表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/110

第四十六話 虹がくれた休息

 朝まで続いた雨がようやく止んで、ヒカリ荘の屋根にやわらかな陽が差したころ——


「うぃーっす! にじ、参上〜☆」


 雲をかきわけて現れたのは、ド派手な服にきらきらの髪をなびかせた七色の旅人、虹だった。


「また派手に来たな〜」と、サンが笑う。


「もうちょっと控えめに登場できないの?」とルナがため息をつく。


「いやいや、オレってば“現れた瞬間に映える”のが売りだからさ~。地味とかマジ無理」


 虹はヒカリ荘の縁側にふわっと降り立つと、大きく伸びをした。


「でもさ〜、最近マジで出番減ってて……雨と太陽のセットって、ほんとレアなんだよね。

 天気予報アプリ、毎日3つ見てるよ。マジで“空の読み”は命」


 ヒカルがメモ帳にさらさらと書き込む。


「虹の出現率と天気分布、今度データとってみたいなあ」


 「研究材料にされてる……」と虹は肩を落とす。


 ミラがにっこりして言った。


「でも、出てきてくれると嬉しいよ。ほんの少しでも、“綺麗だな”って思える時間をくれるから」


 虹は照れくさそうに笑った。


「……そーいうこと言われると、すぐ消えたくなるじゃん。でも今日はちょっと、ここでぼーっとしててもいい?」


「どうぞ」とルナが静かに言い、サンが笑顔でお茶を入れにいく。


 その午後、ヒカリ荘の空には、七色の光がゆるやかにかかっていた。


 ほんの少しでも、空がきれいだと思えたら——

 その日の心は、少し軽くなる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ