」 咲久羅




そこで、切るんかいぃ!?ううん、そんなことはどうでもいいんです。


問題はぼくに見えるものが、咲久羅ちゃんには見えないみたいなのです。


あの部屋の隅から染み出してくるような黒い影。


「なんにも、ないわよぉ~。


 ゆっときますけど、咲久羅のお部屋にはいくら探しても、


 ねずみさんなんか出てきませんからねぇ~。」 咲久羅




部屋の隅で、黒い影が固まって丸くなります。


そして、ぶくぶくと大きくなって行きます。


やがて、黒い影の玉は開いて、


6本の鍵爪を持つ10本の手と、4本の足、7つの目と100本の牙、


緑の鱗の肌を持つ、恐ろしい怪物になって立ちあがります。


それはとても大きく、天井まで3mの咲久羅ちゃんの寝室でも、


胸から上は天井の上に出て見えません。




「あっ、分かったぁ~☆


 さっき食べたフォアグラが、お腹の中でゴロゴロするのねぇ~。


 だから、やめときなさいっていったのにぃ~♪」 咲久羅


それがゆっくり近づいてきても、ぼくには何もできません。


だって、見えるだけの猫だから。


5m、・・・3m、・・・2m。




ずっし~ん。


そのとき、巨大な音を立てて、大地が揺れたのです。


ああっ、あのお方が来た。


目の前の恐ろしい怪物も、体を固くして周囲をうかがっています。




ずっし~ん。


咲久羅ちゃんのすぐ横に、巨大な足が降りてきました。


あまりに大きな足で、天井から下ではくるぶしすら見えません。


でも、この巨大な音も振動も咲久羅ちゃんは気付きません。




ずっし~ん。


人はそれぞれ守護霊というものを持っているようです。


こういう人の目で見えない害悪や不運から、その人を守ってくれる存在で、


ご先祖様だったり、縁の深い動物だったりします。


霊の強さはほとんど大きさに比例します。人の守護霊のほとんどは、


人と同じくらいの大きさです。




ずっし~ん。


でも、咲久羅ちゃんには守護霊がいません。だって・・・。


「マリネットちゃん。もう、そんなに気にしないで早く寝なさい。


 咲久羅はもう寝ますからねぇ~。」 咲久羅


さっきと切り方違うし。そんなこともどうでもいいんです。


目の前の怪物は、ほとんど逃げ腰です。でも、もうおそいよ。




ずっし~ん。


天井を突き破って、厚い壁のような鉄製の何かが降りて来て、


怪物を分断。というよりも、押し潰すかのように地面へとめり込んでいきます。


きっとそのまま地獄へ逆戻りでしょう。


あのお方が怪物をやっつけてくれたから、


ぼくも安心して寝れるよ。


おやすみなさい、咲久羅ちゃん。





ブロォォォォオォン。


(↑足元に剣を突きたてる咲久羅の守護天使。


 ”超” 『巨』 大天使ガブリエル。全長2km。)

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