第九十一話 空みんラジオ第2回 ゲスト:風さん
\ 空みんラジオ〜〜第2回〜〜!! /
「はい! 始まりました空みんラジオ、パーソナリティのサンと!」
「聞き手兼ツッコミ担当のトキオです。……てか、またやるの?」
「大好評だったからな! 第1回は再生数3回!」
「俺たち抜いたヒカリ荘の住民だけじゃん……」
「さて今回は記念すべきゲスト回! 風のように現れ、風のように去るあの方です!」
「紹介が風任せすぎるだろ」
「ではさっそくご登場いただきましょう……風さーん!!」
ふわっとスタジオ(居間)の障子が開いて、誰かが舞い込んだ。
「ういっす! 風、登場〜☆ あ、この番組“空に任せる感じ”でいいよね?」
「お前が一番空任せだよ!!」とトキオが速攻ツッコミ。
サンが笑いながら言う。
「いやあ、風さんにはね、ぜひ語ってほしかったのよ。ふだん何してるのかとか!」
「うーん、基本的にはね……ふらっと現れて、ふらっと吹いて、なんか運んで、ふらっと消える!」
「説明が風すぎる」とトキオ。
「でもね、誰かの背中押したり、手紙を運んだり、偶然を起こしたり……案外、役に立ってるんだよ?」
「たしかに。突然ポストが開いて手紙落ちたり、帽子飛んだり、だいたいおまえの仕業だよな」
「うん! 悪気はないよ! むしろポジティブ偶然!」
「それ、被害者側の視点がまるでないな……」
サンが補足する。
「でもさ、風って“空気の流れ”なわけで、動きがないと世界が滞るんだよね。だから必要なんだよ」
「おお、なんかいいこと言ってる風〜!」
「お前が言うと軽いのよ!」とトキオ。
風はフワッと立ち上がると、ラジオに吹きかけるように言った。
「というわけで! また風が吹いたら、きっとオレが近くにいるってことで〜! じゃ、行ってくる〜!」
障子がバタン。風は本当に、風のように去っていった。
「すごいな……収録中にフェードアウトするゲスト、初めて見た」とトキオ。
「最高だろ? これが“風まかせラジオ”の醍醐味!」
「ラジオの概念、もう一回見直そうか……」
こうして、空みんラジオ第2回は、爽やかな混乱のうちに終了した。




