第百七話 キミの曜日、誰が守ってる?
「ねえねえ、月曜って“月”って書くけど、なんで?」
リビングでお茶を飲みながら、ミラがふとつぶやいた。
「お、いいとこ気づいたな」
と、トキオが乗ってくる。
「実は曜日って、ぜ〜んぶ“空の親戚たち”に関係してるんだぜ」
「うそだあ」とミラ。
「ほんとだよ」と太陽――サンが胸を張った。
「たとえば、月曜はルナの月。火曜はカレンの火星。水曜は……誰だったっけ?」
「メル。水星よ」
月――ルナが静かに補足する。
「木曜はモク、金曜はキン、土曜はドナ。そして日曜は……このオレ! サン様、太陽だ!」
「え、すごいじゃん!」
ミラが目を輝かせた。
「曜日って、ぼくらの親戚たちだったの……?」
「そーなんだよ〜」
トキオがドヤ顔で頷く。
「もともとローマとかギリシャとか、いろんな文化で天体の神様が曜日を守ってるって考えがあってさ。それが日本に入ってきたときに、惑星の名前と曜日がくっついたんだって」
「なるほど……」とヒカルがうなずく。
「つまり、今日は“誰の日”なのかで、その日のテンションが決まるかもしれないってことかもね」
「そう。日曜は太陽パワーで元気いっぱい! 月曜は静かにスタート……」
ルナがつぶやく。
「火曜は冒険、木曜はのんびり、金曜はキラキラで、土曜はSNSざんまい?」
「まさかのドナオチ……!」
全員が笑いに包まれるなか、サンが大声で言った。
「じゃあ今日はオレの日ってことで、全力で遊ぶぞー!!」
「いや、曜日にかこつけてはしゃぎたいだけじゃん……」
と、ヒカルがぼそりとツッコんだ。
ヒカリ荘には、今日も空の時間が流れていく。
ぼくらの一週間は、きっと空の誰かが見守っている。




