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ネオス・パンゲア怪異ファイル 〜平凡な能力者、怪異と悪意をド根性と友情パワーでぶっ飛ばす〜  作者: 芦田メガネ
第1章 アジア編

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任務の後は

「2人の初任務成功を祝して、乾杯!」

「「「乾杯!」」」


 俺たちは打ち上げをするために、少し高めの日本料理店にやって来ていた。たまたま予約のキャンセルが出ていたそうなので、俺たちは予約専用の懐石料理を運良くいただくことができた。ちなみに、明日も仕事なので全員ソフトドリンクを飲んでいる。


「まぁ、アタシら2人の勝利、というよりマイちゃんの勝利って感じな気がしますけどね」

「いやいや、フユミちゃんも聞き込みとか一生懸命頑張ってたじゃん。戦いだけが任務の全てじゃねーよ」

「そうかもしれないッスけど、なんかおこぼれに預かってるみたいで申し訳ないッス・・・」

「まぁまぁ、細けえことは気にすんな!」


 机の上には豪華な料理が並んでいる。カニや旬の野菜を使った天ぷら、能登牛のすき焼き、お刺身、他にもいろいろ、どれから食べればいいのかわからないほど多くの料理が目白押しだ。

「ほ、ほんとにこんなに素晴らしいお料理をご馳走になっていいんですか?」

「あぁ、もちろんだ。初任務とは思えないほどの良い仕事をしてくれたからな。今日は俺たち2人の奢りだ。それに、遠い場所での任務の後はその土地の美味いモノを食う!これがこの仕事の醍醐味よ!」

「ありがとうございます!では、お言葉に甘えて、いただきます!」


 真衣はお刺身を口に運んだ。そして、恍惚とした表情を浮かべる。

「お、美味しいです!脂がとろけて・・・。臭みもなくて・・・。今まで食べたお刺身で1番美味しいです!」

「そうか、そうか!よ~し、もっと食え食え!」


 俺たちも真衣に続いて食事を楽しむ。俺はまず、お椀に入った料理に手を伸ばした。大きな椎茸や野菜とともに、鶏肉が入っている煮物のようだ。まずは肉を口に運ぶ。

「美味ぇ!こ、これ、もしかして・・・鴨肉か!?」


 俺は鴨肉が大好物だ。1番好きなのはネギで、2番目が鴨肉だ。鶏肉とはまた違った脂の味がたまらない。すると、この店の女将さんがやって来て、この料理について教えてくれた。

「お口にあったようでなによりです。これは、イシカワに古くから伝わる郷土料理、『じぶ煮』でございます。鴨肉、もしくは鶏肉をすだれ麩とお野菜と一緒に、醤油などの調味料とだし汁をあわせて煮込んだものでございます。お好みで、添えてあるワサビを付けてお召し上がりください」

「へ~、ありがとうございます」


 他の料理も実に美味い。みんなも満足そうに食べている。やはり、美味い飯というのは人間の、特に日本人の幸せに遺伝子レベルで直結しているらしい。そんな幸せを噛み締めていると、唐突に廻原が声をかけてきた。

「なーなー、お前ら、どうやって火取り魔を倒したんだ?薄々、マイちゃんしか倒せないだろうな~とは思ってたけどさ。詳しく聞かせてくれよ」

「それ、アタシも気になるッス!」

「お~気になるか。そうだな、俺が駆けつけたとき・・・」


 俺と真衣は火取り魔を退治してときの話を詳しく聞かせた。

「ハハハハハハ!なんだそれ!モバ充を口にぶっ込むって!マイちゃん、意外とやること大胆だな~!ハーハハハッ!」

「ちょっと、そんなに笑わないでくださいよ~!効率良く電気を流すのにはこれしか無かったんです!」

「あのときはビビったぜ。いきなり口を開けさせられたかと思ったら口にぶち込まれたんだから。息も苦しくて結構キツかったな」

「それは、ホントごめんなさい!次からやり方もう少し考えます!」

「え、またあれやるつもりなの?勘弁してくれよ~!」


 美味い飯と笑い話で場は大いに盛り上がった。そして、冬美があることを真衣に尋ねた。

「そういえば、マイちゃん、火取り魔倒したとき必殺技の名前を叫んだんだよね?『エレキロープ・サーキット!』って。必殺技の宣言はしないんじゃなかったの?」

「そ、それは・・・その方がカッコいいって武縄先輩が・・・」

「お、もしかして、ようやく必殺技のロマンに気がついたか!?」

「そ、そんなんじゃないです!」

「おいおい、なに顔赤くして照れてんだよ!別に恥ずかしがることじゃねぇよ!そうか、そうか、必殺技の魅力に気付いてくれたか~!」

「だから、違いますって!」

「なにが違うんだよ~、なぁ廻原?」

「え?あ、あぁ、そうだな」


 一通り飯を食べ終え、会計を済ませた。かなりデカい出費になったが、後輩たちの満足げな顔が見れたし、俺も楽しかったからヨシとしよう。

「先輩、ごちそうさまでしたッ!」

「ごちそうさまです!」

「応!家の近くまで車で送るから、ちょっと待っててな」


 俺は車を取りに行き、再び店の前に戻ってきた。車に3人を乗せ、俺たちを乗せた車は夜の空を駆け抜ける。後輩2人は疲れと満腹さで眠ってしまったようだ。俺と廻原も少し疲れていたので、眠気を覚ますためカーラジオを聞きながらラジオの内容について談笑していた。ほどなくしてニイガタ行政区に着いたので、俺は後輩たちに指定された場所に2人を降ろした。

「よし、2人とも、お疲れ様。ゆっくり休んで、また明日からも頼むぜ」

「はい!ありがとうございました!」

「ありがとうございます!」

「うん、じゃあな」


 俺は次に廻原の家に向けて車を走らせた。廻原はなにやら俺に何かを言いたげにしている。

「なあ、廻原。お前、さっきから何を言おうとしてるんだ?」

「いや~伝えようか迷ってたんだけどな~」

「なんだよ?」

「マイちゃん、お前に惚れてんじゃね?」

「はぁ!?」

今回もお読みいただきありがとうございました。

次回もよろしくお願いいたします。

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