表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/151

特別編 月、詩う夜に ~ありがとうの光~

 ヒカリ荘の夜。


 その日は、満月だった。


 「この空に、届けよう……今夜の光と、感謝の気持ちを――!」


 ルナの詩が、また暴走していた。


 「出たな、満月ルナ!!」とサンが叫ぶ。


 「いや今日すごくない? 詩の構成が八連句になってる……!」とトキオが焦る。


 「今回は何か違う」とヒカルがつぶやいた。


 ルナはベランダに立ち、静かに、けれど情熱的に語り始めていた。


 「私たちがここにいて、笑っていられるのは……このヒカリ荘の空を、いつも見上げてくれる誰かがいるから。

  この光も、詩も、願いも、誰かに届くと思えるから――私たちは今日も、輝けるのよ」


 ミラがぽつり。


 「……今日は、“感謝”の満月なんだね」


 そのとき、ひときわ大きなノック音。


 「お届けでーす☆ “ありがとう便”、一件!」


 金色のスーツをひるがえし、流星がふらりと登場。


 「ルナにこれ、ってさ。送り主は、“読んでくれてる誰か”だって!」


 差し出された封筒の中には、星型のしおりと、小さな手紙。


 ――あなたの詩に、救われた夜がありました。

   ヒカリ荘の空に、ありがとう。祝・50話!


 ルナは、そっと目を閉じた。


 「……届いていたのね」


 「ねえ、今日はさ」とサンが言った。


 「ヒカリ荘、ちょっとだけ照らしてみようぜ。うちらなりの“お返しの光”ってやつ」


 ヒカルがライトを配り、ミラが星型の紙をちぎり始めた。


 トキオは手製のスピーカーで音楽を流す。


 屋根の上に並んで、5人は空に向かって声を合わせた。


 「祝! 50話ーーー!! そして、ありがとうーーー!!」


 誰に届くともわからないけれど。


 空のどこかで、きっと誰かが、くすっと笑ってくれる気がした。


 その夜、ヒカリ荘には満月より少しだけまぶしい“感謝の光”があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ