第九十話 太陽のヒミツ、教えちゃいます
朝のヒカリ荘。居間にサンがどや顔で立っていた。
「みんな〜っ! 今日は特別講義、サンの“太陽ヒミツ講座”のお時間でーす!!」
「始まったぞ……」とルナがコーヒー片手にため息。
「太陽のくせに、自分で自分を解説するのかよ」とトキオが突っ込む。
「いやいや、オレがオレを語らずして、誰が語る!?」
「確かに“当事者”ではあるけどさ……」
サンはチョーク(お菓子)を片手にホワイトボード代わりの窓に書き始めた。
「まずひとつ目! 太陽の表面温度、約6000度!」
「さりげなくすごいな」とヒカル。
「しかも中心部は1500万度なんだぜ!? これ、誰が設定したんだよってレベルの灼熱!」
「おまえ自身だよな……?」とトキオ。
「そうとも! オレが燃えてるから地球があったかい! このぬくもり、プライスレス!!」
ミラが手を挙げた。
「ねえ、それって、いつから燃えてるの?」
「おお、いい質問! 太陽は約46億年前に誕生して、今もちびちび水素を燃やしながら頑張ってます!」
「ちびちび、って言うにはスケールが爆発してる」とルナがぼそり。
「ちなみに寿命は約100億年と言われていて、今はその折り返し地点!」
「ってことは……後半戦?」とミラ。
「そう! 太陽サン、人生後半戦がんばってまーす!」
トキオがまた口をはさむ。
「おまえがいなくなったら、地球どうなるの?」
「うーん、膨張して赤色巨星になって……そのあと地球は飲み込まれて……あ、夢がなくなるからこのへんでやめとこうか!」
「もう手遅れだよ!!」と全員がツッコんだ。
最後にサンは窓に「太陽=愛と光」と書いてウィンクした。
「ま、難しいことは置いといて、今日もみんなを照らすぜっ☆」
その眩しさに誰も逆らえず――
ヒカリ荘は今日も明るく始まった。




