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ネオス・パンゲア怪異ファイル  作者: 芦田メガネ
第1章 悠久なる東洋
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朝食、そして帰還

 なんとか後片付けを終え、職場の最寄り駅まで帰ってきた。雪という水が絶え間なく供給され続けたおかげで掃除は多少は楽だった。縄をデッキブラシの代わりに使い木にこびり付いた血を拭き取り、地面に積もった血に染まった雪は仕方なく回収用ボックスにぶち込んで来た。




 今は朝の8時。そういえば、朝飯はまだ食べていなかった。なんなら昨日の晩飯も携帯食で済ませてしまっていた。

「腹が...減った」

思わず、某グルメドラマの主人公のように呟く。今居る駅にはサラリーマン向けの食堂がある。そこで朝飯を食べることにした。


 店に入ると、何人か出勤前と見られるスーツ姿の客が何人かいた。厨房が見えるカウンター席に腰をかけると、店員がお冷を持ってきた。

「ご注文がお決まりになられましたらお呼びください」

そう声をかけて来たが、既に食うものは決めていた。

「あ、もう決めてるのでお願いします。かけうどんのネギマシマシチョモランマ、ミニタレカツ丼のセットで。あと、食後にコーヒーとヨーグルトをお願いします。」

「かしこましました」


 朝からヘビーに思えるかもしれない内容だが、12時間以上ろくなものを食わずに戦闘と掃除をこなしてきたのだから、これくらい余裕だ。そうこうしているうちに料理が運ばれてきた。

「いただきます」



 まずはネギマシマシうどん、もといネギうどんトッピングを食べる。うどんが見えなくなるほど大量に、そして高く盛り付けられたネギはさながら巨大山脈のようだ。それを少しずつ崩しながら出汁に浸して食べる。これが堪らなく美味しく、ネギと出汁の香りを存分に楽しむ。何を隠そう、俺はネギがこの世で1番好きな食べ物なのだ。そして、うどんはネギを1番美味しく食べるための付け合せであると考えている。


 そして、ミニタレカツ丼に箸を伸ばす。少し小さめの丼茶碗には、ご飯とタレが染みた中くらいのヒレカツが3枚乗っている。カツを口に運ぶ。これがまた美味い。噛むと油と甘辛いタレが口いっぱいに広がる。カツも柔らかく、肉の旨みをしっかり感じられる。そして、ご飯にもタレと油が染み込み、箸が止まらなくなる。さすがは、古くからニイガタに伝わるB級グルメだ。数百年経った今でも多くの人に愛されてるだけのことはある。そして、俺もまたこの料理を愛している。




 セットで付いてきたサラダとお新香も平らげ、食後のコーヒーとヨーグルトをいただく。ゆっくりコーヒーを飲みながらネットニュースを眺めていると、ある記事が目にとまる。


「昨日、中国エリア、バヤンカラ山脈で男性の変死体が発見された。地元警察の調べによると、男性は動物に捕食されたとみられている。また、地元住民の目撃証言によると男性はこの地域に伝わる怪物に襲われたという。連合政府は怪防隊から適任者を派遣し、調査および怪物の討伐を行うことを決定した。」


 また不安の種が出来てしまった。それは、中国エリアは俺の任務の対象範囲に含まれるということだ。




 この大陸は大きく分けて「アジア地方」、「ヨーロッパ地方」、「オセアニア地方」、「アメリカ地方」、「アフリカ地方」の5つに分けられている。武縄が所属するニイガタ支部は「アジア地方」と「オセアニア地方」が任務の管轄範囲となっている。その適任者が彼であった場合、またすぐに任務に向かわなければならない。





 もう少し休んでいたいが、職場には行かなければならない。会計を済ませ店を出る。ネギとコーヒーの臭いダブルコンボをキメてしまったことを思い出し、駅のトイレで歯磨きをした後、売店でミントタブレットを買い口臭ケアを万全にして職場へと向かう。




 事務所に着くといつものように早川上官が待ち構えていた。

「おはよう、武縄。まずは、任務ご苦労だったね。しかし、あれはなんだ!回収用ボックスを開けて心臓が飛び出そうになったのは初めてだぞ。なんであそこまで弥三郎婆をグチャグチャにしたんだ!あれでは本当に弥三郎婆なのか判別が出来ないじゃないか!」


「それは、すみませんでした。弥三郎婆は中々に手強かったもので、念には念を入れてしっかりとミンチにしてしまいました。でも、私の戦闘服から送られてきた映像データで弥三郎婆であることはわかりますよね?」

「それは・・・、そうなのだが、やりすぎだ。少しは君の相棒を見習ったらどうだ」



 朝から小言でうんざりしていると、後ろから声が会話に交じってきた。

「そーだぞ、コースケ。俺みてーに、キレーにターゲットを倒すってのが模範的な隊員ってもんじゃないの?」

「その声は、我が友、廻原(かいばら)ではないか!」

 

 振り返ると、ニヤニヤと笑う男の姿があった。180cmを超える高身長のイケメン、少しツンツンしたツーブロックの髪型、そして間延びしたような話し方なのにバリトンボイスで締まりがいいんだか悪いんだかよく分からん声。間違いなく俺の相棒がそこに居た。


廻原巡(かいばらめぐる)、俺の相棒にして1番の親友だ。そして、俺と同じ師匠の元で育った弟弟子(おとうとでし)でもある。

「インフルはもう治ったんだな!お前がいないと仕事が大変だったんだから!」

「すまなかったな。でも、やっぱ怪防隊の薬はすげーよ。2日でインフルが完治しちまった」



 相棒の帰還を喜んでいると、早川上官が再び口を開いた。

「廻原も復帰したことだし、説教はこのくらいにして本題に入ろう。休み明けコンビ、まあ武縄は任務直後だが、そんな2人には悪いが君たちには今から中国エリア西部のチンハイ地区バヤンカラ山脈に行ってもらう。怪異退治の時間だ」



今回はグルメメインの話でした。仕事の後はご飯が1番ですよね。

そして、いよいよ公介の相棒、廻原が登場しました。彼の活躍にもご期待ください。


それと私事ですが、この度Twitterのアカウントを開設しました。Twitterで「芦田メガネ」と検索すると、いらすとやアイコンのアカウントが出てくるはずです。そこで、作品更新のお知らせもするので、よろしければフォローと拡散をよろしくお願いします。


次回もよろしくお願いします。

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