第九十六話「星の集い、今宵も騒がしく」
ヒカリ荘の屋上が、特設ステージのようににぎわっていた。
「さーさー! 今夜は“星の集い”だよー! 全員集合〜!」
サンが勢いよく手を振ると、空の親戚たちが続々と現れる。
キン(金星)、メル(水星)、カレン(火星)、ドナ(土星)、テン(天王星)、カイ(海王星)、そして巨体を揺らしながらモク(木星)。
「美しさとは何か……この空間に、それを問い直したい!」
キンは到着早々、自撮り棒を片手に角度を追求していた。
「うぉー! そのポーズ、火山噴火みたいで最高だぞ!」
カレンはなぜかピザをかじりながら賞賛。
メルが騒ぐ。「1秒ごとに遅すぎるんだけど!? 空間のラグ!!」
「逆に早すぎる星がいるんだよ……」とテンが静かに皮肉る。
一方でモクはテーブルを丸ごと抱えて、「これ、みんなで食べようか〜」とのんびり構え、
ドナはスマホ片手に「サン、今の発言もう1回お願い。動画に使うから♡」と勝手に撮影。
カイは黙って星座の光を眺めながら一言。
「……こういう時間も、悪くない」
突然、テンが空を見上げてつぶやいた。
「なあ、そもそも俺たちの集まりって、地球から見たらどう映るんだろ」
「明るい点がゴチャゴチャしてるだけだろ?」とカレンが笑う。
「やめて〜! わたしの美しさ、拡散希望なのに〜!」
キンが大げさに嘆く。
その騒がしさに、サンが手を広げてまとめた。
「でもさ、こうして笑い合ってるだけで、宇宙って悪くないって思うよな!」
「太陽、いいこと言った」とモクがうなずき、
「でも次は私が司会よね?」とキンが当然のように名乗り出た。
こうして今夜の星空は、ひときわにぎやかに輝いていた。




