表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/109

第十九話 太陽、しゃべりすぎる

 ヒカリ荘の居間に、ちいさな高座が設置された。


「さあさあ! 本日の演目は“空模様ひと笑い”! 演者はこの私、太陽でございます!」


 太陽が勢いよく登場すると、星たちがぽかんと口を開けた。


「え、急にどうしたの?」


「最近、“しゃべりすぎる上司”って言われたらしくてさ。それならいっそ、しゃべり芸にしてやろうと思って」


「前向きなのか、開き直ってるのか……」


 月は紅茶を飲みながら静かに見守っていた。


「では一席、“雲と晴れ男”――ある日、晴れ男が雲に言いました、“おまえ、いつも空気読まねぇよな!”と……」


 ……数分後。


 ヒカル「それ、オチは?」


 トキオ「いや、オチの前に話が迷子になってた」


 ミラ「ミラはね……なんとなく“湿度高めの話”だったと思うの」


 太陽は、軽く頭をかいて笑った。


「落語ってさ、しゃべりすぎると伝わらないんだな……」


 「“間”と“温度”って大事なのよ」と月がやさしくつぶやいた。


「でもさ、おまえが話してると、ちょっとあったかい感じにはなるよ」とヒカル。


「オチなくても、“まあいっか”ってなる」とトキオ。


「ミラは、また聞きたいな」


 太陽はちょっと赤くなって、座布団に深く腰を下ろした。


「じゃあ……次は“星の漫才”とかやってみるか?」


 その夜のヒカリ荘には、うっすらと笑い声と、あたたかい空気が流れていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ