第百二十二話 しし座のプライド、しし座の涙
星座学園・生徒会室。
「ふぅ……今日も完璧な采配だったな」
しし座のレオンは、満足げにイスを回した。
生徒会副会長であり、自他ともに認める目立ちたがり屋。今日も一段高い壇上から、全校集会でスピーチを決めたばかりだ。
だが――
「ちょっと、レオン。また原稿無視してアドリブしたでしょ」と、生徒会長のてんびん座・てんが入室。
「いや、あれは即興の情熱だよ! 学園の未来を熱く語らずしてどうする!」
「『俺が星座の中心だ!』って叫ぶ必要はあった?」
「……あれは情熱が溢れすぎて……」
* * *
レオンは昔から“主役”にこだわっていた。
星座の中でもしし座は王の星――そんな誇りが、彼の心を燃やし続けていた。
だがそのプライドが、時に空回る。
生徒会の活動記録をまとめる場面で、ファイルがぐちゃぐちゃになっていた。報告書を整理し直すてんを見ながら、レオンは呟いた。
「……てん、すごいよな。ちゃんと見てる。みんなのこと」
「え?」
「俺は、俺のことで手一杯だったかもな。かっこつけてばかりで」
ぽろっと本音が漏れる。
てんは静かに笑った。
「レオンは、前に立つことで、みんなを引っ張ってるよ。うまくいかないこともあるけど、その姿勢が好きだよ」
「……まじかよ。泣くぞ?」
「泣いていいよ」
レオンはこっそり涙をぬぐった。
“王”だって、弱音くらい吐く日もある。
* * *
「よーし! 明日も主役、張ってくるぞーっ!」
「レオン、明日は清掃当番です」
「……うん。ほうきでも、主役になってみせる!」
彼の星は、今日もまぶしく輝いていた。




