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ネオス・パンゲア怪異ファイル 〜平凡な能力者、怪異と悪意をド根性と友情パワーでぶっ飛ばす〜  作者: 芦田メガネ
第1章 アジア編

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春、出会いの季節:エピソード4

 時計店での事件の後、俺たちはトラブルに見舞われることなくパトロールをする日々を送っていた。週に2回ある非番の日は、のんびりゲームをしたり、映画を見たり、自分の趣味を満喫して過ごした。それは廻原もきっと同じだろう。そうして、3月は終わり、俺たちのパトロール期間も終わった。




 そして、4月。春の健康診断も終わったこの日、俺たちは早川上官に呼び出された。指定された場所はいつもの事務所ではなく、ニイガタ支部の敷地内にある屋内演習場だった。

「珍しいな。早川上官がこんなところに呼び出すなんて」

「だよな。別に訓練日って訳でもねーのによ」


 中に入ると早川上官が待ち構えていた。

「待っていたよ、2人とも」

「どうも、早川上官。こんなところに呼び出して、どうしたんです?」


 早速気になっていたことを質問すると、早川上官はニコニコしながら答えた。

「今日はな、2人に紹介したい人たちがいるんだよ。そのために来てもらった」

「へー、どんな人なんです?」

「まぁ、そう焦るな廻原。早速来てもらうとしよう」


 そう言うと、早川上官は奥の出入り口に向かって叫んだ。

「新入りさん、いらっしゃ〜い!」



 どこかで聞いたことがあるようなセリフだな。そんなことを思っていると扉が開き、暖かな春風と共に戦闘服を身につけた2人の若い女性が演習場に入って来た。


1人は戦闘服を身につけていてもハッキリわかるほど引き締まった美しい筋肉を持つ、青いメッシュの入ったウルフカットの女性。とても爽やかな印象を受けるが、いかにも体育会系の熱血女子、といった表情をしている。


もう1人は、どこか見覚えのあるような顔をしている。美しく長い黒髪をポニーテールでまとめていて、メガネをかけている、いかにも清楚系って感じの女性だ。片方の女性と比べるのも変な話だが、筋肉量はそこまで多くはなさそうだ。武器や遠距離でも使える超能力を使うのだろうか。


しかも、驚いたことに2人ともとんでもない美人だ。映画に出てる女優と言われても納得するような美貌だ。早川上官も凄まじい美人であるため、こうして並ぶと3人は眩しく輝いて見える。そして、早川上官は口を開いた。

「この2人は今日から怪防隊ニイガタ支部に入隊した新人隊員だ。2人とも、早速だが彼らに自己紹介をしてくれ。ただし、超能力はまだ秘密にしておくこと」


 訳のわからない条件を提示したが、まずは体育会系の女性が自己紹介をする。

「はいッ!アタシは薬師丸冬美(やくしまる ふゆみ)といいます!フユミって呼んでください!誕生日は12月9日!22歳です!趣味は筋トレと裁縫ですッ!よろしくお願いしますッ!」


 うん、思った通り、熱血体育会系だ。ちょっと暑苦しいが良い人そうだ。続いて、清楚系の女性が自己紹介をする。

「私は源川真衣(みなかわまい)と申します。マイと呼んでください。誕生日は11月25日で22歳です。趣味は猫カフェ巡りと格闘ゲームです。よろしくお願い致します」


 そうだ、この声。この名前。思い出したぞ。以前会ったじゃないか。

「もしかして、2月の初め頃に俺が助けた人、ですよね?君の頭上に落ちてきた看板を俺が受け止めた・・・」

「あっ!そうです!覚えていてくださったんですね!あのときはありがとうございました。怪防隊の入隊試験などが忙しくてお礼が出来ず、すみません・・・」


 やはり、あのとき摘田時計店の前で助けた女性だった。既視感の正体がわかってスッキリした。

「いや~、いいんですよ、お礼なんて。それに、覚えてるに決まってますよ。最近まであの店でいろいろありましたから・・・ハハ・・・」


 早川上官は驚いたように口を挟む。

「なんだお前ら、知り合い同士だったのか!?」

「えぇ、まぁ、一度だけ会っただけですがね。連絡先もそのときに交換しました。ですよね?」

「は、はい。後でお礼をしようと思ったので。ですが、怪防隊の方だとは存じませんでした・・・」

「俺も驚いてますよ。まさか偶然助けた女性が偶然後輩になるとはね」




 そして、気を取り直して俺たちも自己紹介をする。

「俺は武縄公介(たけなわこうすけ)です。武縄とか、コースケとか、色んな感じで呼ばれてますね。お好きなように呼んでください。誕生日は7月8日の25歳。趣味は格ゲーと映画鑑賞です。どうぞよろしく」


「俺は廻原巡(かいばらめぐる)。廻原って呼ばれることが多いな。誕生日は2月18日の25歳。趣味は昔のお笑いを見ることと、バイクのツーリング、それとカードゲームです。よろしくお願いしまーす」


 早川上官も自己紹介をする。

「私は早川優子(はやかわゆうこ)、君たちの直属の上司になるな。誕生日は11月7日、34歳だ。趣味は・・・そうだな・・・ロボットのプラモデルを作ることかな。よろしくな」


 趣味を紹介するとき、ほんの一瞬だけ物憂げな表情になったのを俺は、俺たちは見逃さなかった。やはり上官はまだ・・・



 早川上官はすぐにもとの凜々しい表情に戻り、俺たちに指示を出し始める。

「さて、武縄、廻原、お前ら2人にはここにいる新人たちの教育係になってもらう!」


 なんとなく察しは付いていたが、本当にこうなるとは。

「まだ、俺たちはペーペーの若造ですけど、良いんですか?」

「あぁ、お前らの実力を私を含め、ニイガタ支部の隊員の多くが認めている。特に、最近のお前らの活躍は素晴らしいからな。学べることも多いだろう。というわけで、これからの任務やパトロールはフユミ・マイのペアを同行させるように」




 これで終わりではないはずだ。わざわざこの演習場で新人との顔会わせをしたと言うことは、()()をするつもりだろう。そして、上官は続けて指示をする。

「さらに、今からお前らには、怪防隊春の名物『新人歓迎!ペア対抗交流戦』を行ってもらう!」

今回もお読みいただきありがとうございました。

満を持してヒロインの登場です。

みなさん、大変お待たせしました。

彼女たちの活躍にもご期待ください。

次回もよろしくお願いいたします。


・・・エピソード4?ということは・・・

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