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⑨また、虫が頭をもたげ

 相変わらず中田は工場ラインを彷徨いている。地方にある工場だが基幹工場の一つである。朝は、食堂で給食のおば様とお新香と茶を頂く事が多くなった。自社ブランドの他に、OEMの外国ブランドの製造が増えると、工場から不良率の高さに悲鳴があがる。仕様を決めるのは。本社からの指示によるが、手順は中田の部所が決めている。ブランド社への初期サンプルはたまたま上手くできたものを提出していた。係長が担当していたものだが、量産となり半数近くが廃棄の状況となる。

課長は、その頃生産現場に蔓延した品質管理手法のデータを掲げ責任を回避し、担当した係長は、サンプル生産では問題無かったとして、逃げをうつ。何故か、工場からは中田に、苦情がくる。彷徨う中田を見つけ、服部は、床にうっすらとある埃に指で材料の化学式、温度、仕様を描く。問題はサンプル試作のデータがないのだ。比較もできない。たまたま上手くいったいったのを海外メーカーに送っただけであった。

 中田は手練手管を駆使して、不良品は減っていったが、課の席に座る事も減っていく。

「技術部の中田さん、至急お戻り下さい」

 課に戻るのは、美紀か美沙子な構内放送の呼び出しによる。

 中田は気になっていた、美紀の呼び出す声に憂いを帯びていることを。そして、工場作業員の中でも。急いで戻るが大した用でもなく「データ」がどうのこうの、本社。

「課長と上手くやれんのか」

 服部に言われると、中田は拒絶する。(そろそろ、お暇になるんだろうな)、浮き草生活が頭を持ち上げてくるとどうしようもなくなる。折角、カタギ?になった。抑えられるか、

自信はない、中田であった。 


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