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➂日課
雅生は現場の場長とは、妙に馴染んだ。それに比例して、直属の課長との折り合いは悪い。
雅生の日課は、朝の課内ミーティングが終わると、社内食堂に行くことが多い。食堂で、漬け物などつまみながら暫し過ごす。それから、工場の詰所に行き、生産過程の不具合の嫌みを聴く。そもそも技術部門、製品の試験開発もする。課内の机に座る事は少なく、露骨に嫌っていた。課内での評価は駄々下がりである。
時に課に役員が来ることがあったが、雅生は意に介さない。後で、課長に言われる「もう少し、ゴマをすらないと」と。
益々、課長との折り合いは悪化し、同僚女性からの対応も同様になる。
潮目が変わったのは、本社から新たに部長が来てからだった。とにかく、課に馴染もうとしない雅生を気にかける。
雅生は、工場の埃にまみれた床に何かを一心に指で描いていた。たまたま通りすがった部長が声をかけしゃがみこむ。
「何か、気になるのか」
雅生が顔を上げた。不具合の発生したラインである。小一時間、部長と埃に画を描き問答をする。雅生は、自由人と認識された。