第百四話 三連休、明けました
「ただいまーーー!!!」
ヒカリ荘の玄関が、朝から爆発音みたいに開いた。
「サン、声がでかい……」
ルナが眉をひそめる。リビングにはすでに、ヒカル・トキオ・ミラも集合していた。
「三連休……終わっちゃったね……」
ミラがうつろな目でつぶやく。
「みんな、それぞれどこ行ってたの?」とヒカル。
サンは胸を張る。
「オレ? 全部行ったよ! 温泉、ライブ、キャンプ、あとゲームの大会!」
「一日一つでも多いのに、何個……?」
トキオが半笑いでツッコミを入れる。
「私は本を読む予定だったけど……気づいたら部屋の模様替えしてたわ」
ルナが紅茶をすする。
「おれは、詩の旅に出たんだ……風に吹かれて、光に照らされて、…でも途中でスマホの電波が死んだ」
ミラがふわっと語ると、全員が「あるある……」と頷いた。
「俺は動画三昧の予定だったけどさ、Wi-Fiが天気に負けたんだよ!」
トキオが不満げに言うと、ルナが微笑む。
「太陽がいなかったからね」
「オレ関係ないだろ!? でもまあ……なんか、やっぱここが一番落ち着くな~」
サンがごろりと寝転がる。
ヒカリ荘の空気が、久々に戻ってくる。
「……三連休って、リフレッシュでもあるけど、やっぱりちょっと、寂しくもあるね」
そんなミラの言葉に、みんな静かにうなずいた。
「明日からまた、にぎやかな日常のはじまりだな」
「もう今日から始まってるよ」
「……あっほんとだ。じゃあ、朝ごはんつくろうか」
笑い声といい香りが、ヒカリ荘にゆっくり満ちていく。
三連休明け、平常運転――でも、それが何より嬉しい。
ヒカリ荘は、また動き出した。




