友達
サンライズ勇者シリーズをイメージしたロボット作品です。ですが既存の作品との関わりは一切ありません。感想、評価大歓迎です。ドッロプアウトした場合もどのあたりか記入していただければ今後の作品作りの参考になります。モラルの範囲内での辛口コメント期待しています。
優希が目を覚ましたの病院のベッドの上、知らぬ間に運ばれたらしい。
同じくあの後、ミナトは病院に搬送され巨人もどこかへ連れて行かれた。
覚えているのは気を失う直前ヘリコプターのライトが目に入ったことだけ。
先に回復した優希はミサトに付き添っていたがその様は茫然自失、いつの間にか姿を消してしまう。
神社の境内
「やっぱりいない」
巨人のいなくなった跡に座り込み顔を伏せる。
「もしやと思ったがここにいたのか」
鋭い視線でオトコを突き刺す。
「彼なら我々が移動させた。君も来たまえ」
ヘリの中
「あんたたち何?なんなの?」
「そう尖らないでくれ。私は君を連れてくるよう頼まれただけだ」
「頼まれた?」
「君と、ホビット、彼をね」
「!?。あんたなんでしって」
優希の顔が急変する。
「早瀬優希くん。早瀬健吾氏と未知留氏の長男にして続く弟妹なし。数年前、母親が奇病で記憶障害になり父親は介護のため職を変えいまでは施設で療養中」
「!?。なんだよおまえら、気色悪いな、降ろせよ!!ここから降ろせよ、どこ連れてく気だよ!!」
「暴れないでください」
「ご家族のことに触れたのは配慮にかけていたと思う、すまない」
「おれのこと、あいつのことなんでアンタが知って」
「厳密には聞かされただけだよ、私は。ある人に」
「ある人?さっきからそんなことばっか言って」
「直に会えるさ。気を待ってるんだあの人はずっと」
謎の施設格納庫
「ほ・・・!!あんたらこいつに何したんだ。」
「なにか気が付かないかね」
「?」
「彼は今稼働していない。生物だとすると生きていないんだ。目が死んでいる」
「!?」
「彼は抜け殻だよ」
そこには洗体されボディを磨かれた巨人ホビットの姿があった。
「解析中だよ」
「解析だって!?勝手に弄くりまわしやがって」
「もっとも今は装甲の上からだけだがね。あれは人工物のような見た目をして機械の入り込む隙間というものが見当たらない。今はやりようにも何もできないんだよ。君を安心させるためこちらを先の案内したがその様子だとまた君の気に触れたようだ。順番が逆のようだ。」
大きな部屋に案内される。そこには大画面のモニターがたくさん気象図のようなものが映ってる。
「ナニコレ?気象観測所?
「観測所・・・のようなこともしている」
優希を待ち構えていたように一人の老紳士が話しかける。
「早瀬優希くんだね・・・確かに面影がある」
紳士の顔をみて妙な既視感にとらわれる。
「けれどあの頃より目に陰りが見える。残念だ」
「あの人ってあなたのことですか」
「ああ、そうだ。私が君を連れてきてもらうよう頼んだ。さあ、腰をかけてくれ。飲み物を出さなくてはねソーダ水を二つ頼む。」
「ここは気象情報と同時にとある脅威について調べている。近々くる災害、それに備えてね」
「随分遠回しというかオブラートに包みますね。知られたくないなら話さなくてもいいですよ」
「今の君にはまだ早い。それだけだよ」
「なんですかその余裕のある大人の態度みたいなのは。カリカリしてるこっちがバカってか」
ソーダ水がとどく。カランと音を立てる氷。
「ヴイグッド!」
突然紳士は親指をと人差し指でVの字をつくり続けてグーポーズをとった。
「!?」
優希の遠い記憶が飛来する。
「ブイグッド!今学校で流行ってんだ!知らない?」
「知らない。学校行ったことないから」
「行ってないの?なんで?病気?テレビはみないの?ツーヒーロー、ブイマン・ジーマンってみんな知ってるよ」
「そうなんだ!?でもかっこいいねそれ」
「なんですか。今子供番組が関係あるんすか。大人がヒーロー番組の話なんて」
ソーダ水に目を向ける優希。ソーダ水に手を伸ばし口につける男。
「おいしいね、ソーダ水」
大人がソーダ水を飲む。ただそれだけのことに違和感を抱く。
またしても優希の記憶の扉をぶしつけに叩く音がする。
「ぺっ、なんだよコレ。こんなのソーダじゃねえよ」
「え?おいしいよ」
「ソーダってのはもっと甘いんだよ」
「でもオトナの人はありがたがって飲んでるよ、うまいうまいって」
「それビールじゃねえの?」
「ビールって何?」
「おまえ本当何も知らねえな。ああ、コーラとかグレープとか飲みたいな」
「ゆうきくんは難しい言葉いっぱい知ってるね」
「!?」
「意味わかんねえ!!アンタ何知ってんだ!!気味ワリィな」
「何か失礼があったかね?」
「さっきから昔のことが急に浮かんできて、俺とアイツの思い出が・・・なんで今とダブって・・・わざとか!?どうやって調べたか知んねえけど・・・」
「悪いことをした。先に名乗るべきだったな」
「これは俺とアイツの・・・」
「私はここの責任者をしている・・・」
「俺と運平の思い出・・・!!」
「相模運平という」
「ふっ、ふざけんな!!運平は俺と同じくらいの年のチビで坊主のっ!!」
クラクラ
すかさず紳士が手を上げるとすぐに大人たちが優希を抱きかかえる。
「熱があったのか。本当に済まないことをした。折角の再会が、君を怒らせたいわけではないのに・・・ユウキくん」
「ん・・・ん・・・」
うっすら優希のまぶたが開く。
「ん・・・ミサト・・・ミサト!!」
視界には静香の顔。
「ふっざけんなぁ」
顔面を殴る。
「鼻はよせって!!鼻は」
「なんでお前がここにいるんだよ」
フラフラ
「おいおい、無理すんなって。あっち落ち着いたから今度はオマエが気になって」
「!?、ミサト・・・は・・・?」
「ん、ああ、俺が見た時には血色も戻ってぐっすり寝てたけど」
蒼白の顔、死んだように動かない。けれど熱さだけは伝わってくる。あの感覚を思い出して自分の身を抱きしめて震える。
その様子を見てなにか思う静香。
「けど、おかしいよな。俺が病院に行ったらもうすでに違う病院に移ってて、そっち行ったらなんか隔離病棟かなんかだの、しかもなかなか面会させてもらえねえし、部屋の前にスーツ着た大人がたくさんいるし」
「で、なんでおまえここにいるの」
静香の顔をみたせいかミサトの安否を知ったからか幾分落ち着きを取り戻した優希。
「でさ、どこにもおまえいないじゃん?家も番号も知らないからさ、オッサンらにカマかけてみたの」
「?」
「優希に合わせろ優希をどこに連れて行った!!って迫ったわけ。案の定、動揺してみせたからそのまま粘り強く頼み込んだの」
「俺が帰ったとか考えなかったのかよ」
「ミナトのことほったらかしにしてどっかいくわけないじゃん優希が」
そのさまを想像して頭を抱える優希。
「そんでアイマスクっていうのされてここまで来たわけよ」
「おまえばかだろ」
普段の冷めた優希が戻ってきた。呆れながらにこう続ける。
「普通アイマスクなんかされて連れてこられるなんてまともな場所なわけないだろ。やばいと思わなかったわけ」
「優希に会えるならいいやってあははははh」
「あんた、真性のバカだよ」
傍に置かれた優希の荷物の中にペンダントがあった。
「それ、なんかいいな。かっこいいのか?よくわかんねえけど」
ギュッと!握りしめる。
「ミナトがくれたんだ・・・」
少し真剣な顔になる静香。
「ホビットすげえ!!でけええ、力持ちだな。カッコイイじゃんホビット」
布団を蹴飛ばし部屋をでていく優希。
「オイ優希、どこ行くんだよ」
「オマエは大人しく代わりに寝てろ」
扉が閉まる。
「やれやれ、じゃあ言われたとおりに寝ますか。うぁ、汗びっしょり。せめてシーツは取り替えないとなコレ。・・・うちの妹に惚れるなよ優希」
大きな部屋
「起きて平気なのか」
何も言わず椅子に腰掛ける優希。
しばらく無言が続く。
「やっぱ納得はできねえ、わかりたくもねえ。でもここで意固地になってちゃ話は進まない。そうだよな」
無言の首肯がかえってくる。
「だから、あんたが運平だっていうならそれでいい。話してくれるんだろ、運平」
「傍から見たら爺さんと孫なのにあれが友達とはな」
「運平・・・また君にそう呼んでもらえて嬉しいよ。今の私と君では変かもしれないが私にはそうでもない」
「運平、どうしておまえおっさんなんだよ」
言葉を投げかけると同時に自分の中で可能性を探る。
「私が年老いる奇病にかかっているとかそんなSF染みた話じゃない。ただただ一つ一つ年月を積んできたそれだけだよ」
「?」
「優希くん、私達が出会ったのはいつだったか覚えているかい」
「いつって何年って話か?えと◯歳のの時だから、平成・・・」
首を横にふる。
「私はよく覚えている。あれは昭和◯◯年・・・戦時中だ」
「!?そんなばかな」
「君は時間旅行者だったのだよ。戦火と戦火のほんの些細な合間に私達は出会った」
「アレと戦ったのは覚えているね」
「あ・・・ああ・・・!?」
「あのあと君たちは光りに包まれて姿を消した。死んだものだとも考えた。なにぶん戦時下だったからね」
「目を覚ました時、街は何事もない感じだった。変だとは思ったんだ。あんなに・・・」
えずく。
「焼け野原・・・だったのに」
「探しても見つからない君を私は宇宙人かなにかだとも考えた。はたまた荒んだ心が見せた夢だったのかもとも。それでも自分の体験を信じたいとも思った。また君に逢いたかったから」
「ねえ、戦うってどうするの?」
「バンバンやっつけるんだよ」
「向こうのほうが強かったら」
「こっちも強くなればいい」
「向こうのほうがいっぱいだったら」
「じゃあこっちは、数を集めて・・・そうだなヒミツソシキをつくればいいんだ」
「ひみつそしき?」
「ああ、でっかいでっかいチームをつくって、そうすりゃ勝てるさ、絶対にな」
「戦争が終わると私は学問の道に入った。進学して組織を作ることにした。いつかまた君に会えると夢見て、たとえ会えなかったとしても奴らを食い止める一助になればと思ってね」
「運平、おまえ」
運平に抱きつく優希。
孫と祖父の触れ合いのように。
「オマエまだオレのこと、友達だって」
「あの時から今まで君はずっと私の友達だった。そして今でも。だからこそ君もわたしを運平と呼んでくれるのだろう、ゆうきくん」
回想
「まだ本調子じゃないんだ。今日のところは休んでいてくれ」
「けどまだ聞きたいことが」
「今の君にコレ以上負担を掛けたくない。それでも言っておくことはある。私は戦うためにこの組織を作った。そしてその日は間近に迫っている。優希くん、わたしは君と一緒に戦いたい」
「運平、そういえばアイツは?オマエと一緒にいた」
「彼は君たちが去ってまもなく眠りについてしまった。そしていまはホビット、あれも未だ眠りの中だ。力を貸して欲しい、優希くん。強い志なんていらない、これは君の友としての頼みなんだ」
医務室
「あれ、静香の奴先帰ったのか。突然沸いて突然消えるやつだな」
「早瀬優希の友人が会って話がしたいと」
「優希くんの友人が・・・かまわない、はいってもらいなさい」
「どもっす。おじさんがここの偉人ですか」
「ああ、そうだ。それで私に話しとは。まぁ、掛けなさい」
「どうもっす。おれ、アイマスクされてここに来たもんだから、バカだけど薄々わかるんです。おれなんかお呼びじゃない、おれなんかに知られたらまずいってのは。優希とうちの妹に何があって、そんで、あいつ、優希が何したかは全然さっぱり知らないけど・・・これだけは・・・あいつに何かするとか困らすとかそういうのはナシで、お願いします」
「友達か」
「昨日今日知り合ったやつで、仲もそんなだけど。おれ、なんかアイツ好きだし。妹も多分気に入ってると思うし、そんだけ。俺の友達を悪いようにだけはしないで、おじさん」
「優希くんがうらやましい。彼には年の近い友人がいるのか」
「へっ?」
「君が心配するようなことはない。彼は私にとってもかけがえのない友人だ。危険がないと言い切れはしないが、誓って無理強いはしない。それだけは約束する」
「おじさん、優希が好きなんスね」
「ああ、君と一緒だ。わたしは輝いている優希くんが好きだった。眩しくて太陽のようで曇った心を晴らしてくれるそんな彼が。そして今の彼も変わったように見えてもあの頃と同じ、彼もまた眠りの中なのだと私は思う」
「輝いている、優希っすか?ん~想像できねえな、けど。学校でアイツ見かけた時ビビッと来たのは覚えてる。こいついいかも!!みたいな」
「共に変えの友人であり続けよう」
手を差し伸ばす運平。一度衣服で手汗を拭いそれに応える静香。固く結ばれる誓いの握手。
優希が目を覚ましたの病院のベッドの上、知らぬ間に運ばれたらしい。
同じくあの後、ミナトは病院に搬送され巨人もどこかへ連れて行かれた。
覚えているのは気を失う直前ヘリコプターのライトが目に入ったことだけ。
先に回復した優希はミサトに付き添っていたがその様は茫然自失、いつの間にか姿を消してしまう。
神社の境内
「やっぱりいない」
巨人のいなくなった跡に座り込み顔を伏せる。
「もしやと思ったがここにいたのか」
鋭い視線でオトコを突き刺す。
「彼なら我々が移動させた。君も来たまえ」
ヘリの中
「あんたたち何?なんなの?」
「そう尖らないでくれ。私は君を連れてくるよう頼まれただけだ」
「頼まれた?」
「君と、ホビット、彼をね」
「!?。あんたなんでしって」
優希の顔が急変する。
「早瀬優希くん。早瀬健吾氏と未知留氏の長男にして続く弟妹なし。数年前、母親が奇病で記憶障害になり父親は介護のため職を変えいまでは施設で療養中」
「!?。なんだよおまえら、気色悪いな、降ろせよ!!ここから降ろせよ、どこ連れてく気だよ!!」
「暴れないでください」
「ご家族のことに触れたのは配慮にかけていたと思う、すまない」
「おれのこと、あいつのことなんでアンタが知って」
「厳密には聞かされただけだよ、私は。ある人に」
「ある人?さっきからそんなことばっか言って」
「直に会えるさ。気を待ってるんだあの人はずっと」
謎の施設格納庫
「ほ・・・!!あんたらこいつに何したんだ。」
「なにか気が付かないかね」
「?」
「彼は今稼働していない。生物だとすると生きていないんだ。目が死んでいる」
「!?」
「彼は抜け殻だよ」
そこには洗体されボディを磨かれた巨人ホビットの姿があった。
「解析中だよ」
「解析だって!?勝手に弄くりまわしやがって」
「もっとも今は装甲の上からだけだがね。あれは人工物のような見た目をして機械の入り込む隙間というものが見当たらない。今はやりようにも何もできないんだよ。君を安心させるためこちらを先の案内したがその様子だとまた君の気に触れたようだ。順番が逆のようだ。」
大きな部屋に案内される。そこには大画面のモニターがたくさん気象図のようなものが映ってる。
「ナニコレ?気象観測所?
「観測所・・・のようなこともしている」
優希を待ち構えていたように一人の老紳士が話しかける。
「早瀬優希くんだね・・・確かに面影がある」
紳士の顔をみて妙な既視感にとらわれる。
「けれどあの頃より目に陰りが見える。残念だ」
「あの人ってあなたのことですか」
「ああ、そうだ。私が君を連れてきてもらうよう頼んだ。さあ、腰をかけてくれ。飲み物を出さなくてはねソーダ水を二つ頼む。」
「ここは気象情報と同時にとある脅威について調べている。近々くる災害、それに備えてね」
「随分遠回しというかオブラートに包みますね。知られたくないなら話さなくてもいいですよ」
「今の君にはまだ早い。それだけだよ」
「なんですかその余裕のある大人の態度みたいなのは。カリカリしてるこっちがバカってか」
ソーダ水がとどく。カランと音を立てる氷。
「ヴイグッド!」
突然紳士は親指をと人差し指でVの字をつくり続けてグーポーズをとった。
「!?」
優希の遠い記憶が飛来する。
「ブイグッド!今学校で流行ってんだ!知らない?」
「知らない。学校行ったことないから」
「行ってないの?なんで?病気?テレビはみないの?ツーヒーロー、ブイマン・ジーマンってみんな知ってるよ」
「そうなんだ!?でもかっこいいねそれ」
「なんですか。今子供番組が関係あるんすか。大人がヒーロー番組の話なんて」
ソーダ水に目を向ける優希。ソーダ水に手を伸ばし口につける男。
「おいしいね、ソーダ水」
大人がソーダ水を飲む。ただそれだけのことに違和感を抱く。
またしても優希の記憶の扉をぶしつけに叩く音がする。
「ぺっ、なんだよコレ。こんなのソーダじゃねえよ」
「え?おいしいよ」
「ソーダってのはもっと甘いんだよ」
「でもオトナの人はありがたがって飲んでるよ、うまいうまいって」
「それビールじゃねえの?」
「ビールって何?」
「おまえ本当何も知らねえな。ああ、コーラとかグレープとか飲みたいな」
「ゆうきくんは難しい言葉いっぱい知ってるね」
「!?」
「意味わかんねえ!!アンタ何知ってんだ!!気味ワリィな」
「何か失礼があったかね?」
「さっきから昔のことが急に浮かんできて、俺とアイツの思い出が・・・なんで今とダブって・・・わざとか!?どうやって調べたか知んねえけど・・・」
「悪いことをした。先に名乗るべきだったな」
「これは俺とアイツの・・・」
「私はここの責任者をしている・・・」
「俺と運平の思い出・・・!!」
「相模運平という」
「ふっ、ふざけんな!!運平は俺と同じくらいの年のチビで坊主のっ!!」
クラクラ
すかさず紳士が手を上げるとすぐに大人たちが優希を抱きかかえる。
「熱があったのか。本当に済まないことをした。折角の再会が、君を怒らせたいわけではないのに・・・ユウキくん」
「ん・・・ん・・・」
うっすら優希のまぶたが開く。
「ん・・・ミサト・・・ミサト!!」
視界には静香の顔。
「ふっざけんなぁ」
顔面を殴る。
「鼻はよせって!!鼻は」
「なんでお前がここにいるんだよ」
フラフラ
「おいおい、無理すんなって。あっち落ち着いたから今度はオマエが気になって」
「!?、ミサト・・・は・・・?」
「ん、ああ、俺が見た時には血色も戻ってぐっすり寝てたけど」
蒼白の顔、死んだように動かない。けれど熱さだけは伝わってくる。あの感覚を思い出して自分の身を抱きしめて震える。
その様子を見てなにか思う静香。
「けど、おかしいよな。俺が病院に行ったらもうすでに違う病院に移ってて、そっち行ったらなんか隔離病棟かなんかだの、しかもなかなか面会させてもらえねえし、部屋の前にスーツ着た大人がたくさんいるし」
「で、なんでおまえここにいるの」
静香の顔をみたせいかミサトの安否を知ったからか幾分落ち着きを取り戻した優希。
「でさ、どこにもおまえいないじゃん?家も番号も知らないからさ、オッサンらにカマかけてみたの」
「?」
「優希に合わせろ優希をどこに連れて行った!!って迫ったわけ。案の定、動揺してみせたからそのまま粘り強く頼み込んだの」
「俺が帰ったとか考えなかったのかよ」
「ミナトのことほったらかしにしてどっかいくわけないじゃん優希が」
そのさまを想像して頭を抱える優希。
「そんでアイマスクっていうのされてここまで来たわけよ」
「おまえばかだろ」
普段の冷めた優希が戻ってきた。呆れながらにこう続ける。
「普通アイマスクなんかされて連れてこられるなんてまともな場所なわけないだろ。やばいと思わなかったわけ」
「優希に会えるならいいやってあははははh」
「あんた、真性のバカだよ」
傍に置かれた優希の荷物の中にペンダントがあった。
「それ、なんかいいな。かっこいいのか?よくわかんねえけど」
ギュッと!握りしめる。
「ミナトがくれたんだ・・・」
少し真剣な顔になる静香。
「ホビットすげえ!!でけええ、力持ちだな。カッコイイじゃんホビット」
布団を蹴飛ばし部屋をでていく優希。
「オイ優希、どこ行くんだよ」
「オマエは大人しく代わりに寝てろ」
扉が閉まる。
「やれやれ、じゃあ言われたとおりに寝ますか。うぁ、汗びっしょり。せめてシーツは取り替えないとなコレ。・・・うちの妹に惚れるなよ優希」
大きな部屋
「起きて平気なのか」
何も言わず椅子に腰掛ける優希。
しばらく無言が続く。
「やっぱ納得はできねえ、わかりたくもねえ。でもここで意固地になってちゃ話は進まない。そうだよな」
無言の首肯がかえってくる。
「だから、あんたが運平だっていうならそれでいい。話してくれるんだろ、運平」
「傍から見たら爺さんと孫なのにあれが友達とはな」
「運平・・・また君にそう呼んでもらえて嬉しいよ。今の私と君では変かもしれないが私にはそうでもない」
「運平、どうしておまえおっさんなんだよ」
言葉を投げかけると同時に自分の中で可能性を探る。
「私が年老いる奇病にかかっているとかそんなSF染みた話じゃない。ただただ一つ一つ年月を積んできたそれだけだよ」
「?」
「優希くん、私達が出会ったのはいつだったか覚えているかい」
「いつって何年って話か?えと◯歳のの時だから、平成・・・」
首を横にふる。
「私はよく覚えている。あれは昭和◯◯年・・・戦時中だ」
「!?そんなばかな」
「君は時間旅行者だったのだよ。戦火と戦火のほんの些細な合間に私達は出会った」
「アレと戦ったのは覚えているね」
「あ・・・ああ・・・!?」
「あのあと君たちは光りに包まれて姿を消した。死んだものだとも考えた。なにぶん戦時下だったからね」
「目を覚ました時、街は何事もない感じだった。変だとは思ったんだ。あんなに・・・」
えずく。
「焼け野原・・・だったのに」
「探しても見つからない君を私は宇宙人かなにかだとも考えた。はたまた荒んだ心が見せた夢だったのかもとも。それでも自分の体験を信じたいとも思った。また君に逢いたかったから」
「ねえ、戦うってどうするの?」
「バンバンやっつけるんだよ」
「向こうのほうが強かったら」
「こっちも強くなればいい」
「向こうのほうがいっぱいだったら」
「じゃあこっちは、数を集めて・・・そうだなヒミツソシキをつくればいいんだ」
「ひみつそしき?」
「ああ、でっかいでっかいチームをつくって、そうすりゃ勝てるさ、絶対にな」
「戦争が終わると私は学問の道に入った。進学して組織を作ることにした。いつかまた君に会えると夢見て、たとえ会えなかったとしても奴らを食い止める一助になればと思ってね」
「運平、おまえ」
運平に抱きつく優希。
孫と祖父の触れ合いのように。
「オマエまだオレのこと、友達だって」
「あの時から今まで君はずっと私の友達だった。そして今でも。だからこそ君もわたしを運平と呼んでくれるのだろう、ゆうきくん」
回想
「まだ本調子じゃないんだ。今日のところは休んでいてくれ」
「けどまだ聞きたいことが」
「今の君にコレ以上負担を掛けたくない。それでも言っておくことはある。私は戦うためにこの組織を作った。そしてその日は間近に迫っている。優希くん、わたしは君と一緒に戦いたい」
「運平、そういえばアイツは?オマエと一緒にいた」
「彼は君たちが去ってまもなく眠りについてしまった。そしていまはホビット、あれも未だ眠りの中だ。力を貸して欲しい、優希くん。強い志なんていらない、これは君の友としての頼みなんだ」
医務室
「あれ、静香の奴先帰ったのか。突然沸いて突然消えるやつだな」
「早瀬優希の友人が会って話がしたいと」
「優希くんの友人が・・・かまわない、はいってもらいなさい」
「どもっす。おじさんがここの偉人ですか」
「ああ、そうだ。それで私に話しとは。まぁ、掛けなさい」
「どうもっす。おれ、アイマスクされてここに来たもんだから、バカだけど薄々わかるんです。おれなんかお呼びじゃない、おれなんかに知られたらまずいってのは。優希とうちの妹に何があって、そんで、あいつ、優希が何したかは全然さっぱり知らないけど・・・これだけは・・・あいつに何かするとか困らすとかそういうのはナシで、お願いします」
「友達か」
「昨日今日知り合ったやつで、仲もそんなだけど。おれ、なんかアイツ好きだし。妹も多分気に入ってると思うし、そんだけ。俺の友達を悪いようにだけはしないで、おじさん」
「優希くんがうらやましい。彼には年の近い友人がいるのか」
「へっ?」
「君が心配するようなことはない。彼は私にとってもかけがえのない友人だ。危険がないと言い切れはしないが、誓って無理強いはしない。それだけは約束する」
「おじさん、優希が好きなんスね」
「ああ、君と一緒だ。わたしは輝いている優希くんが好きだった。眩しくて太陽のようで曇った心を晴らしてくれるそんな彼が。そして今の彼も変わったように見えてもあの頃と同じ、彼もまた眠りの中なのだと私は思う」
「輝いている、優希っすか?ん~想像できねえな、けど。学校でアイツ見かけた時ビビッと来たのは覚えてる。こいついいかも!!みたいな」
「共に変えの友人であり続けよう」
手を差し伸ばす運平。一度衣服で手汗を拭いそれに応える静香。固く結ばれる誓いの握手。