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第七十三話 宇宙って音がするの?

 ヒカリ荘のリビング。ソファの上でごろりと寝転んでいるサンと、床でバランスボールに乗っているトキオ。


 「なあトキオ、宇宙って、音すると思う?」


 サンの問いに、トキオがバランスを崩しながら答えた。


 「え? そりゃあ、“ビュイーン!”とか“ドゴーン!”とかするっしょ?」


 「アニメの見すぎだよ」


 「じゃあ何? 静かすぎて不安になるやつ?」


 「正解。宇宙空間には“音”が伝わらないんだよ」


 トキオが目を丸くする。


 「うそ、なんで!? 爆発しても“ボン!”ってなんないの?」


 「音ってさ、空気とか物質の“振動”で伝わるでしょ? 宇宙は真空だから、振動する“媒介”がないわけ」


 「つまり、爆発してても“静かに爆発”?」


 「そう。めちゃくちゃ派手に見えるけど、実際は“無音”」


 トキオが腕を組んで考える。


 「……じゃあさ、映画の宇宙戦争って、現実なら“サイレントバトル”なわけ?」


 「その通り。映像はド派手、音はゼロ」


 「なにそれ逆に怖い!」


 サンが得意げに笑う。


 「でも一応、NASAは“宇宙の音”を観測してるんだぜ」


 「え? どうやって?」


 「電波とかの“波”を、可聴音に変換してるんだ。ブラックホールの振動とかね」


 「……ってことは、ブラックホールの声が聞ける?」


 「“ごおおお……”みたいな、低音ノイズっぽい感じらしいけどな」


 トキオは天井を見上げてぼそり。


 「……オレもいつか、音になって誰かに届くのかなぁ」


 「それ、名言っぽく言ってるけど完全に中二病だぞ」


 「っていうか太陽さん、あんたこそ“音のかたまり”みたいな存在じゃん」


 「誰が“騒がしさの象徴”だよ!」


 ソファとバランスボールが、笑いとともに揺れる。


 宇宙に音はなくても――

 ここには、今日も笑いが響いている。

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