9.『トキメキ』の講座
ポーラル公爵家にて話をした。
お父様は大喜び。
「お前みたいなお転婆でも嫁に貰ってくれるのか?しかも第2皇子が?有難いじゃないか。結婚後も仕事を続けてほしい。みたいなこと仰ってるんだろ?いいじゃないか?」
お父様に聞いたのが間違いだった気がする。
断る事ができないんだから、楽しむしかないよなぁ。今日見た(観察した)ところかなりのイケメンだし、騎士団長なだけあって体型もバッチリだしなんら問題はないよね。
ならいっかぁ。
翌日。
「団長、昨日のお話お受けします」
「なんか違う。リラ嬢は俺のこと好いてくれてるの?」
「顔と体つきはタイプです。性格も好ましいですね」
「うんわかったんだけどさぁ、こう俺と一緒にいるとドキドキときめくとかさぁ」
「ときめくって何ですか?」
「あぁ、実家で武道を続けていた弊害かなぁ?異性にときめいたりしないのか?」
「よくわからないです」
「じゃ、これは?」
団長が突然手を繋いできた。これは世間で言う恋人つなぎというやつか?
「離そうとしてるね~。離さないよ」
真顔で言われると、ちょっとドキドキする。
「スイマセン。ちょっとドキドキしました。離して下さい」
「まぁ、このままじゃ仕事できないしね」
あういうふうにドキドキするのがトキメキというのか?顔の血のめぐりも良くなったようだ。
「顔の血の巡りが良くなったようなんですが?」
「……それは赤面って言う現象だよ。恥ずかしいとかそういう時になる。耳まで赤くなったりもする」
フッと団長に耳に息を吹きかけられた。
一気に赤面(ちゃんと覚えた!)して耳まで赤くなってしまったようだ。
「ハハハッ。体は覚えたようだな」
「揶揄わないで下さい!」
「いやぁ、反応が面白くてつい」
『つい』で揶揄わないでほしい。
「でもまぁ、こんな感じ」
「わかりました」
翌日から団長をより一層意識するようになってしまった。いや、あの攻撃(耳に息)をいつ喰らうかを警戒しているというのもあるんだけど、団長を見るだけでなんかドキドキする。仕事になるかな?
「おい、大丈夫か?」
思いっきり後ずさりをしてしまった。だって団長が突然オデコに触るから。
「熱があるかと思ったんだけど……その反応はショックだぞ?」
そんなこと言っても体が勝手に動いたんだもん。
「えーと、団長の事いつも考えるようになりました。気づけば団長の事ばかり。病気ですか?」
団長のことばっかりって変じゃない?
団長が盛大にお茶を吹き出した。あぁ!心を込めて淹れた紅茶なのに……。
「あー、病気じゃなくてだなぁ。まぁ、その相談は同性の友人にすべきだな」
同性の友人……いなくない?私みたいのは異端児だから、子供時代から親が「あの子とは仲良くしちゃいけませんよ~」みたいな?結果、この年齢で友人がいない……。
「あの……非常に言いにくいのですが、団長。私には同性の友人がいません」
「思えばまあそうだよな。お前は香水臭い令嬢達とは違うしな」
貴族令嬢が嫌いなのか?私も貴族令嬢だけど、こんなだし?
「仕方ないなぁ。リラ=ポーラル、お前は俺に恋したんだよ」
K・O・I?こい?鯉?故意?恋?
「色々頭がショートしそうだろうが、初恋だろう?それだ、それ!」
私が恋ねぇ。似合わな~い。
そんな中でも現実を受け止めろ。という自分もいたりする。そうなのか。
リラちゃんなんか頭がいっぱいいっぱい!頑張って抵抗つけて‼