第二十五話 雷様からの手紙
ヒカリ荘のポストに、一通の手紙が届いた。
「おっ、流れ星便? ……ん? 送り主:雷様……?」
トキオが手紙を広げた瞬間、ぴしゃっと静電気がはじけた。
「うわっ、いたっ! おまけに帯電してる!!」
「さすが雷様、手紙ですらエレキ系……」とヒカル。
月が封筒を慎重に開ける。中には、大きな文字でこう書かれていた。
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**『今度の満月、ヒカリ荘でライブやりたい!
"DJカミナリのゴロゴロナイト2024"、開催許可ヨロ!』**
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「……満月の日って、ルナがテンション危ない日なんだけど」
「音と詩がぶつかったら、天気図が歪む……!」
太陽は頭をかきながらつぶやいた。
「でもさ、あいつ、悪いヤツじゃないんだよな。ちょっとうるさいだけで」
「うん、“明るすぎる性格”が誤解されやすいタイプだよね。太陽と似てるかも」とミラ。
「おい、それフォローになってない!」
その夜、月は満月の準備をしながら、ふとため息をついた。
「……誰かの光が強すぎると、見えなくなるものもある。
でも、強い音も、ちゃんと“間”を取って響かせれば、美しくなるわ」
そして返信を書いた。
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**『騒ぎすぎない、間を活かす、心のビート重視――
この3点を守るなら、歓迎します』**
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数日後。
雲の切れ間から、静かに始まった“DJカミナリのゴロゴロナイト”。
意外にも穏やかでやさしい音が、空に静かに流れていた。
やかましさの奥にある“伝えたい何か”。
それが届いたとき、空は、ちょっとだけ広くなる。




