第六十八話 宇宙はボケとツッコミのインフィニティ
ある朝のヒカリ荘。食卓に、いつも以上に奇妙な空気が流れていた。
「なあ、みんな知ってる? 宇宙って無限なんだってさ」
サンが言うと、ルナが淡々と返す。
「……あなたの話も無限に長いわよね」
「おおっとぉ!」
サンはスルーされながらも笑いながら言った。
「でもな、昨日見たドキュメンタリーでこう言ってたんだ。“宇宙には知的生命体がいる”ってな!」
ヒカルがうなずく。「うん、でもこの家には“知的ツッコミ体”が不足してる気がするよ」
トキオが目を輝かせる。
「そうそう! ところでこの間、ブラックホールに物忘れを吸い込まれたんだけど……何の話だっけ?」
「君の話がいちばん吸い込まれてるよ」とヒカル。
そのとき、ルナがふとつぶやいた。
「月が落ち込んだとき、太陽に言うの。“照らしてよ”ってね」
ミラがくすりと笑った。
「……それ、ポエムじゃなくてジョークだったんだ」
そこへ流星がノリノリで飛び込んでくる。
「おじゃましまーす! “光速で来た”って言ったら、赤信号で捕まった流れ星でーす!」
「交通違反するなよ!」とヒカルが即ツッコミ。
さらに雲がふんわり現れて言う。
「ねぇねぇ、私っていつも“ふわふわしてる”って言われるけど、内心けっこう“ドヨーン”としてるのよ?」
「雲って、気圧のかたまりだからな……」とサン。
最後にサンがキメた。
「オレがヒカリ荘の太陽なら、みんなはなんだと思う?」
ヒカル「ストーブ」
ルナ「目障り」
ミラ「……ちょっとだけ、あったかい」
トキオ「フレアじゃね?」
流星「逆に俺が太陽だったら世界どうなってたかな〜?」
サンは満足げに笑った。
「なあ、みんな。オレたちって……宇宙で一番、にぎやかな星たちじゃね?」
「うるさいだけだけどな」とルナ。
今日もヒカリ荘は、ボケとツッコミで回っている。




