表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/151

第四十話 午後三時、ちょっとだけ上品に

 ヒカリ荘のリビング。午後三時ちょうど。


 月はいつものように、紅茶のカップを静かに揺らしていた。


「ふう……この時間は、何にも邪魔されたくないのよね」


 その向かいで、ミラがクッションにすっぽり座って、じっと見ている。


「ミラもね、今日だけは“おとなのおやつ時間”にしたいの」


「どういうこと?」


「ふだんはおせんべいとかポテチなんだけど、今日は“レモンタルト”にしてみたの」


 お皿の上に、やや大きめのタルトがひとつ。クリームがきれいに巻かれている。


「見た目は悪くないわね」と月。


「でもね……ちょっと食べたら、すっぱい!!」


 ミラの顔がくしゃっとなった。


「それ、レモンの良さじゃない。しっかりしてる証拠よ」


「月みたいだね」


「……どういう意味かしら」


「すっぱいけど、あとから甘くて、香りがのこるの」


「……それ、褒めてるのよね?」


 そのとき、サンが勢いよくドアを開けた。


「おっ、なんかティータイムか!? 俺もコーヒーとどら焼き持ってくる!」


「……帰れとは言わないけど、音量は控えて」と月。


 ヒカルとトキオもそれにつられてやってきて、

 なぜかヒカリ荘は、ちょっとにぎやかな“午後三時の喫茶室”になった。


 たまにはいいか、こんな日も。


 午後の光がちょっと上品に差し込む中、紅茶の香りがふんわりと広がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ