第四十一話 空の青さのひみつ、知ってるか?
その日、サンはめずらしく真剣な顔をしていた。
「なあヒカル、“空が青い理由”って、知ってるか?」
「えっ、いまさら?」
「いや、“夏の自由研究”ってやつを、空の住人代表として発表しようかと思って!」
「誰に向けて!?」
トキオがアイスを食べながら口を挟む。
「太陽のサンが、“空はなぜ青いか”を疑問に思う時点で面白いんだけど」
「まあまあ聞けって。ちゃんとヒカルに教えてもらったんだから!」
サンが勢いよくホワイトボード(どこから持ってきた)を出す。
「まずな、太陽の光には“いろんな色”が混ざってるんだ!」
「それは白い光の中に、虹の色が全部入ってるってことね」とルナ。
「で、その光が地球の空気に当たると、青い波長の光が散らばる!」
「そう、“レイリー散乱”っていう現象ね」とヒカル。
「で、その散らばった青い光が、ぼくらの目に届く! だから空は青く見えるのだ!!」
サンがどや顔で腕を組んだ。
「……自分が発光源のくせに、説明は完全に“観測者”目線ね」と月がため息。
ミラが小声で言った。
「でもミラは、“空が青いのは、気持ちが晴れるから”って思ってた」
「それ、気象現象飛び越えて詩だよ」とトキオ。
「科学も詩も、どっちも空にはあるってことでまとめよう!」とサン。
その瞬間、地上のまひろちゃんがふと空を見上げた。
「きょうのおそら、きもちいいあおだね」
空のうえでは、サンがにっこり笑っていた。
「たぶん、それがいちばん正解かもな」